
この記事の内容は、以下のような人を対象にしています。
・私立学校事務員がどんな「職業病」になりやすいか知っておきたい人。
「病気」から「独特のクセ」まで|私立学校事務員に関わる様々な職業病
私立学校の事務室で働いていると、気づかないうちに心身の負担が蓄積したり、独特の“クセ”が身についていたりすることがあります。

ここではこうした「心身の不調」と「クセ」をまとめて”職業病”と言わせていただきます。
営業や接客と異なるのはもちろんのこと、一般企業の事務職とも違う学校法人という特殊な組織の中で働く事務員。
そこで教員・保護者・生徒・行政と関わりながら仕事を進めるうちに、自然と形成されていく行動パターンや思考の傾向。
それは単なる「クセ」ではなく、 私立学校事務員という専門職が生き抜くために身につけた“知恵”や“防衛本能”でもあります。
この記事では、私立学校事務員として20年以上働く中で特に多いと感じている“職業病”を紹介し、
「なぜそうなるのか」
「どうすれば負担を減らせるのか」
などを丁寧に解説していきます。
私立学校事務員としての働いた経験がある方なら、きっと「わかる…!」と共感していただけるはずです。
また、これから私立学校事務員になろうと考えている人にとっては、「そうなのか」という気づきになれば幸いです。
はじめに|なぜ私立学校事務員には“職業病”が生まれやすいのか
先述のとおり、私立学校事務員は、同じ「事務」でも一般企業の事務職とは異なる独自の環境で働いています。
例えば、以下のような環境です。
●教員文化・保護者文化・行政文化が混在する職場
学校は、複数の文化が同時に存在する職場です。
- 教員文化(教育中心・「先生」という特殊な存在)
- 保護者文化(学校への期待・要望)
- 行政文化(補助金・法令)
この3つの文化の間に立つのが私立学校事務員です。
それぞれが持つ異なった価値観に対応するため、独特の対応法や考え方が身についてしまう。
さらに、そうした板挟み状態がストレスとなり、心身を蝕む。
このように「職業病」へとつながっていくわけです。

板挟みの精神的負担を軽くするための防衛本能が働いているのかもしれませんね。
●“見えない仕事”が多く、負荷が偏りやすい
私立学校事務員の仕事は、外から見ると単純に見えることがあります。

生徒からは本当に暇そうに見えるようですからね。
しかし実際には、
- 調整
- 事前確認
- 根拠資料の整備
- 関係者への説明
- 危機管理のための対応
など、見えない工程が非常に多いのが実態です。
この「見えない仕事」が評価されにくいため、「こんなに頑張っているのに」 という思いが頭を埋め尽くし、強いストレスを生じさせます。
こうしたストレスの蓄積が、ボディブローのように心身へダメージを与え、「職業病」へとつながってくるわけです。
●属人化と暗黙知が多い
私立学校事務員の仕事は、「この仕事はあの人」 という属人化が進みがちです。
このような「仕事の属人化」については、以前の記事でも紹介しました。
仕事が属人化してしまうと、“自分がやらないと回らない” という状況が生みだしてしまい、心身への負担が偏りやすくなります。
また、マニュアル化されていない業務も多く、それが担当者の「コツ」や「勘」といった暗黙知となってしまうこともしばしばあります。

「どうやって作ったんだろう?」と思うような資料があったりしますね。
こうした状況も、“私立学校事務員ならではの職業病”を生み出す一因になっています。
私立学校事務員に多い職業病の具体例
職業病を生み出す背景を確認したところで、ここからは、私立学校事務員に多い職業病の具体例を見ていきましょう。
「心身の不調」や「クセ」に関するものをあれこれ取り上げ、それぞれについて解説しています。
職業病①:心理的負荷による精神疾患(板挟みなどから生まれる心の負担)
私が最近、特に増加傾向にあると感じているのがこれです。
私が入職した20数年前には、精神疾患(うつ病など)で休職する人などほとんど見かけませんでした。

学校法人全体で数百人の教職員がいましたが、精神疾患で休んでいる人は1人くらいでしたね。
それがいつの間にか毎年のように誰かが休職したり退職したりするような状況に。
休職・退職まで至らなくても、不調で仕事を数日~数週間休むという人もいます。
そんな精神疾患を患う人を何人も見てきたなかで感じることがあります。
それは「仕事内容そのものよりも、本人の性格と構造的な要因の方が影響が大きい」という点です。
構造的な要因とは、先述した「関係者との板挟み」や「属人化」のことを指します。
これにより、
- 人間関係の“距離感”が難しい
- 自分だけが忙しい
- 相談できる相手がいない
といった気持ちに陥ってしまうわけです。
そこにさらに本人の性格が関わってきます。
真面目で責任感が強い性格の人は、こうした状況を気合や根性で乗り越えようとしがちです。

そして私立学校事務員の人はこうした「人に頼らず自分の力で」と考える人が本当に多いんですよね。
その結果、心が折れてしまい、仕事に携われなくなってしまうわけです。
私の以前の職場の先輩職員がまさにそうでした。
上司からは「自分で考えて」と仕事を丸投げされ、同じ部署の同僚も別の業務で手がふさがっている様子で相談もできない。
なんとかやり遂げようと頑張っていましたが、ある日力尽きてしまいました。

その日の午前中は確かに出勤していたはずなのに、午後突然いなくなっていました。
「〇〇さんは?」と別の事務員に尋ねても「ちょっと・・・」といった感じで歯切れの悪い返事だったのをよく覚えています。
とりあえずその先輩は、後日無事に職場に復帰したのですが、復帰後に言っていたのは「とにかく相談できる仕組みを作った方がいい」ということ。
「自分はいまこんな状況だ」ということを定期的に伝えられる場を設けることができれば、もう少し負担を軽減できたのではとのことでした。
こうした学校における人間関係の悩みについては別の記事でまとめていますので、そちらもご覧いただければと思います。
皆さまも抱え込まないように気をつけましょう。
職業病②:肉体の不調(長時間のデスクワークによる負荷)
今度は昔から言われている職業病です。
事務員の仕事はデスクワークが中心ですが、実は身体への負担が大きい仕事です。

「動かないからラク」と思っている人、あまりなめない方がいいですよ。
特によく聞く症状は以下のとおりです。
- 肩こり・首こり
- 腰痛
- 眼精疲労
- 手首の痛み
- 慢性的な疲労感
このなかでも最も話題に挙がりやすいのが「眼精疲労」
どこの部署でも、

私、視力だけは自信あったのに・・・。
という人が一人はいます。
民間企業から転職してきた人のほとんどは、私立学校事務員になってから急激に視力が落ちたと言います。
原因はわかりきっているのですが、一応以下にまとめてみました。
- 長時間のPC作業
会計処理、成績入力、名簿管理、入試関連のデータ処理など、PC作業が多く、姿勢が固定されやすいのが特徴です。 - 繁忙期の残業
入試・新年度準備・決算期など、繁忙期は長時間労働になりがちです。
疲労が蓄積し、肩こりや腰痛が慢性化します。 - 事務室の環境
「狭い」「暗い」「空調が効きにくい」といった環境が、集中力の低下や疲労感につながります。

規模の小さい学校だと③のような状況はよくありますね。
経費節約の意味もあると思いますが、心身へのダメージはあなどれません。
このような心身の不調を避けるためには、日ごろからの身体ケアが大切です。
- 30分に1回立ち上がる
姿勢を変えるだけで、肩こりや腰痛の予防になります。
厚生労働省が紹介している座ったままできる足の運動も参考になります。
エコノミークラス症候群の予防のために
(厚生労働省ホームページへのリンク) - 首・肩のストレッチ
短時間でも効果があり、集中力の回復にもつながります。 - 耳を刺激する
「ツボ」が集まる耳を刺激することで、自律神経を整える効果が期待できます。
耳の上の方をつまんで上下左右に引っ張ってみましょう。
なお、別の記事で私立学校事務員の職場環境を活かした「健康寿命を延ばすプチ習慣」について解説していますので、そちらもご覧ください。
こちらの書籍も参考になりますので、リンクを貼っておきます。
早速明日から、どれか一つでも実行してみましょう。
職業病③:思わずやってしまう“あるあるのクセ”
最後は「クセ」に関するものです。
私立学校事務員には、経験を積むほど自然と身につく“クセ”があります。
細々したものが多いので、ざっと紹介したいと思います。
クセ①:説明が長くなる
- 経緯・根拠・規程まで説明してしまう
- 「結論だけ言えばいいのに」と言われがち
という傾向があります。
学費や補助金、成績に関することなど“説明責任”が非常に重い内容を話す機会が多いため、 説明不足はトラブルに即直結してしまいます。
だから、相手に「聞いていない」と言われないようにするために、必要以上に説明が長くなる人が多い印象があります。

そんなことを言っている私も人のことは言えませんが。
そんな私のように説明が長くなりがちな人は以下の記事も参考にしていただければと思います。
クセ②:リスクを過大に考える
- 「誰が責任をとるのか」といった趣旨の発言が多い
- 現状からの変化に過敏に反応してしまう
このあたりは私立学校特有の「補助金」という存在が大きいように感じています。
補助金は一つのミスが学校経営に大きな影響を与えてしまうからです。
こういった「補助金業務のミス」の恐ろしさを事あるごとに言われるので、とにかくリスクを避けがちになってしまいます。

民間企業から転職してきた人からすると「何がそんなにダメなの?」と思ってしまうことがよくあるようです。
クセ③:その他のクセ(番外編)
その他にも細かな職業病(クセ)があります。
•「学生」「生徒」「児童」などの言葉の使い方に敏感になる
例えば、大学生に対して「生徒」と言っているのを聞くとモヤっとした気持ちになる(本来は学生)といった感じです。

同じように、高校のオープンスクールを「オープンキャンパス」と言っている人に対して違和感を覚える人もいますね。
おそらく、学校に勤めなければ全く気にならないことだと思われるので、職業病だなと思っています。
•気象警報が気になる
特定の気象警報が発令された際に休校とするようにルールを定めていると学校がほとんどだと思います。

民間企業にはそんなルールはないようなので、転職してきた人は意外な印象を受けるようですね。
だから、やたらと気象警報に敏感な人が多い。
誰よりも早く「〇〇警報が発令された」と騒ぎ立てる人がいたりします。
「学生生徒の安全確保」を最優先と考えているからこその行動なのか、「休校になれば自分も帰宅できるかも」と考えての行動なのかは定かではありませんが、これも一種の職業病なのかなと感じています。
•教員に悪い印象を持つ
世間一般からは「教員」は立派な存在だと思われています。

実際、立派な人も多いんですよ。
しかし、私立学校事務員として働いていると、
- 郵便の出し方を知らない
- 締切が守れない
- 提出書類の不備が多い
といった教員のだらしない面が目についてしまいます。
だから、どこかの教員がインタビューでコメントしていたり、記事を執筆しているのを見ると「この人も学校では・・・。」という思いが浮かぶことがしばしばあります。
私も含めて同じようなことを言う事務員が多いので、これも職業病の一つだと思っている次第です。
まとめ
私立学校事務員の職業病は、
- 心の不調
- 身体の不調
- 行動のクセ
という3つの側面があります。
そのうち前2つは、自身の健康に関わるため、日ごろからの注意が必要です。
私立学校事務員は、学校を支える“縁の下の力持ち”。
だからこそ、この記事で紹介した内容を踏まえて、自分自身を守りながら、長く働ける環境を整えていきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。





