
この記事の内容は、以下のような人を対象にしています。
・民間企業などから私立学校事務員への転職を検討している人。
思っていたのと違う?私立学校への転職者が抱く印象とは
近年、民間企業から私立学校の事務員へ転職する人が増えているように感じます。
その背景には、働き方の見直しや安定志向の高まり、教育分野への関心の高まりなど、さまざまな要因があると考えられます。

外から見た感じでは、ほぼ公務員ですからね。
ただ、最近は募集停止や合併などをする学校が増えているように思うので、安定性には一抹の不安を覚えています。
「学校での事務仕事は落ち着いて働けそう」「ノルマがなくて精神的に楽そう」といったイメージを持つ人も多く、転職先として注目される職種のひとつになっているのでしょう。
しかし、実際に学校事務として働き始めると、民間企業とは異なる特徴やギャップを感じるケースも少なくありません。
特に、学校という特殊な組織構造や、教育機関ならではの年間スケジュール、教職員や生徒との関わり方など、一般企業とは異なる要素が多く存在します。

学習塾に勤める友人がいますが、話を聞いてみると似ているようでまた別物といった感じですよ。
本記事では、私立学校事務員として20年以上働き、その間、何人もの民間企業からの転職者と接してきた私の経験に基づき、そういった人たちが実際によく口にする代表的な3つの声を紹介します。
その3つとは以下のとおりです。
- 「ノルマがなくていい」
- 「思っていたより忙しい」
- 「生徒と話せるのが楽しい」
ちなみにですが、私の周りの転職者からは給料に関する話(高いor低い)は聞いたことがありません。
給与面を意識して転職する人はあまりいないといった印象です。
そんなことも含めて、私立学校事務員への転職を検討している人にとって、働き方や環境を理解するための参考情報として役立つ内容として読んでいただければ幸いです。
① 「ノルマがなくていい」
私の中では、転職者が口にするセリフの第一位がこれになります。
この「ノルマ」から解放されるために転職してくる人は少なくありません。
だから転職した当初はノルマがなくなったことへ大きな喜びを感じているようです。
しかし、時間が経つにつれて、少しずつ「あれ?思っていたのと違う」という印象を抱く人もいます。
そんな「ノルマ」について、私がよく聞く話をまとめてみました。
転職当初:数字目標がないことによる精神的負担の軽さへの喜び
民間企業、とくに営業職や販売職では、売上目標や契約件数などの数値ノルマが日常的に存在します。
毎月の達成率を求められ、未達成の場合は評価に影響することも珍しくありません。
こうした環境から私立学校事務員へ転職した人がまず感じるのが、「数字のプレッシャー」からの解放です。

特に私の所属していた経理・会計担当部署は金融機関からの転職者が多く、皆さん口をそろえて「ノルマ達成へのプレッシャー」のお話をされますね。
私立学校の事務員は、営利目的の企業とは異なり、売上や契約件数といった数値目標が設定されていません。
そのため、「転職してよかったと思うポイント」として以下のような点を挙げる人が多く見られます。
- 毎月の営業成績に関する会議がない
- 達成率を常に意識する必要がない
- ノルマ未達による評価低下が起こらない
- 数字に関するプレッシャーがなく、精神的に安定しやすい
特に、数字に強いストレスを感じていた人ほど、この違いを大きく実感する傾向があります。

営業成績の会議は本当に精神的にキツかったみたいです。上司から「いつ達成できるのか」とつめられるのが本当にツラかったという声をいろんな人から聞きましたね。
話を聞くたびに「自分には向いていないなぁ」と感じます。
転職してその後:「精神的負担が軽い≠“責任が軽い”」という現実との戦い
一方で、「ノルマがない=仕事が楽」というわけではありません。
私立学校事務員の仕事には、正確性が求められる業務が多く存在します。
- 給与計算
- 補助金申請
- 経理事務
- 奨学金関連の事務処理
- 予算管理や決算
これらの業務は、「ミスが許されにくい=責任が重い」という性質を持っています。
特に補助金申請や給与計算は、誤りがあると学校全体に影響が及ぶため、慎重な作業が求められます。

転職してきた人からは「細かいなぁ」と言われることがよくありますね。
つまり、私立学校事務員の仕事は「数字に追われないが、正確性が求められる仕事」と言えます。
プレッシャーの種類が民間企業とは異なるため、転職者はこの点を理解しておく必要があります。

補助金はミスによっては「不正に多く補助金をもらった」のように報道されるので、本当に神経を使います。
加えて、昨今では人事評価制度を導入している私立学校も少なくありません。
先ほど「ノルマ未達による評価低下が起こらない」と言いましたが、上司と目標を設定し、その達成度を加味した評価が、基本給や賞与の額に影響を与えるという学校もあります。
自分が設定した目標に対する「責任」も負っているということです。
② 「思っていたより忙しい」
次によく聞くのが「思っていたより忙しいですね」という言葉。
「事務員=静かに仕事をしている」というイメージを持っている人が多いからだと思います。

自分が大学生だった頃を思い出すと、事務員の人って正直暇なのかなって思っていましたからね。
しかし、外から見ているのと実際働いてみるのとでは大違い。
そのギャップに衝撃を受ける人もいます。
以降でもう少し詳しく掘り下げてみましょう。
私立学校の事務員は“繁閑の差が大きい”仕事
インターネット上では「私立学校の事務員は楽」というイメージが語られることがあります。
しかし、先述のとおり実際に働いてみると「思っていたより忙しい」と感じる人が多いのも事実です。
特に、学校事務は年間スケジュールが固定されており、繁忙期が明確に存在します。
- 4~6月:入学・新年度対応、決算業務
- 7~9月:入試イベント対応
- 10〜12月:補正予算業務、学校行事対応
- 1〜3月:入試、次年度予算業務
詳しくは別の記事でもまとめていますので、そちらもあわせてご覧ください。
これらの時期は、複数の業務が同時進行するため、残業が増えるケースもあります。
特に4月は、新入生対応や教職員の異動、決算は補助金の実績報告・申請などが重なり、民間企業の決算期以上に忙しいと感じる人もいます。

経理事務みたいな仕事をイメージして転職してきた人が、大学生対応の窓口部署に配属になった際、「全然自分の仕事ができない」と嘆いていたことがありますね。
学校の規模によって激しさは異なりますが、繁忙期の忙しさについては各学校共通しています。
逆に、夏休みなど学生生徒等が長期の休みに入ると落ち着くというのも共通です。
朝から夕方まで座りっぱなしで仕事をしているイメージを持っている人は、改めておきましょう。
忙しさの背景
先述のような忙しさの背景には、以下のような構造的要因あるように思います。
- 少人数&業務範囲が広い
経理、人事、庶務、生徒対応、施設管理など、多岐にわたる業務を少人数で担当する学校が多い。 - 年間行事が固定されている
入試、卒業式、文化祭、新入生受入など、学校特有のイベントが多く、またそれらの準備が重なりやすい。 - 突発的な対応が発生しやすい
生徒の体調不良、保護者からの問い合わせ、教職員の急な依頼など、予定外の業務が入りやすい。

特に規模の小さな学校だとバタバタ感は強いですね。
いろんなことに振り回されます。
一方で、繁忙期を除けば定時退勤しやすい時期もあり、リズムをつかめればメリハリのある働き方になりやすいのが特徴です。
これに関連して、有給取得など福利厚生面で満足している声を転職者から聞くケースは多いという印象があります。
③ 「生徒と話せるのが楽しい」
最後は「生徒と話せるのが楽しい」です。
自分の学生時代などを思い返して、「自分も生徒と接したい」と考えて転職される人もおられます。
そして実際に生徒対応をしてみて「楽しい」と感じる人は多いようです。
生徒対応は、私立学校事務員の仕事の楽しみの一つだと私は思っています。
そんな生徒対応についてもう少し詳しく見ていきましょう。
事務職でありながら“人と関わる機会が多い”
私立学校事務員はデスクワーク中心と思われがちですが、実際には生徒が窓口に訪れる機会が多く、コミュニケーションが発生します。
民間企業だと、事務系はほとんどお客様と関わることがなく、営業系だと商談などビジネスの話がメインになることが多いと思います。
しかし学校の場合、事務員は仕事のことを抜きにして、「お客様=学生生徒等」と接することができます。
例えば以下のようなシーン
- 証明書の申請
- 友達など人間関係の相談
- 奨学金の質問
- 勉強に関する相談
- 行事に関する問い合わせ
こうした日常的なやり取りのなかで、何気ない会話をすることができるわけです。
これを「仕事の楽しみ」と感じる転職者は少なくありません。
民間企業では味わえない、教育現場ならではのやりがいを感じるポイントです。

「学校で働いているんだなぁ」と実感できる瞬間ですね。
生徒対応の「やりがい」に関しては、以前の記事もお読みいただければと思います。
こうした経験を通じて「転職してよかった」とおっしゃる方もおられます。
適度な距離感が働きやすさにつながる
私立学校事務員は教員ほど深く生徒と関わるわけではありませんが、必要なときには頼られる存在です。
この“適度な距離感”が、働きやすさにつながるという声もあります。
- 生徒から感謝される機会がある
- 卒業式で声をかけられることもある
- 日常のちょっとした会話がモチベーションになる

卒業式で「一緒に写真を撮ろう」と言われた同僚は本当に嬉しそうでしたね。
私は未だに一度も声をかけられたことはありませんが・・・。
先述したとおり、教育現場で働く魅力のひとつとして、生徒との関わりを挙げる人は多く、これは私立学校事務員ならではの特徴と言えます。
感謝の言葉を頂戴することがなさそうな「事務員」という仕事。
しかし私立学校事務員の仕事は、そうした事務職としてはなかなか味わえないことを体験できます。
まとめ
民間企業から私立学校の事務員へ転職した人がよく口にすることについてまとめましょう。
- ノルマがなく、数字に追われない働き方ができる
- 繁忙期は想像以上に忙しく、業務範囲も広い
- 生徒とのコミュニケーションが仕事の楽しさにつながる
これらは、学校事務の働き方を理解するうえで重要なポイントです。
私立学校事務員は「楽な仕事」でも「極端に忙しい仕事」でもなく、年間を通じてメリハリのある働き方ができる職種と言えます。
転職を検討している人にとって、実際の働き方や環境をイメージする材料として役立つ情報になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。


