

この記事の内容は、以下のような人を対象にしています。
・気づかいで心がすり減ってしまい、「気づかい疲れ」に陥ってしまっている人。
はじめに:気づかいが“疲れ”になっている私立学校事務員は少なくない

保護者の方がお見えになられた。失礼のないように対応しないと。

みんなが集まる昼食会。嫌われないように何か面白い話をしなきゃ。
こうしたことで気が休まらないという経験、ありませんか。
私立学校の事務員として働いていると、日々さまざまな人と関わることになります。

教員、保護者、生徒、取引先、地域の方々などなど、挙げればキリがないですね。
そんな事務室は学校の「窓口」ですので、毎日誰かが訪れます。
そしてその目的は相談、助け、ストレス発散(主に愚痴のはけ口)など多種多様です。
そんな環境に身を置いていると、自然と「気づかい」をする機会が増えていきます。
もちろん、気づかいは大切です。
相手を思いやる気持ちは、学校というコミュニティを支える大事な力です。
しかし、気づかいがいつの間にか「義務」になり、「お役に立たないと」や「正解を出さなければ」という方向に目が向いてしまうと、心はどんどん疲れていきます。

そういう疲れを抱えている事務員は少なくないですよ。
特によく気が利く事務員ほど多いですね。
たとえば、
- 先生から急ぎの依頼が来たとき→「嫌われたくないから引き受けないと」
- 保護者からクレームに近い相談を受けたとき→「ちゃんと対応しなきゃ」
- 生徒が不安そうに事務室を訪れたとき→「役に立ちたい」
という感じです。
こうした気づかいは言わば「足し算」の気づかい。
依頼や相談に来た相手に対し、「もっと役に立たないと」や「もっと丁寧な対応を」といった「もっと」に意識がいってしまう気づかいです。

まぁ、生徒から相談されるとどうしても「役に立たないと」と思ってしまいますよね。
しかし、気づかいは本来、相手との関係を円滑にするためのものです。
「よく思われたい」「失敗したくない」という自意識が強くなると、他人とのコミュニケーションが自分をすり減らす負担に変わります。
そこで大切なのが「引き算」の気づかい。
“よく思われたい”という自意識を抑える引き算の気づかいを学んで実行することが悩みの解消の一助となります。
引き算の気づかいとは、言い換えれば「がんばらない気づかい」
この記事では、「気づかい疲れ」に悩む私立学校事務員の方に向けて、「がんばらない気づかい」について書籍に基づき紹介します。
がんばらなくても自然と伝わる気づかいを身につけ、皆さんが毎日を少しでも心軽く、穏やかに過ごせるように。
心の余白を取り戻すためのヒントとなれば幸いです。
書籍紹介
書籍名:超一流がさりげなくやっている がんばらない気づかい 挨拶から生き方まで
著者名:末永 貴美子
出版社:PHP研究所
発売日:2026年4月16日
そもそもなぜ私立学校事務員は気づかいで疲れてしまうのか?
繰り返しになりますが、気づかい疲れの原因はほとんどの場合「足し算の気づかい」にあります。
足し算の気づかいとは、
「もっと丁寧にしなきゃ」
「もっと気の利いた対応をしなきゃ」
「もっとお役に立たなきゃ」
という“もっと”を積み重ねる気づかいと言えます。
しかし、この「もっと」は終わりがありません。
どれだけ丁寧にしても、どれだけ気を配っても、「もっとできたかもしれない」という気持ちが残ります。

特に私立学校事務員は生真面目で献身的な人が多いですからね。
こうした私立学校事務員の性格的な部分が「気づかい疲れ」に影響しているように私は感じています。
そして、その気づかいによる負担が積み重なるほど、心の中に“余白”がなくなっていきます。
余白がなくなると、
- 人の表情が気になる
- 言葉の裏を読みすぎる
- 相手の反応に一喜一憂する
- 自分の対応を何度も振り返ってしまう
といった状態に陥り、さらに疲れが増していきます。
かくいう私も事務室で仕事をしていると、ちょっとした確認をしたいだけなのに、同僚が忙しそうにしていると声を掛けるタイミングを迷ってしまうことがあります。
パソコンに向かって集中している様子を見ると、
「今はやめておこう」
「もう少ししたら声を掛けよう」
と自分に言い聞かせ、タイミングを探し続けてしまう。
結局、その「もう少し」が長引き、ずるずるとやるべきことを先延ばしにしてしまうわけです。
確認したいことは小さなことなのに、声を掛けるまでの間ずっと落ち着かず、仕事が手につかない。
そしてようやく声を掛けられたとしても、
「迷惑だったかな」
「忙しいのに話しかけてしまったかな」
と振り返ってしまい、気持ちが重くなる。
結果として、
自分の仕事が進まない→声を掛けるまでずっと落ち着かない→話しかけたあとも自分を責めてしまう
という悪循環に陥った経験は一度や二度ではありません。
さらにそこには、先ほど挙げた私立学校事務員の性格的な要因だけでなく、職場の構造的な問題も関係しているように思います。
仕事が属人的になりがちで、同僚が今どんな仕事を抱えているかわかりにくいという問題です。

ベテランか新人かに限らず、属人化は起こりやすいんですよね。
仕事の属人化についてはこちらの記事もご参照ください。
こうした構造的な要因も加わり、さらに話しかけづらい状況ができ、事務員に「気づかい疲れ」をもたらしているわけです。
でも、本当に必要なのは「足し算」ではありません。
むしろ、余計な気づかいを手放す「引き算」の気づかいこそ、心を軽くし、相手にも伝わる気づかいなのです。
そんな引き算の気づかいを身につけるためにおすすめの習慣を以降で詳しく見ていきましょう。
「引き算の気づかい」で心の余白をつくるための3つの習慣
先述したとおり、引き算の気づかいとは「がんばらない気づかい」です。
だから、書籍では特別な努力や我慢を必要としない「誰でも自然とできる気づかい」を紹介しています。
そんな中でも、特に誰でもできそうなものを3つピックアップしました。
私自身、生徒や教員、同僚などに試してみてその効果を実感していますので、参考にしていただければと思います。
①挨拶や会話のときに、きちんと目を合わせる
まずは書籍の解説を見てみましょう。
マナー講師として多くの一流の方とお会いし、取材したりお話しする中で確信を持って言えるのは「一流の方は、挨拶の時やお話する時にきちんと人と目を合わせる」ということです。しかも、決して相手に緊張させず、さりげなく。 P52
「超一流がさりげなくやっている がんばらない気づかい 挨拶から生き方まで」より引用

いや、当たり前すぎるでしょ。
そう感じた方も多いと思います。
しかし、これができていない事務員は少なくないというのが私の印象です。

特に挨拶は顔を上げずにする人が多いように思います。
うちの勤め先だけでしょうか。
気づかいをしようとすると、多くの人は「言葉」の方に意識が向きがち。
だから、「何を言えばいいのか」と考えてしまいます。
その結果「もっといいこと言わないと」と「足し算」の方向に流れるわけです。
しかし、もっと簡単かつ自然に気づかいしている印象を与える方法があります。
それが「目線」です。
挨拶のとき、会話のとき、書類を受け渡すときなどにほんの一瞬でも相手の目を見るだけで、「この人は自分に向き合ってくれている」という安心感が生まれます。
逆に、どれだけ丁寧な言葉を使っても、目が合わないと「事務的」「冷たい」「急いでいるのかな」と感じさせてしまうことがあります。

実際、書類提出に来た生徒に目を合わせながら「ありがとう」と伝えるようにしてから、生徒のリアクションが変わってきたように感じますね。
目を合わせることは、難しい気づかいではありません。
むしろ、最も効果の高い「がんばらない気づかい」です。
まずは、身近なところで練習してみましょう。
書籍では以下のような練習法をすすめています。
まずは、朝起きた時に、家族の目を見て「おはよう」から始めてみましょう。
「超一流がさりげなくやっている がんばらない気づかい 挨拶から生き方まで」より引用
もしくは、立ち寄ったコンビニやカフェの店員さんのことをチラッと見ることから始めてみましょう。 P56
最初は、生徒の目を一瞬見るというところからでも始めてみましょう。
②「小さなありがとう」を欠かさない
続いて紹介する「がんばらない気づかい」もシンプルです。
書籍の解説を確認してみましょう。
一流の人と接していて気づくのは、必ずしも丁寧な手紙を出したり、あるいは贈答品を渡してばかりいるわけではないということです。
「超一流がさりげなくやっている がんばらない気づかい 挨拶から生き方まで」より引用
むしろ、彼らが徹底しているのは、どんな人にも「小さなありがとう」を日々欠かさないこと。 口頭でもメールでも、ほんの短い一言なのに、細やかであたたかいお礼が続きます。 P93

一流、一流ってしつこいよ。
そう感じた方、落ち着いてください。
こういう考え方や習慣はできている人のマネをするのが、最も効果的かつ短期間で成果に結びつくと私は思っています。
ですので、あえてそういったものを選んでいるわけです。
意図をご理解いただければありがたいです。
さて、挨拶に並んでおろそかにしがちなのが「感謝」
きちんと感謝の言葉を口にできていますか?

特に小さなことに対して、適当にお礼をすましているシーンをよく見かけますね。
ただ、気づかい疲れの人は、
「もっと丁寧に言わなきゃ」
「もっと気の利いた言葉を添えなきゃ」
と考え過ぎてしまって、逆に感謝の言葉が言えなくなっているようにも感じます。
やはりこれも身近なところから練習して習慣づけるのが一番。
書籍では次のようなエピソードを紹介しています。
あるテレビ番組では、長年第一線で活躍する有名タレントが、駅員さんやコンビニ店員さん、宅配便の配達員さんにまで「いつもありがとうね!」と声を掛けていました。
「超一流がさりげなくやっている がんばらない気づかい 挨拶から生き方まで」より引用
一流の人ほど、普通の人が”当たり前”と思う出来事に、きちんと感謝しているのです。 P94
このお話を踏まえておすすめしたいのが生徒への感謝。
学校という職場環境をフルに活かして感謝を伝える練習をしてみるわけです。

さっきの挨拶の練習と同じですが、あまり関わりのない店員さんとかを相手にするのは少しハードルが高いですからね。
生徒も喜んでくれるので一石二鳥です。
③ファッション・テンション・リアクションを“少しだけ”整える
最後は、「ファッション・テンション・リアクション」です。
これも先に書籍の解説を見てみましょう。
「ファッション、テンション、リアクション」とは、私が尊敬する師匠から言われていた言葉です。
「超一流がさりげなくやっている がんばらない気づかい 挨拶から生き方まで」より引用
特に目上の方とお話しする時は、この3つを意識すると信頼してもらえるよと教えられ、いつも心に留めています。
ファッションとは、見た目や服装といった外見、テンションは、その場に相応しい、明るく朗らかな態度、リアクションは、お相手の話によく耳を傾け、きちんと反応することです。 P97
なかでも「ファッション」がポイント。
“人は見た目が9割”ということを意識すれば、ファッションこそ”がんばらない気づかい”の最善策と書籍では述べられています。

でも、私ファッションセンスないんですけど。
そう思った方、安心してください。
書籍ではファッションの一つとして「姿勢」に注目しています。
この姿勢に関する話として以下のようなエピソードも書籍で紹介されています。
ヨーロッパの社交場に行くと驚くのは、
「超一流がさりげなくやっている がんばらない気づかい 挨拶から生き方まで」より引用
「一流ほど、どこにいても姿勢がまっすぐ」
ということです。
(中略)
もっとも、美しい姿勢の基本はシンプルです。
・背筋をまっすぐ
・膝をそろえる
・首が前に出ない(壁に頭・肩。腰がつく状態) P106-107

また「一流」という言葉が出てきましたが、気にしないでくださいね。
ファッションセンスはイマイチでも姿勢は誰でも意識すればきれいにできます。
書籍では次のような日常生活の場面で姿勢を意識することをおすすめしています。
まずは、エレベーター待ちや信号待ち、電車の中で立っている時、コーヒーを入れている時などに「あ、姿勢」と思い出して姿勢を正してみましょう。 P108
「超一流がさりげなくやっている がんばらない気づかい 挨拶から生き方まで」より引用
これは私もマネしています。
姿勢だけでなく気持ちも整う効果を感じているのでおすすめです。
まとめ
「私立学校事務員のための“がんばらない気づかい”」についておさらいしましょう。
- 挨拶や会話できちんと目を合わせる→生徒の目を見て挨拶する
- 「小さなありがとう」を言う→生徒を相手に感謝の練習をする
- ファッション・テンション・リアクション→まずは「姿勢」を整える
気づかい疲れの原因は、「もっと」を積み重ねる足し算の気づかいにあります。
しかし、気づかいは量ではなく質。
余計な気づかいを手放す「引き算」の気づかいこそ、心を軽くし、相手にも自然と伝わる気づかいです。
この記事で紹介した3つの気づかい。
これらはどれも、難しいものではありません。
むしろ、日常の中で無理なく続けられるものばかりです。
早速できるところから始めて、余計な気づかいを手放し、心の余白を取り戻していきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。

