
この記事の内容は、以下のような人を対象にしています。
・私立学校事務員によくある人間関係のトラブルを知っておきたいと思っている人。
実は悩む人が多い?なぜ私立学校事務員は人間関係で悩みやすいのか
私立学校の事務員は、一般企業のバックオフィスとは異なる独特の環境で働いています。
学校という組織は、教員・生徒・保護者・地域など多様なステークホルダーが関わり、さらに「教育」という公共性の高い業務を担っています。
そのため、事務員は単なる事務作業にとどまらず、学校全体の調整役・潤滑油としての役割を求められます。
しかし、この“調整役”という立場こそが、しばしば人間関係の悩みを生みます。
例えば、
- 教員と保護者の板挟み
- 生徒からの相談が増えすぎる
- 教員文化とのギャップ
- 事務員同士の関係が密になりすぎる
- 閉鎖的な環境で相談相手が少ない
こうした状況が重なると、精神的な負担が大きくなり、「辞めたい」と感じる人も少なくありません。
実際に私が見てきた中で、定年退職以外で退職理由として最も多いと感じているのが人間関係のトラブルです。

私の勤め先の直近の退職者3名中3名とも人間関係のトラブルで退職しましたからね。
この記事では、私の経験に基づき、私立学校の事務員が特に悩みやすい人間関係トラブルを5つに整理し、その原因と対処法をわかりやすく解説したいと思います。
今悩んでいる人にとっては少しでも心が軽くなるヒントになれば幸いです。
ぜひ、皆さん自身の経験とも照らし合わせながら読んでください。
【トラブル1】教員との関係がしんどい
以前の記事で紹介しましたが、私立学校事務員にとって教員との協働はつきものです。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
これらの記事では、高校での事例だけを紹介していますが、基本的にどの学校種に配属されても教員とは協働して学校運営に取り組みます。

「教職協働」という言い方をしたりしますね。
この教員との関係で問題になりやすいところやその原因、対処法について見てみましょう。
● よくある悩み
私の印象では、以下のような悩みがよく話題に挙がっています。
- 事務の仕事を軽視される
- 「ちょっとお願い」と急な依頼が多い
- 期限や手続きの重要性を理解してもらえない
- 感情的に対応されることがある
- 事務を“雑用係”と誤解される

事務員のことを「事務」と呼ぶ教員は、こちらを軽視した態度を取りがちですね。
イラッとする教員の言動については別の記事でもまとめていますのでご覧ください。
では、なぜこのような悩みを抱えてしまうのでしょうか。
● 原因
日ごろの教員の言動や悩んでいる事務員からの話を私なりにまとめると、以下の点が悩みの原因だと考えられます。
- 教員は“教育の免許を与えられている”という自負が強い
- 学校全体が「教員中心」で回っている
- 事務員の専門性が見えにくい
- 事務員の仕事が多岐にわたり、理解されにくい

前2つは教員側、後2つは事務員側といったような区別ができますね。
教員は「教員免許」が必要だが、事務員には何の免許も必要ない。
こういった認識を持っている教員は少なからずいます。
そして運悪くこのような教員と関わることになると、その関係性に悩んでしまうわけです。
また、私立学校でも大学・短期大学以外の学校種では、教員が学校運営の中心にいる文化が強く、事務員が対等に意見を言いにくい雰囲気になることが多いです。

会議なんかで「もっとこうしたらいいのでは?」と提案したら、「授業のことを何もわかっていないくせに言いたいことだけいいやがって」みたいな空気になったことがありますよ。
このような状況下にいると、事務員は教員との関係で精神的なストレスを受けやすくなります。
そして何より、事務員の仕事は成果が見えにくい。
授業のように生徒と直接関わるわけでもなく、進学実績のように数字で示すことも難しい仕事です。
だからなかなか重要性を理解してもらえません。

「事務員の仕事は将来AIに奪われそうですね」ということを教員から言われたこともありますね。
事務員は、学校の経営を支えるという大事な役割を担っています。
そういう気持ちを持って仕事に取り組んでいる人にとっては、仕事に対する理解を得られないことはストレスとなり、大きな悩みへとつながってしまいます。
● 対処法
ここまで見てきたことをまとめると、悩みの原因は「教員>事務員」という意識にあると思われます。
しかし、他人の意識を変えることは難しい。
となると、自分の意識や行動を変える方が簡単という結論に至ります。
ただ、これは諦めて現状を受け入れろと言っているわけではありません。
「自分の仕事に集中しよう」ということが言いたいわけです。
そのためにはまず仕事を楽しむこと。
これについては以前の記事を参考にしていただければと思います。

「今日はこれができた」や「生徒の役に立った」ということに意識を向けようということですね。
また、日ごろから教員との関係に線を引いておくこともおすすめです。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
教員とは一定の距離を置き、目線を自分のやるべき仕事に向ける。
これを続けていれば、教員の態度が次第に気にならなくなります。
【トラブル2】保護者対応・クレーム対応のストレス
事務員は、保護者や外部の方からの第一報を受けることが多いです。

学校の代表番号が事務室直通なんですよね。
そのため、身に覚えのないお叱りやクレームを聞くこともしばしば。
そんな保護者対応・クレーム対応におけるトラブルについて見ていきましょう。
● よくある悩み
私がこれまでの事務員歴の中で、よく見たり聞いたりする悩みは以下のとおりです。
- 感情的なクレーム
- 電話が長時間に及ぶ
- 事務員に責任がない内容でも矢面に立つ
- 「学校の責任」として強く求められる
- 対応の仕方によっては炎上する可能性もある

私は最長で2時間半同じ人と電話で話をしました。
「これ、どこで終わるんだろう」と不安になりましたね。
ちなみにこれらは教員にも当てはまります。
冒頭に述べた直近3名の退職者は皆、保護者との関係に悩んで退職しています。
そう考えれば、相当重たい悩みとも言えそうです。
● 原因
私立学校は“公共の機関”というイメージが強く、世間からの期待値も高い傾向があります。
そのため、「ちゃんとしている」状態が当然と思われている節があります。

昨今はコンプライアンスが厳しくなっていますので、民間企業でも世間からの厳しい目が向けられていますけどね。
だからイメージと現実のギャップに対し、厳しい言葉が投げかけられる。
それが、感情的なクレームや長電話などに繋がっていると考えられます。
そうした厳しい言葉を真正面から受け止めてしまうため、思い悩んでしまうわけです。
● 対処法
結局これも自分ではどうすることもできないことへの悩みと言えると思います。

他人が相手ですからね。
従って対処法としては、「事務的に処理する」ことが一番だというのが私の考えです。
詳しい処理の仕方については、別の記事でまとめていますのでそちらをご参照ください。
それでも、事務的な処理に徹することができず、相手の態度をスルーすることができない場合は、以下の記事の方法で怒りをコントロールすることもおすすめです。
【トラブル3】生徒との距離感が難しい
近頃はなにかと「ハラスメント」として取り上げられることが多くなったように感じています。

「昔はOKだった」が通じなくなってきていますよね。
生徒との関係もその一つ。
こちらのちょっとした対応が、相手の気持ちを傷つけることになりかねず、生徒との距離感を測りかねている人も多いのではないでしょうか。
そんな生徒対応に関する悩みについて見ていきましょう。
● よくある悩み
生徒と接する機会が多い学校では、事務員が“話しやすい大人”として見られることがあります。

中学、高校なんかはそんな傾向が強いですね。
それはそれで楽しいというのは否定しません。
以下の記事でも取り上げていますが、私自身、生徒と接することに喜びを感じているからです。
しかし、生徒との接点が多い人ほど以下のような悩みを抱えがちになります。
- 相談されすぎて業務に支障をきたす
- ちょっとした言動が誤解されることもある
- 期待に応えられないと罪悪感を感じる
● 原因
私はこのような悩みが生じる原因の一つとして、事務員本人の「承認欲求」の強さがあるのではないかと思っています。
- 生徒にとって事務室を“安心できる場所”と思ってもらいたい
- 教員よりも頼りにされたい
- 「事務員の対応がよかった」と喜ばれたい
こうした思いの強さが悩みに繋がっているように感じています。

話していると「生徒愛」が強いと感じる人が多いんですよね。
● 対処法
こちらも先ほどの保護者や外部の方への対応と同様に、ある程度事務的に接することが必要だと思います。
そのために有効だと実感しているのが「ルールの設定」です。
•相談は短時間で区切る:「今は対応できないけれど、あとで聞くね」と伝えて、業務が止まるのを防ぐ。
•必要に応じて教員やカウンセラーへつなぐ:生徒指導やメンタル面の相談は、専門家に任せる
こんな感じで自分なりのルールを決めて、それを守るように努めましょう。
コツはとにかく少しずつでもやってみること。
「今日は前より対応時間を短くできた」など小さな成功体験を積み重ねてみましょう。
いくら生徒に頼られても、自分のメンタルが不調になっていてはどうしようもありません。
「生徒愛」より「自分愛」を優先することをおすすめします。
【トラブル4】事務員同士の関係がギスギスしやすい
民間企業から転職してきた人などの話を聞いていると、学校法人は割と閉鎖的な職場環境のようです。

学校同士の横のつながりみたいなものもあまりありませんし、取引先とのつきあいといったもの少ないですね。
ずっとその環境にいると「こんなもの」と思ってしまいますが。
そんな職場内における事務員同士のトラブルや対処法などについて見ていきましょう。
● よくある悩み
前述の職場環境に加え、特に中学や高校の事務室に勤める事務員は少人数で働くというケースも多いため、関係が密になりやすく、トラブルが起きると逃げ場がありません。

だから合わない人が一人でもいると致命傷になるんですよね。
逆に自分が周りから孤立する場合もあったりします。
だから、以下のような悩みをよく聞きます。
- ベテランの独自ルールがあってやりづらい
- 上司・同僚などと合わない場合でも異動先がない
- 仕事が属人化していて、自分の業務でわからないことがあっても尋ねられない
- 「自分のことは自分でなんとかしろ」という相談しにくい雰囲気がある

私の知人は仕事でわからないことがあったので、上司に尋ねると「それ〇〇さん(その知人の前任者)がやってたから、私わからない」と一蹴されたそうです。
絶望しかなかったと言ってました。
● 原因
最も大きな原因として考えられるのはやはり環境だと思います。

正直、「配属ガチャ」的な要素は大きいというのが私の実感です。
- 人数が少ないため、相性の影響が大きい
- 相談相手が限られてしまう
- 他人の業務には極力関わろうとしない人が多い(上司であっても)
実際、私の先輩事務員は上司からの仕事の丸投げ&放置により心を病んでしばらく休職していたことがあります。
復職してから話を聞くと、

まったくわからない仕事を相談できない環境でやるのって結構ストレスが溜まる。
という旨のことを言っていたのが印象に残っています。
● 対処法
「ガチャ要素」の部分はどうにもなりませんが、職場環境改善に向けた行動はとることができます。
- 業務のマニュアル化 属人化を防ぎ、誰がやっても同じ品質になるようにする
- 定期的な情報共有 「知らなかった」「聞いていない」を減らす
- 言いにくいことを言える場をつくる 月1回のミーティングなど、建設的に話せる場をもつ
特に「マニュアル作成」は自分のペースで取り組めますのでおすすめです。
繰り返しになりますが、「自分で変えられないもの」に目を向けないようにしましょう。
【トラブル5】教員・保護者・生徒の板挟みになる
最後はこれまでの4つの複合系といったところです。
「あちらを立てればこちらが立たず」のような状況に陥ることもあります。
そんな悩みについて、詳しく見ていきます。
● よくある悩み
事務員は、ポジション的にしばしば“板挟み”の立場に置かれます。
- 保護者が求めることと教員の意向が食い違う
- 生徒の訴えと学校方針がズレる
- 取引先の要望と上司の考えが合わない
- 役員の指示を伝えると現場の事務員が抵抗する
私の以前の勤め先では、最後の例で何人もの事務員が退職していきました。
役員の指示を「無茶ぶり」と受け取り、それが続いて「もうやってられない」と退職するわけです。
● 原因
こうした悩みの根底には、その人の「真面目さ」が関係していると感じています。
- 中立的な立場で、調整役としての役目を果たしたい
- 教員や保護者、生徒の役に立ちたい
- 「役員の指示=絶対」と捉え、なんとしてでも仕事を進めようとする
こんな真面目さがあるゆえに、両者からの言い分を素直に受け入れてしまう。
そしてうまくいかず悩むというわけです。
● 対処法
私の経験上、両者が納得して解決することはまずありません。

そう言ってしまうと身も蓋もありませんが。
だからとにかく「できること」にフォーカスして、仕事を粛々と進めるのが一番の対処法です。
そんなときに意識したいのが「処理可能感」
詳しくは以下の記事をご覧ください。
日頃から小さなことでも「なんとかなった」という経験を積むようにしておいてください。
そうすれば、板挟みで「どうにもならない」といった状況でも、「なんとかなる」という気持ちを保つことができ、乗り越えられる可能性が高まります。
まとめ
私立学校事務員の人間関係トラブルは、個人の「物事の捉え方」で解決できる部分が多いものです。
もちろん、仕組みを整えることでストレスを大きく減らすこともできます。
- 業務のマニュアル化
- 対応基準の統一と明確化
- 情報共有の徹底
これらを整えることで、悩みが軽減され、安心して働ける環境が生まれます。
「他人を変える」ということに意識がいかないように、こうした自分の意識や職場の仕組みの方に目を向けましょう。
この記事が、少しでも皆さんの心を軽くし、より働きやすい環境づくりのヒントになれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。









