

この記事は以下のような人を対象としています。
・説明が苦手で、自分の思いや考えをうまく相手に伝えられないと悩んでいる人
“1メッセージ”で伝えて周りからの信頼感アップ!

自分が発言したあと、周りの人が『何言っているのかわからない』という表情をするんだよなぁ。

伝えたいことがまとまらず、頭の中に浮かんだことをあれこれしゃべってしまうのよねぇ。
こんな悩みをお持ちではありませんか。
日々の業務に加えて、様々な場面で”調整役”の立場を担う私立学校事務員にとって、「話の伝わりやすさ」は常に意識しておきたいポイントです。
しかし、意識していても実際に話し出すとこれがなかなかうまくいかない。
その結果、冒頭のような悩みにつながってしまうわけです。

私の場合、話しながら自分で何を言っているのかわからなくなってしまうことが多いんですよね。
私自身、このような悩みを抱えているので、その状況を改善すべく様々な書籍を読み、そこに書かれている内容を実践してきました。
その様子については、以下の記事をお読みいただければと思います。
そして、これらの記事で紹介したトレーニング法や伝え方のコツに取り組んでみた結果、実感したことがあります。
それは「説明がうまくできないのは自分の生まれ持った能力の問題である」という思い込みが、自分を説明下手にしている一番の原因であるということです。
この思い込みがあるからテクニックなどを学ぼうということに意識が向かず、とにかく思いつくままにしゃべり、また「うまくしゃべられなかった」と自己嫌悪に陥る。
だから、この悪循環から抜け出すことが大切です。
そこで今回は、「1メッセージ」で伝えるためのコツを紹介した書籍の中から、私が実際にやってみて効果を実感したものをしたいと思います。
「1メッセージ」とはメッセージを1つに絞って一文にしたものを指します。
その「1メッセージ」作成のコツを身につけ、相手にとって一番大事な論点に絞ったメッセージを伝えられるようになることで、周りからも「あの人の発言は聞こう」と思われるようになります。
それが仕事における信用度のアップや仕事の進めやすさ、良好な人間関係の構築などにもつながることが期待できます。
参考にしていただければ幸いです。
書籍の紹介
書籍名:1メッセージ 究極にシンプルな伝え方
著者名:杉野 幹人
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2025年8月19日
私立学校事務員にこそ「1メッセージ」が必要な理由
前述のとおり私立学校事務員は”調整役”としての役割を担っています。
その役割を果たすために「説明」というステップをとばすことできません。

暗黙の了解で誤解が生じなければ楽なんですけどね。
しかし、その「説明」のステップの難易度を上げる要因がいくつか存在します。
以降では、私の経験上、難易度を特に上げていると感じているものを3つ紹介したいと思います。
その3つとは以下のとおりです。
- 専門用語が多い
- 相手の立場が多様
- 情報量が多い
これらの要因に対処するために「1メッセージ」が有効ということになりますので、理解しておきましょう。
理由①専門用語が多い
まず一つ目は、学校特有の専門用語の存在です。
- 「就学支援金」や「奨学のための給付金」などの行政の施策に関する用語
- 「事業活動収支差額」や「教育活動収支差額」などの会計に関する用語
- 「アドミッションポリシー」や「スクールミッション」などの教育に関する用語
こうした専門用語をそのまま使ってしまうと、多くの場合、相手に伝わりにくい説明になってしまいがちです。

「就学支援金」や「奨学のための給付金」なんか、担当者以外からすると「どう違うの?」といった感じですからね。
だから専門用語が指す内容を理解して、わかりやすくかみ砕きながら相手の論点に沿った説明をする必要がある。
これが説明の難易度を上げているわけです。
理由②相手の立場が多様
二つ目は、学校運営に関わる様々なステークホルダーの存在です。
生徒、保護者、取引先、教員など立場が異なる相手に応じた説明が必要になります。
例えば、学校の財政状況の説明。
- 生徒・保護者:自分たちが支払ったお金が適切に使用されているか
- 取引先・教員:安心して取引できるまたは働き続けられる財政状況か
このように、同じ事柄でも相手によって説明内容をガラッと変える必要があるというわけです。

立場によって論点が異なりますからね。
近年は特に「説明責任」を果たすことが強く求められています。
それがさらに説明の難易度を上げていると私は感じています。
理由③情報量が多い
三つ目は情報量が多いという点です。
先ほど例に挙げた学校の財政状況も、情報量が多いものの一つです。

計算書類なんか、情報の塊と言っても過言ではないですからね。
そんな資料などから適切な情報を抜き出し、相手に伝えなければならないわけです。
実際の話ですが、私の上司が教員に対して学校の財政状況を説明した時のことです。
私から見て「これでもか!」と感じるくらいに情報を盛り込んだ資料を基に、上司が与えられた時間を目一杯に使ってマシンガントークを繰り広げていました。
普段から経理・会計業務に携わっている私ですら、聞いていてしんどくなるような情報量の多さでしたので、教員からすればうんざりといったところだったと思います。
だから、その説明会が終わった後、多くの教員が特に質問もせず退席。
そのまま向かった先がシュレッダーでした。

大量の資料が次々と粉々にされていくのを見て、なんとも言えない気持ちになりました。
情報量を調整することの重要性を感じた出来事でした。
今日からできる!1メッセージを作るためのコツ
説明の難易度を上げている3つの要因を確認したところで、それらに対処するための「1メッセージを作るコツ」を確認していきたいと思います。

いや、そもそも苦手なことの克服より得意なことを伸ばす方に力を入れた方がいいんじゃないの?
そういう考え方もあると思います。
私も基本的にはそのスタンスに賛成派です。
別の記事でも、自分が得意とすることや好きなことを勝手に「架空の資格」にして知識や経験を積むことをおすすめしています。
詳しくは以下の記事をお読みください。
ただ、本当に苦手なことと苦手と思い込んでいることとは別物です。
だから、とりあえず小さなことでも一つずつ試してみることが大事だと私は考えています。

それで向いてないと感じたら、無理しなければいいわけですので。
逆にうまくできたら、それが一つの成功体験となって次につなげることができます。
そこで、今日からでもできる「1メッセージ」を作るためのコツの中でも私が「今日からでもできる」と実感している3つ紹介したいと思います。
その3つとは以下のとおりです。
- 疑問文で論点を提示
- 反論可能性と反証可能性でメッセージを精鋭化
- 「小さな言葉」と「数字」と「相手の言葉」でイメージを具体化
一つずつ見ていきましょう。
【コツの前に】意識したいSN比
コツをお伝えする前に、一つ意識してほしいことがあります。
それが「SN比」です。
書籍の解説を見てみましょう。
相手に伝えるためには大事なのは、あくまでSN比だ。シグナルを強くするのと同じくらい、ノイズを減らすことが大事なのだ。しかし、ノイズを減らすことは見落とされがちだ。 P40
「1メッセージ 究極にシンプルな伝え方」より引用
Sはシグナルのことで、相手にとって意味がある情報のこと。NはS以外の情報のことを指します。
先ほど例に挙げた私の上司のケースで言えば、Nが非常に多かったように思います。

もちろんSもあったんですけどね。
だから、以降のコツを見る際にはこの「Sを強くする」と「Nを減らす」を意識していただければと思います。
コツ①疑問文で論点を提示
まずは「疑問文で論点を提示」です。
これは前述の「Nを減らす」の意味合いが強いと私は感じています。
早速書籍の解説を確認してみましょう。
論点を言語化して提示するときには、相手が直感的に自分の一番大事な論点かどうかを判断できるように疑問文の形態で提示するとよい。 P107
「1メッセージ 究極にシンプルな伝え方」より引用
「1メッセージ」を作るためには「論点を絞る」作業が必要になります。
そのためには「相手の話を聞く」「相手に質問する」といった方法も有効です。
これらの方法については以下の記事も参考にしていただければと思います。
そしてもう一つの方法が「疑問文で論点を提示する」になります。
もう少し具体的に解説した箇所がありますのでそちらも確認しておきましょう。
論点にこだわる人は、資料などで論点を疑問文で言語化する際に、疑問文の末尾に「?」とクエスチョンマークを入れる。
「1メッセージ 究極にシンプルな伝え方」より引用
そのほうが、より直感的に論点らしく見え、相手が論点を自然と想起することをさらに助けるからだ。 P115
また先ほどの私の上司の例に戻りますが、そもそもこの上司は「論点を絞る」というステップを踏んでいません。
とにかく自分の言いたいことを全て詰め込んだといった状況でした。

ヒアリングやアンケートを行っている様子はなかったですね。
だから例えば事前に、

皆さんが気になっているのは、『このままの状況が続いても学校は存続できるのか』ですか?
と、提示しておけばシュレッダー送りになる資料を減らせたかもしれません。
だから、私はこの「疑問文で論点を提示する」という方法を知ってから、保護者の方と面談する際には「お聞きになりたことは『〇〇か』ですか?」と尋ねるようにしています。
ちょっとした相談でも練習できますのでぜひお試しください。
コツ②反論可能性と反証可能性でメッセージを精鋭化
続いてのコツは「反論可能性と反証可能性でメッセージを精鋭化」です。
まず「反論可能性」とは「議論で否定できるか」ということを意味しています。

それと1メッセージが何の関係があるの?
そう感じた方もいると思います。
だからまずは「反論可能性」の必要性を確認しておきましょう。
1メッセージでは、反論可能性が高ければ高いほど、相手の興味を引き、その結果相手に伝わり、相手を動かすことができる。 P142
「1メッセージ 究極にシンプルな伝え方」より引用
これについても、思い当たることがあります。
あるとき教室で盗難事件があり、会議で今後の対策について話し合われました。
その際、一人の教員から次のような発言がありました。

学校のセキュリティ体制に問題があると思います。
おそらく、その場にいたほとんどの人間が「だから話し合っているんだよ」と思ったはずです。
当然、発言はスルーされました。
これは「反論可能性」がないメッセージの一つの例だと思います。
書籍では「0メッセージ」と表現されています。
この例では教員の発言を取り上げていますが、事務員でもこうした「0メッセージ」の発言をする人は多いと感じています。

とりあえず言っておけば「あのとき言ったでしょ」と言えますからね。
だからあえて「反論可能性」を高めるということが有効というわけです。
そしてもう一つの「反証可能性」とは「検証で否定できるか」ということを意味しています。
「反論可能性」が「その場で否定」、「反証可能性」が「後から否定」と理解すれば問題ないと思います。
この2点を意識してメッセージを尖らせて、相手に「本当に?」と興味を持ってもらうことを練習してみましょう。

私は個人的な相談に応じる際には、あえて極端な提案をしてみたりします。
これも一つの練習法かなと実感しています。
コツ③「小さな言葉」と「数字」と「相手の言葉」でイメージを具体化
最後は「イメージの具体化」です。
相手が具体的にイメージできるかたちにしてメッセージを伝えるということです。
そこで意識したいのが「小さな言葉」「数字」「相手の言葉」です。
それぞれ書籍の解説を見ておきましょう。
人を動かす1メッセージを伝えるために、メッセージを1つに絞って一文にする際には、生々しい言葉に磨き固めよう。
「1メッセージ 究極にシンプルな伝え方」より引用
その生々しい言葉にするための最初のコツは、「小さな言葉」と抽象的な「大きな言葉」があったときには、「小さな言葉」を選ぶことなのだ。 P222
例を挙げると「地方」が「大きな言葉」、「〇〇県」が「小さな言葉」ということになります。

当たり前ですが、「小さな言葉」の方がより具体的ですよね。
だから、私は仕事で文書を作成したら、一度「大きな言葉」がないかを探し、「小さな言葉」に変換できないかを見直すようにしています。
「数字」については言うまでもないと思いますが、一応解説を載せておきます。
結晶化の2つ目のコツは、「数字」でピンポイントに伝えることだ。
「1メッセージ 究極にシンプルな伝え方」より引用
数字でピンポイントに伝えるとは、数字にできるところは数字に置き換えて伝えるということだ。
数字で伝えることで生々しくなり、相手が具体的にイメージしやすくなるからだ。 P237
これも普段の資料やメール文の作成で練習できます。
最後は「相手の言葉」です。
書籍では以下のように紹介しています。
相手がすでに言語化している言葉を、伝え手が勝手に別の言葉に置き換えて伝えると、その差分がノイズになる。
「「1メッセージ 究極にシンプルな伝え方」より引用
(中略)
1メッセージでは、相手の言葉を使うことで、相手にとってはより自然に具体をイメージしやすい生々しい言葉になるのだ。 P254
相手の話を聞く時も、相手の言った言葉をそのまま繰り返す「オウム返し」という方法が有効だと様々なところで紹介されています。
だから、その効果はお墨付きと言えます。
これは普段の会話で練習できますので、気軽に取り組んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
「1メッセージを作るためのコツ」をおさらいしましょう。
- 疑問文で論点を提示→論点を絞る
- 反論可能性と反証可能性でメッセージを精鋭化→興味を引いて聞いてもらう
- 「小さな言葉」と「数字」と「相手の言葉」でイメージを具体化→生々しさをプラスする
説明が苦手な方でもこの3つのコツはすぐにでも練習できます。
小さな練習を重ねてうまく「1メッセージ」を作れるようになりましょう。
そして、周りから話を聞いてもらえる存在になり、そこから信頼される事務員を目指してみてはいかがでしょうか。
今回の記事がその一助になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。





