

この記事の内容は、以下のような人を対象にしています。
・今よりももっと上手なほめ方を学んで、生徒と良好な関係を築きたいと考えている人。
はじめに:”ほめ方”のコツを学んで、生徒との距離を縮めよう!

生徒をほめているつもりなんだけど、イマイチうまく伝わっていない気がする。

私のほめ方、生徒からは口先だけのように思われていないかな。
こんな悩みが頭に浮かんだ経験、ありませんか。
以前の記事でも、ほめ方の一つとして「プチ褒め」の方法をお伝えしました。
私個人の意見ですが、「ほめる」は「挨拶」と同じくらい他人との良好な人間関係を構築するために必要なコミュニケーション方法だと思っています。

挨拶してもらえたり、ほめてもらったりすると自然と気分がよくなりますからね。
ただ、このほめ方が難しい。
特に生徒対応の場面では、事務員として丁寧に言葉を選んでいるつもりでも、相手の反応がどこかぎこちないということがよくあります。

特に最近の生徒たちは、昔に比べて繊細なイメージがありますね。
こちらの意図しない受け取り方をするケースもあります。
そんなギャップが生じてしまうのは、
- ほめる対象として結果ばかりに注意が向いてしまっている
- 心のどこかで生徒を「上から目線」で見てしまっている
といったことが原因かもしれません。
では、どうすればそのような状況を改善できるのか。
そのための方法として、長年にわたり、多くの子どもをほめてきた経験のある人から、「どこをほめるか」「どうほめるか」のコツを学ぶことが有益だと考えられます。
そこで今回注目したのが、添削指導でお馴染みの”赤ペン先生”です。
赤ペン先生の添削に見られるような、相手の努力や変化を丁寧に拾い上げる視点を持つことで、ほめ言葉は一気に自然で伝わりやすいものになるはずです。
そんな赤ペン先生のメソッドを紹介している書籍から、私が実践するなどして「これは誰でもできるうえに、効果がある」と感じたものをピックアップして解説します。
事務員の一言が変われば、生徒の表情も変わります。
ほめ方を磨くことは、事務員としての信頼を高め、生徒との関係をより良いものにするための確かな一歩です。
無理なく実践できる“伝わるほめ方”を身につけていきましょう。
書籍の紹介
書籍名:57年間、9200万人の子どもを励まし続けた 赤ペン先生のほめ方
著者名:佐村 俊恵
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2026年3月10日
「どこをほめるか」―「過程」と「過去」に注目
まずはほめるポイントから見てみましょう。
先述したとおり、どうしても結果ばかりに目がいってしまう人が多いです。

私も人のことは言えませんが。
しかし「結果がよかったからほめる」というスタンスは、逆に言えば「結果がよくなければほめるところがない」ということになってしまいます。
これでは、なかなか相手とのコミュニケーションもうまくいきません。
そこで、「結果」以外の部分で注目すべきところを2つ、以降で紹介していきます。
ポイント①「過程」|無条件で認める
皆さんも学校のテストの点数で、親からほめられたり叱られたりしたことがあると思います。
その際、点数だけで評価されたという人は多いのではないでしょうか。
そこに至るまでに、自分としてはそれなりに勉強したつもりでも、それには特に触れてもらえない。
単純に点数だけを見て「もっと勉強しないと」とか「もう少し」といった言葉を親から言われた経験は、一度や二度ではないと思います。

私はそれが嫌で、わざとテストを見せなかったことが何度もありますね。
しかし皆さんも思い返してみてください。
生徒に対して同じように、結果だけを評価して声をかけてはいませんでしょうか。
書籍では、赤ペン先生が一番大切にしているのは「結果」ではなく「過程」だと述べられています。
ため息をついているおうちのかたに、まずお伝えしたいこと。それは、私たち赤ペン先生が一番大切にしているのは、「結果」ではなく「過程」だということです。なぜなら過程をほめてこそ、その子自身を無条件で丸ごと認めたことになるからです。 P20
「57年間、9200万人の子どもを励まし続けた 赤ペン先生のほめ方」より引用
私の勤め先では以前、こんなことがありました。
部活動の試合結果を、生徒が事務室に伝えに来たのです。
残念ながら結果がふるわなかったのですが、その際、事務員から「まだまだ」という声をかけられていました。
当の事務員は励ましているつもりですが、生徒の方は「そうですね・・・」といった様子。
当然、生徒の表情は暗いままでした。
ただ、別の事務員から「毎朝〇時から登校して練習がんばってたね」と言われたときに生徒の様子が一変。
それまで下を向いていた目線が上がり、事務員の顔を見ながら話をするようになったのです。
書籍を読んだ際に、この出来事が私の頭の中によみがえり、「確かに結果より過程だ」と感じました。
「過程」をほめるためには、普段から生徒の様子を見ておく必要があります。
「ここをほめてあげたい」というところを探しながら、普段の生徒対応などに取り組んでみてはいかがでしょうか。
ポイント②「過去」|生徒の変化に気づく
もう一つのほめるポイントは「過去」です。
まずは書籍の解説を引用します。
比べる対象はあくまで「過去のその子」。そして、確実に伸びている部分を見つけたら、それを「〇〇できるようになったね」という言葉で伝えます。「前はできなかったことができるようになった」という変化を言葉にすることで、子どもの自身を大きく育てることができるのです。 P40
「57年間、9200万人の子どもを励まし続けた 赤ペン先生のほめ方」より引用
これも私の勤め先での話ですが、忘れ物が非常に多い生徒がいました。
忘れ物をしては、そのたびに母親が学校まで届けに来ていたのです。

一応言っておきますが、小学校ではなく高校のお話ですよ。
当然、事務室への提出物も忘れがち。
何度も事務員から呼び出しを食らっていました。
そんなある日のことです。
提出物の締切日をむかえて、未提出者への督促準備を進めていました。
未提出者をリストアップし、眺めていると、未提出の常連だったその生徒の名前がないことに気づきました。
「見落としたのか」と思い、調べてみるときちんと期限内に提出されていたのです。
「そんなこともあるのかな」とそのときはそれほど気にも留めませんでしたが、よくよく思い返してみると、最近母親の姿を見ないことに気づきました。
そこで後日、その生徒を見かけた際に、

忘れ物がなくなったね。
と、声をかけたのです。
すると、よくぞ触れてくれたと言わんばかりに明るい笑顔で「そうなんですよ」という言葉が返ってきました。
小さいころから忘れ物グセがあったのを本人も気にしていて、高校生になってようやくそれが改善できたことをとても喜んで話してくれました。
個人的な感覚ですが、それからその生徒の雰囲気が一層明るくなったように感じています。
過去の自分からの変化をほめることは、本人にとってプラスの影響を与えるということを実感したケースでした。
皆さんも、ぜひそんな生徒の「過去からの変化」に気づいてあげましょう。
「どうほめるか」―いつものほめ言葉を少しだけ変えてみる
「どこをほめるか」を理解したところで、今度は「どうほめるか」を具体的に見ていきましょう。
とは言っても、何も凝った言い回しをする必要はありません。
書籍では、よく言いがちなほめ言葉を以下のように変えることをすすめています。
- がんばろう→がんばったね
- がんばれ→一緒にがんばろう
- あと少しだったのに→おしい!+伸びしろ
どれも「そんな単純なことでいいの?」と思ってしまいそうなものばかりですが、私自身の経験に照らしてみても「確かに」と納得のいくものばかりでした。
それでは早速順番に見ていきましょう。
ほめ方①「がんばったね」で過程をほめる
先述したとおり、生徒をほめるとき、多くの事務員がつい結果に目を向けてしまいがちです。

特に私のような中年男性は、そうやってほめられてきたので、それが体に染みついてしまっているんですよね。
しかし、先ほど紹介したように、赤ペン先生が長年の添削で最も大切にしてきたのは、「結果よりも過程をほめること」
相手を丸ごと認めてあげることでした。
だから、努力の軌跡や小さな変化に目を向けることが大切なのですが、それがわかっていてもハマってしまう落とし穴があります。
それが「がんばろう」という声かけです。
書籍の解説を引用します。
ここで注意したいのが「がんばろう」という言葉。「がんばろう」と「がんばったね」は、似ているようでまったく違います。子どもがテストで思うような点数を取れなかったときなど、励ますつもりで「次こそはがんばろう」と声をかけてはいませんか。子どもとしては自分なりにがんばっていたのに、「がんばろう」と言われてしまうと、「今回はがんばっていなかったと思われているんだ」とガッカリしてしまうかもしれません。 P29
「57年間、9200万人の子どもを励まし続けた 赤ペン先生のほめ方」より引用

確かに自分のことを思い返しても「がんばろう」と言われると「そんなこと言われなくても、がんばってるよ!」って言い返したくなることがありましたね。
一方「がんばったね」は、子どもの努力をそのまま肯定する言葉です。
結果がどうであれ、「あなたの取り組みをちゃんと見ているよ」というメッセージが伝わります。
ちなみに、この「がんばったね」を使うのにおすすめのシーンは学校行事です。
体育祭や文化祭などの最中に「がんばったね」と声をかけてあげると、行事での気持ちの高ぶりも加わり、とても晴れやかな笑顔でよろこんでくれます。
生徒の「行動の過程」をよく見て少し言い方を変えるだけですので、早速明日からでも試してみてはいかがでしょうか。
ほめ方②「一緒にがんばろう」で連帯感を出す
生徒を励ますとき、つい「がんばれ」と声をかけてしまうことがあります。

これもさっきみたいに「がんばっているんだから、がんばれって言うな!」という気持ちになってしまいます。
でもなぜか他人には言ってしまうんですよね。
もちろん悪気はありませんし、前向きになってほしいという気持ちから出る言葉です。
しかし、生徒にとって「がんばれ」は、時に“指示されている”“もっとやれと言われている”と感じられることがあります。
だから大切なのは、励ましの言葉を「監督」ではなく「応援団」の立場から届けるという視点。
書籍では以下のように述べられています。
「がんばれ」と言うとき、大人は子どもの前や後ろに立って、支持を出したりお尻を叩いたりする「監督」になりがちです。
「57年間、9200万人の子どもを励まし続けた 赤ペン先生のほめ方」より引用
(中略)
一方、「一緒にがんばろう」は、監督よりも「応援団」に近い言葉です。マラソンの応援団として、沿道で声をからしているときは、心は選手と一緒に走っていますよね。そんな「連帯感」を伝えてあげることが、子どもの心を軽くし、前へ進む勇気を引き出します。 P145
先ほど紹介したとおり単なる「がんばろう」は誤解を招きやすいです。
しかし「一緒にがんばろう」という言葉は、事務員が生徒の“伴走者”であることを示すメッセージとして誤解を与えることなく伝わりやすい印象を受けます。
特に最近の生徒は「ゆるくつながる」ということを好む傾向があります。
以前の記事でもそんな若者の傾向について紹介していますので、ご覧ください。
「一緒にがんばろう」という言葉で、連帯感と安心感を届け、生徒が前へ進む力をそっと支えていきましょう。
ほめ方③「おしい+伸びしろ」で前向きな気持ちを引き出す
生徒が事務室に来るとき、提出物の不備などちょっとした“うまくいかなさ”を指摘することがあります。
そんな場面でミスを指摘するだけの対応をしてしまうと、生徒の心をしぼませてしまいます。

仕事でもミスだけ指摘されると、なんとも言えない気持ちになりますよね。
そこで活用したい言葉が「おしい!」
「おしい!」には、できていない部分を責めるニュアンスがありません。
むしろ、「ほとんどできていた」という肯定のメッセージが含まれています。
書籍でもこの点について以下のように解説しています。
大切なのは、「おしい!」に続けて必ず「どうすればよかったか」を具体的に伝えることです。そうすることで、「全然できなかった」のではなく「ほとんどできていた」という心理状態をつくってあげるのです。すると子どもたちも、「次はできる!」という前向きな気持ちになり、失敗を怖がらなくなります。 P111
「57年間、9200万人の子どもを励まし続けた 赤ペン先生のほめ方」より引用
事務室での対応に置き換えるなら、「おしい!ここにもう一枚書類が必要なんだ。次はきっと大丈夫」といった声かけが効果的です。
生徒は「できていないところを責められた」のではなく、「あと少しでできた」と肯定的に受け止めてくれるはずです。
ミスがあったときの第一声を「おしい!」にすることを習慣づける。
まずはそこから取り組んでみることをおすすめします。
まとめ
「赤ペン先生に学ぶほめ方の技術」についておさらいしましょう。
- ほめるポイントは「過程」と「過去からの変化」→普段から生徒の様子を観察してみる
- 「がんばろう」ではなく「がんばったね」→過程をメインにほめる
- 「がんばろう」に「一緒に」をプラス→生徒とゆるくつながってみよう
- 「おしい+伸びしろ」でステップアップ→「あと一歩」ということを伝える
事務室は、生徒にとって安心できる場所にも、不安を抱える場所にもなり得ます。
だからこそ、事務員の一言が大事というわけです。
この記事で紹介したポイントや方法を活用して、生徒との良好な関係を構築しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。


