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基礎134:私立学校事務員が知っておくべき「科研費」の基礎と管理実務ポイントまとめ

学校事務員のお仕事(基礎知識編)
jimmy
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この記事は以下のような人を対象としています。
・「お金を守る力」を身につけて、周りからの信頼感をアップさせたい人

はじめに:なぜ私立学校事務員が科研費を知っておくべきなのか

少し前の話になりますが、とある学校法人が「科研費」を自法人に勤める職員の給与支払いに一時的に充てていたことが報じられました

ただ、このニュースを見て、「科研費って何?」と思った人も少なからずいると思います。

jimmy
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中学や高校にしか勤めたことのない私立学校事務員にとっては、まさに「何それ?」といった感じでしょうね。

大学や短期大学に勤めている事務員でも、この言葉を耳にしたことはあっても実務に携わったことはないという人が多いはず。
科研費とはそんな存在というのが私の印象です。

そんな科研費の基礎的な知識と管理するうえでのポイントをこの記事では解説します

とある私立学校事務員A
とある私立学校事務員A

じゃあ、私には関係なさそう。

そう思った人、ちょっと待ってください。

科研費は大学などの研究機関だけの話と思われがちですが、決してそうではありません
その仕組みや管理方法を学ぶことは、私立学校事務員として身につけておくべき「お金を守る力」を育てることにつながります。

そしてそれは、多くのステークホルダーからの学校法人全体に対する安心感信頼獲得にも関わってくるわけです。

そのためにこの記事では、科研費の基本的な仕組みから、事務員としておさえておきたい管理のポイントまでを、できるだけわかりやすく整理しました

大学事務の経験がない方でも理解できるように、専門用語をかみ砕いて説明しています。
ぜひ、日々の業務の「知識の引き出し」を一つ増やすつもりで読み進めていただければ幸いです。

なお、この記事では、科研費の申請に関する事務については取り扱いませんのでご容赦ください。

科研費とは何か(基本の仕組み)

そもそも「科研費」とは何か。
正しくは「科学研究費助成事業」のことを指します。

参考までにその定義を文部科学省のホームページから引用します。

科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金/科学研究費補助金)は、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を格段に発展させることを目的とする「競争的研究資金」であり、ピアレビューによる審査を経て、独創的・先駆的な研究に対する助成を行うものです。

文部科学省ホームページより引用
jimmy
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この時点で意味不明だと思った方、まだあきらめないでくださいね。

ここから実際に実務に携わっていた私が「実務上、この程度理解しておけばいい」というレベルにかみ砕いて説明します

まずおさえておくべきポイントは以下の3点です。

  • 科研費の目的
    研究者(大学教授など)の研究を資金的に支援すること
  • どの機関が運営しているのか
    文部科学省と独立行政法人日本学術振興会
  • どうすれば科研費がもらえるか
    研究者が申請し、採択されることで助成を受けることができる

つまり、

国としては社会や文化が発展してほしい
→そのためには研究者たちに頑張ってほしい
→頑張ってもらうためにはお金が必要だ
→じゃあ「私、こんな研究を頑張っています」というのを申し出てもらおう
→その内容を見て「いいね!」というものに助成しよう

という仕組みになります。

まずは、このような理屈とこの際に助成されるお金のことを「科研費」と呼ぶということを理解しておけば十分だと思います。

科研費の流れと事務が関わるポイント

では、科研費の目的や仕組みを理解したところで、今度は事務員がどのように関わるのかを見ていきましょう。

科研費業務の大まかなサイクルは以下のとおりです。

申請 → 採択(審査) → 配分 → 使用 → 報告

まず、申請についてです。
研究者が個別に文部科学省等に申請書類を提出するのではなく、研究機関ごとに取りまとめる必要があります

ここで、申請担当部署の事務員は関わることになります

余談ですが、この申請事務もなかなか大変なようです。

申請に際しては、使用と同様に細かなルールが定められていますが、このルールを見ない研究者が本当に多い。
こちらにチェックを任せていて、「問題があれば修正します」というスタンスであればいいのですが、不備を指摘すると逆ギレしてくる研究者も少なくないようです

jimmy
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申請担当部署に怒鳴り込んできたという話も耳にしたことがありますね。

そんな申請手続きのあと、採択・不採択の審査を経て、採択された研究について科研費が研究機関に振り込まれます。

振り込まれた科研費を、研究者は研究計画に基づき使用し、最終的にその年度の研究成果と使用した科研費の実績をまとめて報告するという流れになります。

この振り込まれた科研費の管理も事務員が担います

jimmy
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私はここを担当していましたね。

また、申請担当の事務員は報告の取りまとめも基本的に担当することになります

まとめると、

  • 科研費の申請と報告に関わる事務員
  • 科研費の管理に携わる事務員

この2パターンに分かれると理解しておけば、とりあえず問題ありません。

科研費の管理でやるべきこと3点

それでは具体的に科研費の管理について見ていきましょう。

科研費は前述のとおり、研究者が申請して助成を受ける仕組みのものなので、本来は研究者自身が管理するものです。

しかし、研究者には研究に専念してほしい
ということで、研究機関は科研費の管理を任されているとここでは理解しておきましょう

この科研費の管理や使途に関しては、細かなルールが定められています
詳しいルールについては、ここで語り出すと膨大な量になってしまいますので、ここでは以下の3つだけおさえておきましょう。

①4つの使途への分類

科研費は「物品費」「旅費」「人件費・謝金」「その他」の4つの使途に分類して、支出を管理します。

jimmy
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普段、学校法人会計基準で経理業務をしている人からすれば、「4つでいいの?」という感じですね。

私は「物品費」「旅費」「人件費・謝金」はその文字どおりに処理し、この3つに当てはまらないものを「その他」で処理していました。

これはあくまで私の個人的な意見ですが、この区分が間違っていても不正使用や不正受給となることはないと思います
実際、そんな話を聞いたこともありません。

だからといっていい加減でいいというわけではありませんが、それほど神経質にならなくてもよいというのが私の実感です。

②予算管理と残額確認

研究者が申請する際には、先ほどの4つの区分ごとに予算を設定しています

jimmy
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物品費〇円、旅費△円といった感じですね。

一応、その予算に基づいて、研究者はお金を使うことになっています
「一応」というのは、私の経験上、この予算を守って使用する研究者がほとんどいないからです。

そして研究報告時に、4つの区分ごとの使用実績も報告することになります。

ちなみにこの残額管理はこちらに任せっきりなので、研究者からよく「残りあといくら?」と尋ねられます
別の業務が立て込んでいて、科研費の処理が滞っているときに限ってきいてくるのでやっかいです。

③使途の確認

科研費を使っていいものとダメなものがあるので、そのルールに抵触していないかを確認するのも管理業務を行ううえで重要です。

例えば、食事代は「その他」で処理できますが、アルコール類は不可です
あと、取材先等への手土産代も科研費では賄えません

jimmy
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手土産代の領収書を持ってくる人は年に一人はいましたね。

これらは、文部科学省や日本学術振興会が公開しているハンドブック等に記載されているのでわかりやすいですが、載っていないけど「これはいいのか?」と思うようなものもあります。

私が担当していた時に、出張用のカバンを科研費で購入しようとした人がいました

基本的に研究の遂行に必要なものは科研費を使っていいわけですが、さすがにカバンはと思い、「これは科研費ではだめです」と伝えました。

納得がいかない様子でかなり粘られましたが、周りにいた事務員全員が「カバンはだめだろ」と感じたので、みんなで説得し、諦めさせたのです

jimmy
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この時はなかなかの団結力を発揮しましたね。

科研費管理業務で一番面倒なのがこれだと私は思っています。

科研費管理業務から「お金を守る力」を高めるポイント

ここまで、科研費管理業務を担当するうえで基本となる部分を解説してきました。

ここで一旦、内容を振り返ってみてください。
この科研費、何かに似ていると思いませんか

そう、それは修学旅行費やPTA会費
これらのお金の管理と科研費の管理は似ているのです。

修学旅行費やPTA会費については、別の記事でも紹介していますのでそちらもあわせてご覧ください。

これらのお金は、

  • 文部科学省等→研究機関→研究者
  • 生徒→学校→旅行会社
  • 生徒→学校→PTA等団体

というように、お金を出す側と受け取る側の間に学校が入り、その管理を行うという構図が一緒なのです

jimmy
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さらに言うと、ニュースなどで不正が報じられるケースが多いという点も似ていますね。

だから、科研費を適切に管理できるということは、修学旅行費やPTA会費などのお金も適正に取り扱いすることができるということになるわけです。

では、その適正な管理のために必要な「お金を守る力」を高めるために意識したいポイントは何か
それは「属人化をなくす」ということです

まず、実際私がそうだったように、それなりの規模の大学でなければ、基本的に科研費管理は一人で担当します。

そのためチェック体制が行き届きにくい
お金の出し入れや残高の把握など全て一人に任せきりになってしまうパターンは少なくありません。

実際、今回の事件でも科研費を管理する人とお金を出し入れする人が別々であれば、給与支払いに科研費が使われることを防げたかもしれません。

jimmy
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組織ぐるみでやっているのであれば話は別ですが。

だから、科研費管理にせよPTA会費の会計を担当するにせよ、属人化に対するアンテナを張ることが重要です
これ、私一人しか見てないんじゃないの?」という疑問が頭に浮かんだら、すぐに対処しましょう。

対処方法としては、以下のようなものが考えられます。

  • 年に1度の内部監査の実施:担当者以外の目をとおす機会をつくる
  • 定期的な担当者の見直し:ジョブローテーションの仕組みを作る
  • お金を管理する人と出し入れする人の分離:担当者間のチェック機能を構築する

これらは実際に私の以前の勤務先で行われていたものです。
その効果もあってか、当然不正は起こっていません。

属人化に対するアンテナの感度をあげること
これが「お金を守る力」を高めるためのポイントです

まとめ:事務員として意識すべき要点

科研費は「大学の専門領域」と思われがちですが、私立学校事務員の「お金を守る力」に関わる重要な視点を与えてくれます。

基本的な仕組みや管理のポイントを知ったうえで、別の似たような業務でも応用する
そうすることで、事務員としてのスキルや能力アップの効果が期待できます。

「私には関係ない」と思う前に「これはあの業務に似てないか」と考えてみる習慣を身につけましょう

また、お金の管理をするうえで「属人化」は最大の敵
そのことも意識して日ごろの業務に取り組むことが重要です

この記事が、安心安全で信頼される学校づくりの一助となれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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