
この記事の内容は、以下のような人を対象にしています。
・学校で実施されている色々なアンケートのことをよく知りたいと思っている人。
はじめに:生徒・保護者・教職員|全てのアンケートは“学校の鏡”である
先日、私の勤め先では文化祭が催されました。
2日間に渡って行われ、生徒や保護者、教職員はもちろんのこと、生徒が招待した友人などの学外からの参加者も楽しそうな様子で、いい文化祭だったと個人的には感じています。

卒業生なんかも顔を出してくれましたね。
懐かしい顔が見られて嬉しかったです。
そんな文化祭が終わり、文化祭担当教員から生徒と教職員対象にアンケートが配布されました。
内容としては、「良かった点・悪かった点」の洗い出し。
次年度以降の運営に繋げていこうというものです。
これは一例ですが、他にも「保護者の満足度調査」「生徒の生活状況アンケート」「教職員の働き方に関する調査」など、私立学校では年間を通してさまざまなアンケートが実施されています。
これらのアンケートは単なる“調査”ではありません。
学校の課題を浮き彫りにする「鏡」であり、改善の方向性を示し、時には学校の文化そのものを変える力を持っています。

種類も多岐にわたり、目的も異なるわけですからね。
こうしたアンケートを通じて、私立学校の運営に関わる様々なステークホルダーからの期待に応えていく必要があるわけです。
もちろん私立学校事務員も、「答える側」「実施する側」の両方の立場でアンケートと関わる機会があります。
そこで本記事では、そんな私立学校で行われているアンケートの実態と、そこにまつわるリアルなエピソードを紹介します。
「学校アンケートの舞台裏」を知っていただき、業務の理解に役立てていただければ幸いです。
アンケートって意味あるの?私立学校における”お客様の声”の重要性

アンケートってなんか古臭いよね。今どき効果あるの?
そんな風に感じている方もおられるのではないでしょうか。
確かにIT化やAI活用が進む現代において、「アンケート」は一昔前のものという印象があります。

古の時代から行われている感じがしますからね。
ただ、形式はどうであれ、”お客様の声”を集めて学校運営に活かすこと自体は有益だと私は思っています。
実際、学校と似たような運営形態を持つ「教室ビジネス」において、今いる生徒から良質な”お客様の声”をとることが重要であると紹介している書籍もあります。
書籍名:教室ビジネス 集客の教科書
著者名:安田 元保
出版社:すばる舎
発売日:2025年8月11日
そこでまずは、この書籍の内容も参考にしながら、アンケートをする意義を整理しておきたいと思います。
アンケートの価値①学校が持つ”価値”を見つけることができる
先述したとおり、私立学校は様々なステークホルダーの期待に応えなければならない存在です。
ただその「期待」、本当にステークホルダーの「期待」なのでしょうか?
自分たちが勝手に「これを期待されている」と思い込んでいるだけという可能性もなきにしもあらず、です。
そこで、役立つのがアンケート。
アンケート結果から「相手が求めているもの」を把握することができます。
実際、テコンドー教室を運営していた書籍の著者も、「相手が求めているもの」からズレたことをしてしまい、お客様を逃してしまったと述べています。
過去の自分を思い返しても、「一生懸命教えて、せっかく上手になったのに、なんで辞めちゃうの?」と思うことがよくありました。あとになってわかったのですが、お客さんの注文内容を把握しないまま仕事をしていたから、相手が求めるものと提供するものがズレていたのです。 P16
「教室ビジネス 集客の教科書」より引用
こうしたズレが生じることなく、適切に学校を運営するために、まずは「期待」を正しく把握しましょう。
アンケートの価値②生徒募集に役立てることができる
「期待」と同時に、相手が学校に対して「いいな」と感じているところもアンケートで拾うことができます。
その結果を見て、「こんなところを評価してくれているのか」ということが把握できるわけです。
そしてそれをパンフレット載せる。
そうすることで、学校の「よさ」が外部の人に伝わり、それに魅力を感じた人が入学を希望してくれるというわけです。
書籍でも以下のような方法が集客につながったと紹介されています。
あるフラダンス教室の先生は、生徒さんたちが教室の教え方について「いいな」と思っている点を「こうだったらいいと思いませんか?」と箇条書きにしたチラシを作成しました。そのチラシを見た人たちが「思う、思う!」と賛同し、連絡をくれて入会につながりました。 P10
「教室ビジネス 集客の教科書」より引用
予算もそれほど必要なく実施できるのでおすすめです。
どんな種類があるの?私立学校で実施されるアンケートの種類と目的
アンケートの意義を理解したところで、具体的にどんなアンケートが行われているのかも見ておきましょう。
私がこれまで勤めてきた学校で行われていたアンケートをピックアップして紹介します。
学校によって違いはあると思いますが、参考にしていただければと思います。
① 保護者アンケート|学校への期待と満足度を測る
ひとつ目は保護者を対象としたアンケートです。
なんだかんだ言っても、学費を払っているのは基本的に保護者です。
その保護者が「何に期待し」「何に満足して」学費を払ってくださっているのかを理解するためにも重要な意味があります。
書籍でも以下のようなことが述べられています。
生徒が子どもの場合、顧客であり持ち主にあたるのは親で、その親が大切にしているものが子どもであり生徒です。
「教室ビジネス 集客の教科書」より引用
(中略)
親の心の中には、大切な子どもに対する「こうあってほしい」という結果が存在します。こちらが注文内容であって、習い事はそれを得るための手段です。 P14
「保護者=お客様」「生徒=お客様が大切にしているもの」
これを意識して、保護者の“学校への要望”を集める必要があります。
そんな保護者を対象としたアンケートには、以下のようなパターンがあります。
- 年度末の満足度調査
- ICT・設備・安全対策に関する調査
- 学校行事に関する調査

普段は物言わぬ保護者でも、アンケートでは率直な意見を伝えてくるケースは少なくないですね。
学校にとっては大事なアンケートのひとつです。
② 生徒アンケート|学校生活のリアルを把握する
ふたつ目は生徒を対象としたアンケートです。

これはド定番ですね。
実施するアンケートとしては以下のようなパターンがあります。
- 学習状況アンケート
- 生活指導・いじめ防止アンケート
- 部活動・進路に関するアンケート
- 行事後の振り返りアンケート
これも保護者と同様に、生徒の“本音”が出やすい傾向があります。
ただ、大人と違って言いたい放題言ってくる場合も多いです。

教員への単なる悪口だけを書きなぐってくることもありますね。
そういう雑音は無視するとして、私がこういうアンケートを見る際に注意しているポイントがあります。
書籍でも紹介されているので、その部分を引用します。
「Q7:この教室で得られたうれしい結果はなんですか?」の回答に照らし合わせ、入会後に彼らが喜んだ結果の共通点を見つけましょう。
「教室ビジネス 集客の教科書」より引用
そのなかで、「多くの人が最も喜んでいること」は何でしょうか?
もしそれが、ターゲットの”最初の課題”にしっかり応えていて、なおかつあなたの教室が100%約束できるものであれば、それこそが、あなたの教室の「最高の売り」になります。 P83
もちろん、いじめ防止アンケートなどは対象外ですが、このように「どこにみんなが喜んでいるか」は必ずチェックするようにしています。
皆さんもチェックしてみてはいかがでしょうか。
③ 教職員アンケート|働き方・学校運営の改善に直結
最後は教職員を対象としたアンケートです。
実際に現場で働く人の声を集めることも、学校運営においては重要。
生徒や保護者など「外側からの声」だけでなく、「内側からの声」にも耳を傾けることで、様々な角度から改善を図ることができます。

教職員が安心安全に働けるように、現状を把握しておく必要もありますしね。
そんな教職員アンケートには次のようなものがあります。
- 働き方改革関連アンケート
- 校務分掌の希望調査
- 学校行事の改善点調査
- ハラスメント調査
ただこれも、自分のわがままばかり通そうとする人がいたります。
「あれは嫌」「あの人とは働きたくない」など好き勝手ばかり並べ立ててくる人もいるので、管理職は毎年頭を悩ませています。

その愚痴を事務室に言いに来るんですよね。
一方的な主張とは距離をとりつつ、事務員は板挟みにならないように、バランスを保ちながらこれらのアンケートに関わっていく必要があります。
こんなことが?現場で起きた印象的なエピソード集
これまで見てきたように、色々な目的のもとに学校ではアンケートが実施されています。
そんな数々のアンケートのなかで、私が印象に残っているエピソードを紹介したいと思います。
「そんなことがあるの?」とか「そうそう、うちもあった」などと思いながら読んでみてください。
エピソード①保護者アンケートの結果で…。
アンケート結果に基づいて、学校の体制が見直されたケースがありました。
前述のとおり、保護者を対象としたアンケートは、保護者の「期待していること」を見つけ出すことを目的としている場合があります。
そんな保護者アンケートを実施した際の話です。
ある時、私の勤め先で「進学コース」が設けられることになりました。
しかし、現場の教職員は「うちは進学を売りにしても・・・」という反応。
進学を売りにしている学校も多いところで、偏差値の低い学校がそこに手を出しても勝ち目がないというのが一致した意見でした。
ただ、発案者の校長が頑としてそれを聞き入れず。
ほぼ独断でコースの設置が決まりました。
そしてコース設置から1年後、保護者アンケートが実施されました。
そのアンケートの結果を見ると、保護者の多くは「進学」よりも「生徒指導」の方を重視しているということがわかりました。
実際のところ、進学コースを希望する生徒も少なく、「やっぱり見直した方がいいのでは」という意見が挙がり出していたところで、このアンケート結果。
流石に校長も「これはダメかも」と感じた様子でした。
そこですぐにコース編成の見直しを実施。
学校案内も「生徒指導」を重視した内容に修正しました。
すると少しではありますが、志願者数が回復したのです。
とるだけで終わりがちなアンケートが実際に活用された例として、私の中では印象に残っています。
エピソード②教職員アンケートの結果が…。
これは以前の私の勤め先での話です。
次年度の校務分掌を決めるにあたって、校長が教職員アンケートを実施しました。
そのアンケートは、メールの一斉配信によって教職員の手元に渡ったのですが、ある教員が教職員全員を宛先にしたまま、回答を送付したのです。
当然、その教員の回答は全員に筒抜けとなります。
「特に希望なし」みたいな当たり障りのない回答だったらよかったのですが、様々な思いがそこには入力されていました。

普段おとなしい教員だったので、「こんなことを思っていたのか」と軽い衝撃を受けましたね。
特定の個人名も入っていましたし。
気づいた校長が、すぐさま全教職員にメールの削除を呼びかけましたが、それ以降職員室には何とも言えない気まずい空気が流れることになりました。
色々な意味でアンケートの回答は慎重にする必要があると学んだ一件でした。
まとめ
アンケートは学校を変える力のある“現場の声”です。
- アンケートを単なる調査で終わらせずに学校運営の羅針盤として活用する
- 現場の声を拾い、改善につなげることが学校の成長につながる
- アンケートを通じて把握した「いいところ」は外部にも発信する
こうした意識を持ってアンケートを活かすことが大切です。
まずは行事アンケートなど影響が限定的なものから手をつけて、アンケート結果の活かし方を練習してみましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
