
この記事の内容は、以下のような人を対象にしています。
・私立学校事務員として働くうえで持っておいた方がよい資格を知りたい人。
私立学校の事務員として働きたいと考えたとき、多くの方が最初に気にするのが「資格は必要なのか?」という点です。
求人票を見ても「資格不問」と書かれていることが多く、逆に「本当に何もいらないの?」と不安になる方も少なくありません。

私も最初に求人内容を見たときに思いました。大学の就職課の掲示板に貼ってあったのを覚えていますね。
結論からお伝えすると、私立学校事務員に“必須”の資格はありません。
しかし、私立学校事務員歴20年以上の経験者の視点に立つと、「持っていると評価される資格」は明確に存在すると感じています。
特に、学校事務の実務に直結する IT・会計・お金の知識 は、どの学校でも重宝される傾向があります。
この記事では、そんな私の経験をもとに、私立学校事務員として働くうえで評価される資格を、ITパスポート/FP(3〜2級)/簿記(3〜2級) の3つに絞って詳しく解説します。
未経験から私立学校事務員を目指す方にもわかりやすく、実務でどのように役立つのかまで丁寧にお伝えします。
参考にしていただければ幸いです。
【まずは大前提】私立学校事務員に「必須資格」はあるのか
繰り返しになりますが、まず最初に押さえておきたいのは、私立学校事務員に必須資格は存在しないという事実です。
教員のように「教員免許」が必要なわけではなく、私立学校の事務職は一般企業の事務職に近い採用基準で選考されます。

規模の小さな学校だと筆記試験もなく、面接も1回だけというケースもあったりしますね。
もちろん求められる職種によっては資格必須ということもありますが、私が今まで実際に見たり、別の学校の事務員から話を聞いたりしたなかでは、「資格不要」のケースの方が圧倒的に多いです。
では、なぜ資格不要なのか。
その辺りをもう少し深く解説していきます。
なぜ資格が必須ではないのか
理由はシンプルで、私立学校事務員の仕事は「資格よりも実務スキル」が重視されるからです。
- 正確に事務処理ができる
- ExcelやWordを問題なく使える
- 教員・保護者・生徒と円滑にコミュニケーションが取れる
- 情報管理や守秘義務を守れる
こうした“仕事の基本力”が、資格よりも優先される傾向があります。

このあたりは民間企業と同じですね。
加えて、学生生徒等を獲得する競争は激化の一途をたどっています。
少子化の波を乗り越えるために、募集停止する短期大学や共学化する女子大学などが増えてきていると感じている人も多いのではないでしょうか。

この記事を書いている2026年には、政府が2040年までに少なくとも250校、学部定員にして14万人程度を減らす必要があるという数値目標を公表しましたね。
このように、今後ますます厳しい状況になることが予想されるなかで、私立学校事務員には資格よりも「答えのない問題」への対応力が求められるようになってきていると感じています。
「実務スキル」と「厳しい競争環境への対応力」
資格よりもこの2点が必須になりつつあるというのが私の実感です。
とはいえ「資格不問=資格が不要」ではない
ただ「実務スキル」や「厳しい競争環境への対応力」と資格には関連性があると思います。
それは「資格があると、その人の基礎力や学習意欲が見える」という点です。
まず基礎力の方は、直接的な実務スキルと関係があります。

パソコンスキルなんかはわかりやすいところですね。
また、その分野に関するある程度の知識があれば、事務処理の正確性にもつながります。

これは簿記なんかがそうですね。知識があれば、正確な経理処理ができます。
次は厳しい競争環境への対応力との関係です。
資格取得のためにはある程度の勉強が必要になります。
このほとんどの人が面倒くさいと感じる「勉強」に、自分の意志で取りかかれるということはそれだけ新しいことへチャレンジする意欲があると受け取ることができます。
私立学校を取り巻く環境は先が見えません。
そんなところに一歩踏み出し、対応していくためには意欲や実行力といったものが必要になってきます。
そうした点をアピールするための一つの手段として、資格を活用することができます。

実際、私の勤め先の人事課の職員も、資格の内容よりその資格を取得しようと考えた背景などをチェックすると言っていましたね。
もちろん、先ほどの「経理事務における簿記」のように資格の内容そのものが評価の対象となる場合もあります。
次からは、私の経験上で「評価を受けやすい」と感じる資格について紹介していきたいと思います。
【資格取得の参考に】資格が評価される理由
資格が必須ではないにもかかわらず、採用や実務で評価されるのには理由があります。
その点について、私立学校事務員の仕事の特徴とあわせて解説します。
①事務員の仕事は「総務+経理+人事+広報+生徒対応」の複合職
事務員の仕事は、一般企業のように部署が細かく分かれていないことが多く、一人が複数の役割を担うことがよくあります。

大学や短期大学以外の学校種は特にこの傾向が強いですね。
その大学や短期大学も、部署異動がある程度の頻度で行われるので、結局は様々な業務の経験を積むことになります。
だから、私立学校事務員は「総務・経理・人事・広報・生徒対応」の複合職と言えるわけです。
- 総務:契約書管理、行事運営
- 経理:学費管理、補助金申請
- 人事:教職員の採用・退職、給与事務
- 広報:学校案内の作成、SNS更新
- 生徒対応:正課・正課外の対応
このように業務が多岐にわたるため、基礎的な知識を証明できる資格は採用担当者にとって安心材料になります。
② 学習意欲の証明になる
前述のとおり、資格は「自分で学び、成果を出せる人」であることの証明でもあります。

資格取得マニアのような人は例外ですが。
学校法人は教育機関です。
だから、学生生徒に教育サービスを提供する側として、「学ぶ意欲」が低い人に学生生徒の対応を任せられないという思いがある。
そのため、学ぶ姿勢を持つ人材を高く評価する文化があるように感じています。
この点も資格が評価されるポイントだと理解しておきましょう。
③ 配属後の育成コストが下がる
例えば、簿記やITパスポートを持っていると、
- 経理の基礎がわかる
- 情報セキュリティの意識が高い
- 情報システムに抵抗がない
といった点で、育成コストが下がるため採用側にとってもメリットがあります。
例えば、私は入職当初、情報システム担当部署の職員から毎日Excelの使い方を習っていました。
今ほどパソコンに関する教育が充実しておらず、基本的な関数の知識などが身についていなかったからです。

私の場合、さらに簿記の知識もなかったので、入職時に配属された会計担当部署では4,5月の決算期に何もできそうなことがなかったという状況も関係していますね。
こうした私の実体験からも、学校法人側が育成コストという面で資格を評価する理由がわかるのではないでしょうか。
【コスパ観点で】私立学校で評価される資格3選
ここからは、これまでの内容と私の事務員経験を勘案して、比較的取得にかかるコスト(時間や費用)が低く、かつ事務員の実務に直結し、周りからの信頼獲得にもつながる3つの資格を詳しく解説します。

あくまで独断と若干の偏見ですが。
その3つとは以下のとおりです。
- ITパスポート
- FP(3〜2級)
- 日商簿記(3〜2級)
IT・会計・お金の知識はどの学校でも評価につながりやすいというのが私の実感です。

あれ?語学関係はないの?
そう思った人もいるのではないでしょうか。
私の個人的な感覚ですが、基本的にはなくても問題ないと思っています。
英語力に限ってですが、その点について以前に記事にしていますのでお読みいただければと思います。
それでは以降で一つずつ見ていきましょう。
資格① ITパスポート
ITパスポートは、国家試験の中でも最も取り組みやすい資格のひとつです。
内容は「ITの基礎知識」「情報セキュリティ」「業務効率化」など、学校現場で役立つものばかりです。
今やITに関わることなく仕事や日常生活を送ることはできないと言っても過言ではありません。
- 校務支援システム(成績管理・出欠管理など)を使う
- クラウドツール(Google Workspace、Microsoft 365)を使う
- 個人情報を扱うため、セキュリティ意識が必須
- ICT教育が進み、教員との連携でIT知識が求められる
ざっと並べてみても、以上のように学校現場でITパスポートが役立つシーンは多くあります。
特に情報セキュリティに関する知識は必須です。
以前の記事でも紹介しましたが、学校現場はフィッシング詐欺などの脅威に常にさらされているからです。
安心安全な教育環境を保つためにも身につけておきたい資格の1つになります。

ITパスポートを取得したら、情報セキュリティマネジメントの取得を目指してみるのもおすすめです。私は両方取得しました。
また、高校の事務室などでは情報関係の専門事務員が配属されないケースがほとんどです。
そうなると、学校の情報機器の更新などの際、取引先に丸投げしてしまうことになります。
それでは余計なお金を使ってしまうことになりかねません。
そのようなことがないように準備しておくことが事務員として求められていると私は考えています。

実際、私はITパスポートと情報セキュリティマネジメントの資格を持っていたので、情報科の教員と一緒に校内の情報機器入替業務に携わっていました。
ITパスポートは専門知識がなくても学びやすく、 最短1〜2ヶ月で合格を目指せる点も魅力ですので、取得を検討してみてはいかがでしょうか。
資格② FP(3〜2級)
次はFP技能検定(ファイナンシャル・プランニング技能検定)です。
FP(ファイナンシャル・プランナー)つまり「お金の専門家」としての基礎知識を証明する資格になります。
事務員の仕事では、意外と“お金の話”に触れる場面が多くあります。
- 学費・入学金・授業料の説明
- 奨学金制度の案内
- 保護者からの相談対応
- 教職員の社会保険制度の理解
特に私立学校では、保護者とのコミュニケーションが多く、「お金の仕組みを理解している」ことは大きな強みになります。

今はなくなりましたが、昔はFP資格取得者を学生対応部署に配属していることが補助金の金額に関わるということがありましたね。
だから「ライフプランニング」や「社会保険」といった分野は、知識があると実務でも役立つことが多いです。
以下の記事も参考にしていただければと思います。
そのほかにも、
•保険
•税金
•不動産
など多くの人が「ちょっと面倒くさい」と感じる分野についての知識が身につくため、周りからの評価も高くなります。

私は2級を取得していますが、とりあえず3級がコスパ的におすすめです。
ただ、社会保険などは毎年のように制度の変更があるので、取得後も知識をアップデートする必要があります。
私はYoutubeの動画を見たり、市販の書籍を毎年購入するなどして対応しています。
書籍は最近では以下のものを買っています。
一問一答形式で知識が確認できて便利です。
資格③日商簿記(3〜2級)
簿記は、私立学校事務員の仕事で最も評価される資格の1つだと思っています。

私がずっと担当しているというところからくる偏見があるのは否めませんが。
そうした偏見を置いておいても、簿記の知識は持っておくべきです。
その理由は「補助金」
学校法人に勤める以上、補助金とは切っても切れない関係あるからです。

補助金なんて申請の担当部署だけが関係あるんでしょ?
そう思っている方はすぐに考えを改めましょう。
事務員としての活動は何かしら補助金に関わってきます。
だから、自分の仕事がどのように学校法人の活動として計算書類などに反映されているか、その仕組みを理解しておく必要があります。
その理解を助けるのが簿記の知識というわけです。
何が補助金の対象となり、何が逆に対象外か。
これを理解していないと、補助金の不正受給と判断され、学校法人の評判に大きな悪影響を与えかねません。
詳しくは、以下の記事も読んでいただければと思います。
この記事で挙げた不当事項の対策は、簿記の知識があれば理解しやすいはずです。
まずは簿記3級で仕訳の基礎、会計の考え方を学んでみてはいかがでしょうか。
以下の記事も簿記の勉強の参考にしていただければと思います。
まとめ
私立学校事務員の仕事は、資格が必須ではありません。
しかし、IT・会計・お金の知識は実務で必ず役立ち、周りからの信頼獲得にもつながりやすい分野です。
今回紹介した、
- ITパスポート
- FP(3〜2級)
- 簿記(3〜2級)
の3つは、どれも私立学校事務員の仕事と相性が良く、未経験者でも取り組みやすい資格です。
資格はあくまでスタートラインですが、「私立学校事務員として働きたい」という気持ちを形にする大きな一歩になります。
あなたの学びが、学校現場での活躍につながることを願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。






