
この記事は以下のような人を対象としています。
・夏休み明けの急な退職や休職などが起こったときの対応を知りたい人
はじめに:要注意!夏休み明けに増加する教職員の人事トラブル
夏休みが終わると、学校現場は一気に日常のリズムを取り戻します。
生徒が登校し、授業や行事が再開し、保護者対応も増える。
静かだった日々が「あれは夢だったのか」と思うくらいの様変わりです。

そのにぎやかさが逆に、学校現場で働く楽しみだったりするんですけどね。
特に生徒の声を聞くとそんな気持ちになります。
その裏側で、教職員の人事トラブルが表面化しやすい時期の一つが、まさにこの「夏休み明け」です。
私立学校事務員にとっては、通常業務の再開に加えて、予期せぬ相談やトラブルが持ち込まれる“緊張感の高いタイミング”でもあります。
長期休暇を挟んだことで、
- 心身の状態が変化し、休み明けの急激な負荷がそこに更なる悪影響を及ぼす。
- 親の介護や子育てなどの家庭事情が変化する。
- 今の仕事について考え直し、自身の今後のキャリアの見直しを図りたくなる。
といったことが起こるケースは少なくありません。

実家に久々に帰ったら、親が体の具合を悪くしていたという人がいましたね。
両親も心配かけまいと黙っていたようです。
こうしたことが要因となり、「退職したい」「配置転換を希望したい」といった人事関連の相談が突然持ち込まれる。
そして、現場は対応に追われることになるわけです。
こうした人事トラブルは、事務員が直接判断する内容ではないものの、初動対応の遅れや情報整理の不足が、学校全体の混乱につながるリスクがあります。
だからこそ事務員には、夏休み明けに起こりやすいトラブルの特徴を理解し、早期に気づき、冷静かつ適切な対応をとることが求められます。

教員は大体「どうしたらいいですか?」と頼ってくるばかりですので。
本記事では、私立学校事務員がおさえておくべき夏休み明けの人事リスクの例と、現場で実践できる対応策についてまとめています。
新学期を安心して迎えるために、事務員だからこそできる「トラブルに冷静に対処する方法」を身につけていきましょう。
夏休み明けに起こりやすい人事トラブルの具体例
それではまず、どんなトラブルが起こりやすいのかを見ていきたいと思います。
私の実体験なども踏まえながら内容をまとめました。
イメージする材料として参考にしていただければと思います。
① 突然の「退職相談」
夏休み明けは、教職員から突然「退職したい」という相談が持ち込まれることが少なくありません。

休み明けに校長が暗い顔して事務室に入ってくると、嫌な予感しかしませんね。
その理由としては前述したとおり、長期休暇中の家庭事情の変化や、キャリアの見直しなど様々です。
私の以前の勤め先では、夏季休暇中の家族とのやりとりがきっかけで退職に至ったケースがありました。
退職したのは、ベテランの事務員。
休暇中に家族と過ごしている際に、ふと「もっと家族との時間を充実させたい」と思ったとのことでした。
確かにそのころ、その事務員が所属する部署は大変な仕事を抱えており、事務員自身も大きな負担を強いられていたようです。
そんなときに、家族との団らんの時間を過ごしたことで、先ほどのような思いが強くなったということです。

退職の話を聞いたときは衝撃でしたね。
色々教えていただいていた頼りになる先輩でしたので。
長期休暇中は、自分のことを見つめなおす機会でもあります。
それを機に数ある選択肢のなかから「退職」を選ぶ人がいるということを覚えておきましょう。
② メンタル不調による欠勤・遅刻の増加
夏休み明けは、メンタル不調による欠勤や遅刻が増える時期でもあります。
退職のケースと同様に、長期休暇をきっかけに様々な状況が変化するからだと考えられます。
他にも「何とか1学期を乗り切った」ということで、気持ちの糸が切れてしまい、不調に陥るという場合もあります。
これも私の以前の勤め先の話ですが、1学期の終業式を最後にそのまま休職に入った教員がいました。
配慮が必要な生徒が多いクラスの担任をしており、周りの教職員も「大丈夫かな」と心配していました。

傍目か見ている分には正直、調子が悪そうには見えなかったのですが。
そして1学期が終了し、夏休みに入った初日にそれは起こりました。
通常どおり勤務するはずのその教員が出勤してこないのです。
急いで校長が連絡を取ったところ、具合が悪いのでしばらく休みたいとのこと。
とりあえず夏休みの間休めば大丈夫と本人は言っていたそうです。
ところが、ふたを開けて見れば2学期の始業式も出勤できない。
休職期間はどんどん延長されていきます。

あとから聞いた話では、1学期をなんとか乗り切ったことで張っていた気が緩み、2学期を前にしても、もう一度気持ちを作り直すことができなかったとのことでした。
最終的に復職することはなく、その年度の末に退職することとなりました。
熱心で生徒に優しい教員だっただけに、なんとも言えない思いでした。
③ 分掌・業務量への不満
教員には「総務」や「入試広報」など担当教科以外の役割が与えられることが一般的です。
「校務分掌」と呼ばれたりしますが、詳しくは以下の記事をご覧ください。

一応、大学の教授たちもこのような役割を与えられていたりしますが、この記事では中学・高校の教員を想定した内容にしています。
この分掌について不満が噴出するのも夏休み明けが多い、というのが私の印象です。
1学期を終えてみて、「あっちの分掌の方が楽そう」とか「自分に業務が偏り過ぎている」などの不満の気持ちが湧き上がってくるからだと考えられます。
その気持ちを管理職に伝えればいいのですが、なぜか事務員のもとへ相談に来ることもあります。

管理職には面と向かって言いにくいんでしょうけど、言われたところでこっちはどうにもできないんですけどね。
ただ、分掌替えや役割の見直しを訴えたところで、年度途中に希望が叶うことはまずありません。
変えると「私も!」という声が次々と挙がり収拾がつかなく可能性があるからだと思います。
結局、この時の不満が尾を引いて、後々の人事に影響を与えるということが多いので、これも夏休み明けの人事トラブルのひとつかなと思っています。
ちなみに、事務員でこのケースにあてはまることは、私の知る限りほとんどありません。
おそらく事務員は、「業務の不満を言ってもどうしようもないしな」というサラリーマン的思考の人が多いからというのが個人的な見解です。
事務員ができる“現場での対応策”
ではこうしたトラブルに対して、事務員はどのような対応ができるのか。
まずそもそもの前提として、退職や休職、不満の原因はほとんどの場合、「業務」の問題ですので、直接事務員が手出しできるものではありません。

事務長が校長を兼ねていたら対応できるかもしれませんが、それはそれで権限が偏り過ぎるという問題が生じてしまいますからね。
そうなると、以下に挙げるような基本的なことを丁寧に行うことが事務員としてやるべきことになります。
事務員が落ち着いた行動を取ることで、周りも冷静になることができます。
そのためにも、何をすべきか確認しておきましょう。
① 相談を受けたときは「『聞く』を9割」
相談を受けた際は、まず落ち着いて話を聞くことが大切です。
前述のとおり、事務員が判断できるようなことはまずありません。
「事務室は話を聞く場所であり、判断する場所ではない」
この意識を持ちながら、相談者が安心して話せる状況を作りましょう。
「聞く姿勢」についてはこちらの記事も参考にしていただければと思います。
よくやりがちな失敗が、関連記事でも紹介している「自分の意見を言う」ということ。
実際に、私の同僚は相談に来た教員に対し、「もっとこうしたらいいんじゃないの?」というアドバイス的な発言を終始続けていました。

傍から見ても、アドバイスをもらいに来た様子ではなかったので、『そうじゃないのになぁ』と感じたのを覚えていますね。
その教員は結局休職することになりました。
とにかく一旦は、「いい・悪い」などの感情的な反応を避けて、聞くことに徹することがポイントです。
② 事務的な手続きの準備
先ほどは、事務室に相談に来た場合における対応について解説しましたが、これは件数としては多くありません。

校長やその他の管理職から話がおりてくるパターンがほとんどですね。
だから、夏休み明けはいつそんな話がおりてきても対応できるように、退職や休職に係る手続きの準備をしておくことがおすすめです。
資格喪失や傷病手当金など私学共済に関する手続きや、就業規則など学内の規程上必要な書類等を手元にそろえておくわけです。

私学共済の定期保険などは手続きが漏れがちなので注意が必要ですね。
実際にトラブルが発生しなければ、準備は無駄になるかもしれませんが、バタバタするよりかはマシですので、確認だけでもしておきましょう。
あとは、有給休暇の残日数もすぐに把握できるようにしておきたいところ。
「あと何日休める?」はほとんどのケースで尋ねられる質問だからです。
「休み明けは何かが起こる」ということを前提にして動いておきましょう。
③ 求人の手配
先ほどの事務手続きと似ていますが、求人募集の準備もしておくに越したことはありません。
同様の募集が他校でも発生している可能性があるため、人材の取り合いになる可能性が高いからです。

「勤務開始日9月1日から」みたいな求人がポツポツ増えるんですよね。
余談ですが、以前の勤め先でこの欠員補充に苦労したことがあります。
夏休み明けに、教員が一人退職したときの話です。
「出たか」と思いつつ、早速求人の手配を進め、運よく2学期開始前に後任が見つかりました。
ところが2学期の始業式の日、その新たに雇った教員が出勤しないのです。
辞令も準備し、始業式で挨拶する段取りもしていたのですが、一向に現れない。
携帯に電話するも応答なしで、こちらとしてはお手上げです。
結局、その人が学校に姿を見せることはありませんでした。

じゃあ、早めに求人募集しても意味ないじゃない。
そう感じたかもしれませんが、これは相当レアなケースです。
ほとんどの場合、求人は早めに動いた方が良い結果になります。
ただ、「こういうケースもあるんだな」ということを知ってほしかったので紹介した次第です。
事務手続きの準備とあわせて粛々と取りかかりましょう。
まとめ:私立学校事務員だからこそできる“人事トラブルの対応”
繰り返しになりますが、夏休み明けは、人事トラブルが増える時期です。
事務員は判断する立場ではありませんが、初動対応を適切に行うことで、学校全体の混乱を大きく防ぐことができます。
事務員の冷静な対応は、教職員の安心にもつながり、学校の信頼を支える重要な役割です。
新学期を迎えるこのタイミングで、事務員だからこそできる対策を身につけ、現場を支える力を高めていきましょう。
参考にしていただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。



