
この記事の内容は、以下のような人を対象にしています。
・夏休みに入る前に私立学校事務員はどんなことをしているのか気になる人。
地味に大切!夏休み前にやってくる重要業務の数々
夏休み前の6〜7月は、私立学校事務員にとって一年の中でも比較的ホッとしやすい時期です。
- 新入生の受入
- 新入教職員に関する事務手続き
- 決算業務
など、新年度に集中した業務がひと段落し、学校内も生徒や教員が落ち着いてくるころだからです。

私立学校法の改正で計算書類の作成期限が1ヶ月延びたので、6月も忙しい会計担当者はいるかもしれませんけどね。
しかし、「比較的に」といったとおり、繁忙期に比べて落ち着いているというだけで、実際は重要な業務が6,7月には集中しています。
「補正予算の作成」
「標準報酬月額の定時決定」
「夏休み中に行う業務の準備」
など、財務・労務・校務が一気に押し寄せるため、「どれから手をつければいいのか分からない」と感じる新任事務員も少なくありません。
さらに、これらの業務に付随した教職員との調整や外部取引先との連絡、保護者向け文書の作成など、校内外とのやりとりも増えるため、抜け漏れが起きやすい時期でもあります。
本記事では、夏休み前に必ず押さえておきたい私立学校事務員仕事のポイントを「補正予算」「定時決定」「夏休みへの準備」の3つの柱に整理し、実務に役立ちそうな内容をまとめてみました。
特に、予算執行状況の確認や基礎届の作成、設備点検などの安全管理といった、学校現場ならではの注意点を具体的に解説しています。
この記事を読むことで、夏休み前の繁忙期を落ち着いて乗り切るための段取りが明確になり、業務の抜け漏れを防ぎながら効率的に準備を進められるようになるはずです。
皆さんのお仕事の参考にしていただければ幸いです。
①補正予算の準備とチェックポイント
夏休み前の業務でまずおさえておきたいのが「補正予算」です。
私立学校では、年度当初に立てた予算が実際の運営状況とズレてくることがあり、その調整として補正予算が必要になります。

学校法人は予算が重視されますからね。
予算の重要性については、別の記事でも取り上げていますのでそちらもあわせてご覧ください。
特に7月は、5月1日生徒数が確定し、前年度末の未収入金や未払金の精算が一通り終わるタイミングのため、補正の必要性が生じやすい時期です。
新任の方にとっては「補正予算って何から手をつければいいの?」と感じることが多いですが、実際には“現状把握 → 必要な修正 → 理事会提出資料の作成・提出”という流れを押さえればスムーズに進められます。
●現状の把握が最初のステップ
補正予算の第一歩は、現状の把握です。
特に注意したいのは以下のポイントです。
- 5月1日時点の学生生徒数および教職員数
- 前期末において未収入金または未払金として計上されたものの状況
- 科目別・事業別の予算執行状況
- 新規事業や設備更新など、年度途中のおける追加事象の発生有無
特に1と2がこの時点での補正予算のメインとなります。
「この時点での」というのは、私の経験上、補正予算を2回実施している学校法人が多いからです。
1回目の補正予算では、生徒数や教職員数など実績値が固まったものを予算に反映させます。
続いて2回目の補正予算では、3や4といった当該年度の事業計画の執行状況を加味した予算を作成します。

大体、秋ごろから年末にかけて2回目の補正予算に取り組むイメージですね。
新任の事務員の人はそういった目的がまだ理解できていないと思います。
そんな新任の方におすすめしたいのは、5月1日時点の学生生徒数および教職員数の確認から手をつけることです。
まずは「5月1日」という日付が学校法人にとって特別な日であることを理解することが大切だと私自身考えているからです。
「5月1日」の大切さについては以下の記事をご参照ください。
● 教職員からの追加要望の取りまとめ
現状を把握したら、次は必要な修正に取りかかりましょう。
補正予算では、自分である程度計算できる学納金収入や人件費以外に、教職員から出てくる追加の要望等を反映させる必要があります。
例えば以下のようなものです。
- 教育研究用の備品購入
- ICT機器の追加
- 生徒や教職員数の増加に伴う費用増
- 施設修繕の必要性
こうした要望は、単に「必要かどうか」だけでなく、緊急度・教育効果・安全性などの観点から整理する必要があります。

もちろん収入の予算額と見比べることも必要ですよ。
新任の方は、要望をそのまま受け取るのではなく、「目的」「必要理由」「金額」「実施時期」の4点をヒアリングしておくと、上席者へスムーズに説明できるようになり、後の資料作りもラクになります。
●決裁ルートとスケジュール管理
補正予算は、基本的に理事会での承認が必要なものにあたります。
理事会案件は、開催日が限られているため、逆算して資料作成を進めることが重要です。
新任の方がつまずきやすいのは、
「資料が揃わず提出が遅れる」
「理事会に諮るまでのルートを把握できていない」
という点です。

理事会に諮る前にいくつもの会議を経る必要があったりするのが基本ですからね。
早めに上司に確認し、スケジュールを共有しておくと安心です。
補正予算は難しく見えますが、実は中身は“情報整理の仕事”。
5月1日時点の人数や教職員からの要望、事業計画の進捗状況といった情報を数値として整理するわけです。
だから会計の知識がまだ十分でない新任の方でも、丁寧に進めれば確実に対応できます。
②標準報酬月額の定時決定のキホン
6~7月の私立学校事務員の業務のうち、労務関係で最も重要な業務のひとつが、標準報酬月額の定時決定です。
私学共済に加入している学校では、毎年必ず行う手続きであり、提出期限が厳格に決まっています。
新任の方にとっては「専門用語が多くて難しい」と感じやすい業務ですが、流れを理解すれば落ち着いて対応できます。

イチ社会人として必須の知識でもありますしね。
基本的なポイントについては、私学事業団が発行している「月報私学」において解説が掲載されていますので、特に6月号と7月号の内容は毎チェックしておきましょう。
月報私学6月号および7月号を見る際のポイントについて、別の記事で解説していますので参考にしていただければと思います。
4〜6月の給与データを正確に確認する
定時決定では、4〜6月の3か月間の給与支給額をもとに標準報酬月額を決定します。
標準報酬月額は社会保険の様々な場面で基礎となる重要な数値です。
そのため、給与などのデータの正確なチェックが欠かせません。

これは私立学校事務員の仕事としてだけではなく、社会人としての基礎知識ですので、理解しておきましょうね。
新任の人でも確認すべきポイントは以下のとおりです。
- 基本給・手当の支給額
- 時間外手当の扱い
- 休職・産休・育休者の有無
- 基準日現在の対象者数
- 短時間労働加入者の勤務状況
これらのポイントが定時決定にどのように関わるのかについて、前出の「月報私学」などで確認しながら理解を深めていきましょう。
私学共済への提出手順を理解する
基礎届書は、学校法人によって提出方法が異なります。
- 書面
- 電算用紙
- 電子媒体(今後廃止の予定)
- e-Gov電子申請
新任の方は、まず「自校の提出方法」を確認することが重要です。
なお、令和8年度の定時決定から「e-Gov電子申請」が追加されました。
この電子申請を実際にやってみたのですが、データの準備がとても大変。
何回やり直してもデータ形式の問題で提出できませんでした。

エラーの箇所を見ても、まったく何が問題なのかわからないんですよね。
あれこれ試しているうちに、電子申請できましたが、結局何が原因だったかはわからずじまいです。
来年度はもっと改善されていることを期待しています。
定時決定は専門性が高い業務ですが、毎年必ず行うため、経験を積むほど理解が深まります。
新任の方にとっては、制度を学ぶ絶好の機会ですので積極的に取り組みましょう。
③夏休みに向けた各種準備
以前の記事で夏休み中の私立学校事務員のお仕事を紹介しました。
これに向けた準備を6~7月あたりから進めておくと、スムーズに夏休み期間をむかえることができます。
特に校内の安全点検と古い書類の整理は、事前の準備がカギとなってきます。
校内の安全点検
夏休み中は教室を使用しない期間が長くなるため、普段できない点検を実施する絶好のチャンスです。
前出の記事で紹介しているとおり、消防設備や停電が必要な設備などの点検はこのタイミングを逃すと、なかなか実施できません。
ただ、同じことを考えている学校も多いため、夏休み期間は点検会社の予定が詰まっていることが多い。
だから事前に計画を立てて、段取りをしておく必要があるわけです。
加えて、校内の防災用品等の確認や危険箇所の洗い出しも行っておきましょう。
平常時の備えという意味合いもありますが、夏休みの誰もいないときに限って大雨などの災害に見舞われたりすることも少なくないからです。

休み明けに出勤したら廊下や教室が水浸しなんてこともありましたからね。
総務部の教員と一緒に校内を見回って、必要なものがきちんとそろっているかや雨漏り・ヒビ割れなどがないかを確認しておくと、夏休み中に対応できます。
点検会社が簡単な補修なんかもできたりする場合がありますので、手配が二度手間にならずに済みます。
古い書類整理
電子化が進んでいるとは言え、まだまだ紙の資料が多い学校現場。
放っておくと、すぐに事務室内の棚がパンパンになってしまいます。
こうした書類を夏休みを利用して整理するわけですが、この計画も点検計画同様に事前に立てておくわけです。
特に「どこに何を置くか」「何を廃棄するか」はきっちりと決めておきましょう。
これがあやふやだと重たい書類を右往左往しながら運ぶ羽目になります。

ただでさえ暑くてしんどいのに、さらに余計なダメージを受けてしまいますからね。
あと、勤務体制もよく確認しておきましょう。
夏休み中は事務室の人員が少なくなりやすいので、当番表を作成し各自の役割を明確にしておくことが重要です。
新任の方は、先輩の動きを見ながら「どこに情報があるか」を把握しておくと、今後の業務や行政による検査の対応などがスムーズになります。
メモをとっておくことをおすすめします。
まとめ
新年度の荒波を乗り越え、夏休みを目の前にし、少し気分が浮かれつつある6~7月。
しかし、油断してはいられません。
- 補正予算
- 定時決定
- 夏休みへの準備
といった学校の運営や私たちの給与などに関わる重要な業務を進めるタイミングでもあります。
スケジュールを確認し、しっかりとした計画を立てて、臨みましょう。
そうすることで、生徒ほどではなくとも有意義な夏休みを過ごせるようになります。
この記事がその一助になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。





