
この記事の内容は、以下のような人を対象にしています。
・私立学校事務員の部活動との関わり方を知りたいと思っている人。
私立学校事務員の部活動サポートは学校運営の質を高める重要な業務
部活動は、生徒の成長を支える大切な教育活動のひとつです。
しかしその裏側では、活動管理、予算・資金管理、安全管理など、数多くの事務手続きが発生します。
これらの業務のほとんどは教員が担当していますが、不正の防止などの観点から、事務員が部活動業務に関わる場面も少なくありません。

特にお金は授業料などとまとめて徴収している場合もありますからね。
そんな業務について、「なんで事務員が関わるべきなの?」「具体的に何を担当するの?」という疑問を持つこともあるはずです。
そこで本記事では、私立学校事務員が担う部活動サポートの全体像を、関わる理由・仕事内容の2つの観点から、私の実体験も交えながら、わかりやすく解説したいと思います。
ただ、大学・短期大学と中学・高校とではその様子が大きく異なりますので、本記事では中学・高校の方をメインにしています。
実務でそのまま使える内容にまとめていますので、新任の方はもちろん、経験者の方の整理に役立てていただければ幸いです。
なお、私が大学で部活動の顧問をした際の話は別の記事でまとめていますので、参考までにご覧いただければと思います。
私立学校事務員が部活動に関わる理由
冒頭でも述べましたが、私立学校では部活動の運営に事務員が関わるケースがあります。
以前は教員任せの部分がほとんどでしたが、学校を取り巻く環境の変化もあり、その関わり方に変化が生じてきているのを感じています。
その変化の中でも、私が特に影響を与えていると感じているのが、以下の2点です。
- 学校に求められる「説明責任」
- 働き方改革による学校運営の効率化
両方に共通しているのは「信頼される学校づくり」という点です。
事務員が部活動に関わることが、ステークホルダーから信頼される学校づくりにつながっているという点に基づき、以降詳しく説明していきたいと思います。
変化1:学校に求められる説明責任
1つ目が説明責任に対する意識の変化です。
学校の管理運営について情報を公開し、説明責任を果たすことへの要望が以前よりも強まっていると感じています。

インターネットなんかで情報が出しやすく手に入れやすくなっているからですかね。
なかでも、とりわけ生徒の安心安全やお金の管理に関わることについては、保護者からの問い合わせも多く、説明の質を高める必要性があります。
その質を高めるためには透明性の確保やルールの順守といったことが必要となりますが、教員任せではなかなかうまく徹底できません。
そこで事務員が関わることで、例えばお金の管理を教員から切り離すことができ、出納のタイミングで事務員側のチェックを挟むことができるというわけです。
こうすることで、学校全体としての相互チェックの機能が働き、説明責任を果たしやすくなり、トラブル防止にもつながります。
それでも実際のところ、各部活動が独自で集めている部費までは管理が難しいというのが現状です。

大学では、各クラブに出納帳をつけさせ、年度末にその出納帳と通帳コピーを提出させているところもあるようですが、高校でもそうした仕組みが必要になってきているのかもしれませんね。
この辺りは課題として感じている私立中学・高校の事務員も少なくないように思います。
授業料であろうと部費であろうと、保護者からすれば「学校へ支払ったお金」には代わりありません。
安心してお金を預けられる体制を学校として整えておく必要があります。
まずは、部費以外の部分で部活動に関するお金の管理に事務員が携わるところから始める。
そのようにして、説明責任を十分に果たすことができる学校づくりの一端を担うことが事務員に求められるようになってきているというわけです。
これが理由の1つ目になります。
変化2:働き方改革による学校運営の効率化
2つ目は、働き方改革による学校運営の効率化です。
部活動は放課後や休日に活動することが多く、教員の長時間労働の一因となってきました。

私の勤め先は部活動が盛んではないので、幸いあまり影響がありませんが。
そこで、事務員が大会申請や経理処理などの「事務的な部分」を担うことで、教員が指導に専念できる体制づくりを進めることができます。
「餅は餅屋」ではありませんが、分業により学校運営の効率化を図るというわけです。
事務処理の経験が豊富な事務員が窓口となり、部活動の事務処理を一元化することで、経理処理のミスなどを防ぐ効果が期待できます。
その結果、学校運営の質向上が図られ、外部からの信頼獲得へとつながると考えられます。

実際、大会の参加費を重複して支払いかけたことがありましたね。
こちらが会計ソフトでチェックしていたので、未然に防げましたが。
小さくてもミスは信頼を損なうものです。
事務員が関わることでミスを防止し、学校運営の効率が高まることが期待されているというのが、2つ目の理由になります
部活動サポートの主な仕事内容
では、私立学校事務員が担当する部活動サポートとはどんなものがあるのか。
細かく挙げると多岐にわたりますので、ここでは私が実務上特に関わる頻度が高いと感じている業務をピックアップします。
出納業務

何と言ってもまずはこれでしょうね。
毎年のように横領などの事件が報じられる学校という組織において、お金の出入りを明確にしておくことは、信頼獲得の第一歩だと私は考えています。
特に部活動は、備品の購入や大会参加費の支払いなどお金の出入りが多いため、管理が煩雑になりがち。
だから、教員だけに任せておくことは大変リスクが高いわけです。
そのため、部活動に係るお金のうち「生徒会費」のような学校が徴収しているものについては、事務員が管理を担当することが一般的です。
その管理についておさえておきたいポイントを以下にまとめておきます。
ポイント1:不正防止の仕組みを構築
物品購入の場合であれば、物品選定・見積取得・発注・検収といったことは教員に任せ、教員から提出された書類のチェックや支払いについては事務員が行うようにします。
別の記事でも触れましたが、お金の管理における不正防止のためには、
- 「お金を使う人」と「お金を出し入れできる人」を分ける
- 複数の人の目に触れる機会を増やす
という対策が効果的です。
詳しくは以下の記事をご覧ください。

学校が契約している会計士や監査法人も巻き込んだ方がいいですね。
ポイント2:お金の管理に関するルールの一本化
また、お金を使う際のルールにも注意が必要です。
「生徒会費」や「PTA会費」などは、学校がお金を使う際に適用するルールである「経理規程」などの対象外としているケースがあったりします。
そうなると独自のルールが設定されることになり、これもまた管理を複雑にしてしまいます。
だからできるだけルールを一本化することがおすすめです。

以前勤めていた学校では、部活動で出張した場合と通常の用務で出張した場合とで適用されるルールが異なっていましたね。とても面倒でした。
他にも、物品購入の場合、学校のお金で購入する場合は合見積が必要であるにもかかわらず、部活動の場合は不要などといったケースが発生してしまいます。
そうなると、部活動の顧問と取引先とが不適切なつながりができるリスクが発生してしまうので、要注意です。
経理事務や規程に則った対応に慣れている事務員がサポートすることで、トラブル発生の可能性をできる限りおさえることができます。
予算管理
出納業務に近いですが、予算管理も事務員が関わる業務の一つです。
私の勤め先や知り合いの話などによると、いわゆる「生徒会費」に関する予算は、担当教員と生徒会とが話し合いながら作成するケースが多いと思われます。
ただ、予算が決まったあとの管理については教員と事務員とが連携して行います。

各部活動でお小遣い帳みたいなものを作って管理してよと思うのですが、これがなかなかできないんですよね。
予算を気にせず使おうとする教員もいるので、適宜、各部活動の予算執行状況を共有するようにします。
また、請求書などの管理についても、普段の業務で慣れている事務員が担当します。
もちろん予算執行についても、学校の規程がすでにある場合は、それに則ったかたちで行うことが望ましいです。
ここもやはり「餅は餅屋」
事務員が専門性を発揮してサポートし、いざというときに明確に説明ができるように体制を整えておきましょう。
外部コーチ・指導者の契約手続き
私立学校では外部コーチを活用する部活動が増えています。
その際に必要なのが、
- 契約書の作成
- 報酬の支払い
- 個人情報・資格の確認
- 保険加入の確認
などの事務処理です。
これらは教員だけでは対応が難しい部分です。
教員は自己判断で、自分の知り合いにコーチを依頼したり、部費から謝礼を支払ったりします。
そうなると、部活動でトラブルがあった場合の責任の所在や税金の徴収といった問題が発生してしまいます。

以前の勤め先では、教員が自分の親や兄弟姉妹を学校に知らせることなく合宿に参加させていました。
お金の出入りはないとのことでしたが、学校の把握していない第三者を関わらせることに不安を感じましたね。
こうした事務手続きは、非常勤講師の採用などのノウハウがある事務員が関わることで安全性と透明性が高まると感じています。
ちなみにですが、コーチとの契約に限らず契約書の締結で問題になるのが「誰の名前を契約書に記載するのか」という点です。
基本的に学校法人の場合、理事長が学校法人を代表します。
従って、契約書も「理事長名+理事長印」が必要というのが原則ですが、学校によっては規程で校長に権限を委譲している場合もあります。
後々トラブルにならないように、事前に規程等で確認しておくことをおすすめします。
保護者対応
事務員のところには、保護者から様々なご意見・お問い合わせが寄せられます。
その中でも部活動に関することは、基本的には顧問の教員に対応をお任せしますが、教員も授業などで席を外していてなかなかタイミングがあわないことがあります。
そのような状況で大きなトラブルに発展しないように対応することも事務員の重要な役割です。
- 合宿や大会のスケジュールなどの情報を共有できる仕組みを構築しておく
- 費用が発生するものは、実施前に事務長を含めた管理職に確認をとる
これらの仕組みを構築しておくことで、少なくとも「こちらでは把握していません」というような対応を減らすことができるというのが私の実感です。

「事務室ではちょっとわかりませんね」という返事は、電話越しでも保護者がいい気分でない感じが伝わってきます。
また、なかには顧問に直接言いづらいということで事務員に伝えてくるケースもあります。
これもトラブルの火種なりかねないので慎重な対応が必要です。
こうしたケースにも備えて、事前に対応の流れを決めておきましょう。

保護者対応はチームプレイが肝ですからね。
「チーム学校」の一員として関わっているという意識が重要ですよ。
まとめ
部活動サポートは、単なる事務作業ではありません。
学校全体の安全・効率・信頼を支える重要な役割です。
- 教員の負担軽減
- 保護者への説明責任
- 学校運営の透明性向上
これらすべてに貢献できるのが、事務員による部活動サポートです。
明日からできる改善としては、
- 保護者対応フローの整理
- 事務処理チェックリストの作成
- 教員との情報共有の仕組みづくり
など、小さな一歩から始められます。
この記事が、その一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


