
この記事は以下のような人を対象としています。
・私立学校事務員として働くうえでの基礎知識を身につけるために、役立つツールを教えてほしい。
これまで、日本私立学校振興・共済事業団(以下、私学事業団)が毎月発行する「月報私学」の各月ごとの活用法を紹介してきました。
今回は、その続きにあたる3月号の活用法の紹介になります。
3月号は3月1日に発行されるため、現時点では内容が不明ですが、例年3月号に掲載されている記事というものがあります。
そうした記事の中で、私が毎年参考にしているものを2つピックアップしたいと思います。
その3つは、以下のとおりです。
- 令和〇年度私学関係予算(案)の概要等
- 採用時の手続き
今回はバランスよく、助成関係と共済関係からそれぞれ1つずつトピックスを取り上げるカタチになっています。
新年度に向けて、予算策定や新入教職員の受入準備を進める際の参考にしていただければ幸いです。
なお、前述のとおり本年度の3月号の内容は現時点でわかりませんので、掲載されていない場合もあります。その点はご容赦ください。
【令和〇年度私学関係予算(案)の概要等】
月報私学3月号では、毎回、翌年度の私学関係予算(案)の概要等を解説しています。

このブログ記事を執筆しているのは令和7年度ですので、もし月報私学3月号で取り上げられるとすると令和8年度予算(案)ということになりますね。
ちなみに令和8年度予算(案)については、こちらの記事で紹介していますので、ご覧いただければと思います。
関連記事内でも紹介していますが、文部科学省の令和8年度予算(案)に関するリンクを以下に掲載しておきます。
令和8年度予算(案)
(文部科学省ホームページへのリンク)
その予算(案)のなかで、例年、月報私学3月号で取り上げられている項目が以下の4点です。
- 私立大学等経常費補助
- 私立高等学校等経常費助成費等補助
- 私立学校施設・設備の整備の推進
- 日本私立学校振興・共済事業団の貸付事業等
それぞれの項目について簡単に触れていきたいと思います。
前出の文部科学省のホームページに掲載されている「令和8年度予算(案)のポイント」資料内の「私立大学等の改革の推進」というページもご参照ください。

実際の3月号には、例年この「私立大学等の改革の推進」が一緒に掲載されているので、そちらを見ながら3月号の記事を読み進めることをおすすめします。
[私立大学等経常費補助]
まずは「私立大学等経常費補助」です。

私立大学・短期大学の事務員にはおなじみですね。
逆に言えば私立大学・短期大学以外にお勤めの事務員には馴染みが浅いと思いますので、簡単に解説しておきます。
私立大学等経常費補助は大きく「一般補助」と「特別補助」に分かれています。
一般補助は大まかに言うと、
- 人件費や日々の教育研究活動を行うために必要な経費にあてることが目的
- その学校の規模(学生数や教職員数など)に基づいて算出
といった内容のものになります。
一方、特別補助は、
- 特定の取り組み(社会人や海外からの学生受入や被災地等の復興支援など)にかかる経費等にあてることが目的
- 「取組み1件あたり〇円」や経費の1/2以内といった方法で算出
というものです。
私が入職したときは、先輩職員から「ごはん」と「おかず」という説明を受けました。
「一般補助=ごはん」「特別補助=おかず」というイメージです。
だから「おかず」を増やすために、学校内で取り組まれている事業を調べて、補助金の要件に合うように各部署と調整するのが補助金担当者の大事な役割になります。
こうした補助金担当者の仕事については別の記事でも紹介しています。
こうした一般補助や特別補助のポイントが3月号では解説されています。
また「私立大学等改革総合支援事業」や「少子化時代を支える新たな私立大学等の経営改革支援」などの一般補助や特別補助の増額につながる事業についても触れています。
次年度の準備のためにも情報をおさえておきましょう。
[私立高等学校等経常費助成費等補助]
これも資料「私立大学等の改革の推進」の内容が中心になっています。
高等学校等については各都道府県知事などが所轄庁となって補助金を交付し、学校運営を支援しています。
国としては、その支援に対する金銭的な支援として、都道府県等に補助金を交付しているわけです。
前述の「私立大学等経常費補助」もそうですが、私は前年度の月報私学3月号と見比べながら記事を読んでいます。
変更点などを確認するためです。
理解を深める効果があると実感していますので、おすすめします。
また、月報私学では取り上げられませんが、資料「高校生等への修学支援」もあわせて目を通しておきたいところです。
特にこの令和8年度予算では、「私立高等学校の授業料実質無償化」が大きなポイントとなっていますのでしっかりとチェックしておきましょう。

「大学に勤めているから高校は関係ない」と考えずに、「私立学校に勤める者としての基礎知識」という認識を持って知識を増やすことが大切です。
[私立学校施設・設備の整備の推進]
こちらも資料「私立大学等の改革の推進」に大まかなところは記載されています。
注目すべきはやはり「変更点」と「新設」
期間の延長なども含め、「どこが変わっているか」や「新たに加わったものがないか」をチェックしておきましょう。
また、「耐震化」や「教育DX」などは継続して国が力を入れている分野ですので、私立学校事務員として傾向を把握しておくべきです。
あとは学校の次年度の事業とのチェックも忘れてはいけません。
特に施設・設備の整備関係の事業計画があがっている場合は、こうした補助金へ申請できないかを必ず見ておきましょう。

施設・設備整備は本当に多額のお金が必要になります。小規模な学校ほど目を光らせておきたいところです。
私もこれまで補助金を活用してLED化やパソコン入替、電子黒板などのICT教育推進といったことに取り組んできました。
ただこの時点であまり先走ってしまうのはNG。
施設・設備整備系補助金は補助金の内定があってから事業を進めることが条件となっている場合が多いからです。
うっかり進めすぎてしまうと、「内定前着手」として最悪の場合、補助金の不正受給として取り上げられてしまう可能性があります。
「内定前着手」については、以前、会計検査院に関する記事でも紹介しましたので、そちらもご参照いただければと思います。
施設・設備整備系補助金の獲得は「縁の下の力持ち」であるバックヤード系事務員の腕の見せ所だと私自身は思っています。
慎重かつ積極的に進めて、教育環境の改善を図っていきましょう。
[日本私立学校振興・共済事業団の貸付事業等]
最後は私学事業団独自の事業です。
「貸付事業等」となっていますが、ほぼ「融資」のことだと思ってください。
融資の計画や制度変更について触れられています。
先ほどの施設・設備整備計画の中で財源を考える際に「借入」を検討している場合は、読んでおく方がよいと思います。
特に借入計画がないという場合は、この時点ではさらっと読んでおけばいい内容です。

その後の号で、当該年度の詳しい変更点等を説明した記事が掲載されるはずですので、そちらをチェックしておきましょう。
【採用時の手続き】
1月号では「退職時の手続き」、2月号では「私学共済制度の加入者資格Q&A」が紹介されていました。
その流れを引き継いで、3月号では「採用時の手続き」が解説されています。
次年度に向けた採用活動が順調に進んでいる学校は、3月にバタバタすることはありませんが、急な退職などが発生すると現場の担当者に大きな負担がかかります。

正直、「もっと早く言ってよ」と思います。
そんな時にも慌てないように、この3月号の記事をプリントアウトしていつでも確認できるようにしています。
特に「加入者の資格取得」や「被扶養者の認定」の部分は、注意点も紹介されているので、おさえておきたいところです。
他にも「資格取得前の保険診療」や「継続資格取得者」についても解説されており、知識として身につけておいて損はありません。
なお、令和8年1月26日から「e-Gov電子申請」が始まりました。
これにより「資格取得報告書」や「被扶養者認定申請書」といったものが、電子申請できるようになっています。

私の勤め先でも早速導入しました。
こちらからの申請手続きだけでなく、私学共済から従来紙で届いていたものも電子化されて届いています。
4月1日付採用や3月31日付退職については、従来どおり事前申請が可能なようです。
該当者が多い場合、CSVファイル添付方式で申請できるようですので、担当者の負担も軽減されそうな印象があります。
今回の令和8年3月号では、この「e-Gov電子申請」も踏まえた「採用時の手続き」になっているのではと個人的には思っています。
このような新しい制度等が掲載されていたら要チェックです。
まとめ
今回取り上げたのが「予算」と「採用」ということで、学校法人の運営を支える「ヒト・モノ・カネ」に大きく関わる内容でした。
次年度に向けて、これらの資源に関する情報をしっかりおさえておきたいところです。
私の「月報私学の活用法」記事はこの3月号で終了ですが、「月報私学」自体はこれからも継続して発行されるはずです。
今後も毎月最新号の内容をチェックして、私立学校事務員として働く上で必要な知識を身につけていきましょう。
さらに独自の活用法なども見つけられれば、なお一層知識が深まると思います。
オリジナルの読み方を考えてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。














