
この記事の内容は、以下のような人を対象にしています。
・私立学校事務員が学校の安全管理にどのように関われるのか知りたい人。
地味に大切!夏休み前にやってくる重要業務の数々
夏休みなど、長期の学校休業期間中は「安全管理」の重要度がいつも以上に増します。
事務員の目が届く学校内だけでなく、合宿などの学外での活動や学生生徒等のプライベートに関わるものまで、事務員を不安にさせる要素はたくさんあります。

もちろん天災なんかも不安要素に含まれますね。
こうした安全管理は、教員だけでなく、事務員が組織の“縁の下の力持ち”として支えている重要な領域です。
ただ近頃は、今までは問題なく行われていた課外活動や日常的な授業において事故や事件が頻発し、さらに自然災害の激甚化、ICT機器の普及による新たなリスク、といった要因も重なったことで、学校が抱える安全課題は年々複雑化しています。

この記事を書いている2026年上半期だけでも、部活動遠征バスの事故や音楽室の火災なんかもありましたね。
このような状況の中で、事務員は「安全管理の実務」を担う専門職として、社会からの要請や信頼性に応える役割を果たす必要があります。
事務員の安全管理業務は、単なる「裏方の作業」ではありません。
むしろ、積極的に学校の安全体制を構築し、維持し、改善するための“要”となる仕事です。
生徒が安心して学び、教職員が安全に働ける環境を守るための基盤を構築するためには、事務員の継続的な目配りや取組みが欠かせません。
また、危機対応においても事務員の役割は大きく、事故や事件等発生時の初動対応、緊急連絡網の整備など、学校全体の安全体制を支える多くの業務を担っています。

大学だと警察とのやりとりなんかも行ったりしますね。
第一報の窓口になることも少なからずありますし。
近年、「安心安全な学校づくり」の重要性は社会的にも高まっています。
この社会の流れに対応するためには、事務員が安全管理の専門性を高め、学校の安全文化を育てる存在として活躍することが不可欠です。
本記事では、私立学校の事務員が担う安全管理の役割を、施設点検から危機対応まで幅広く解説します。
日常業務の具体例など、私のこれまでの実体験などを踏まえながら、実務に直結する内容を丁寧に整理していきます。
安全管理は、事務員の専門性を最も発揮できる領域のひとつだと私は考えています。
皆さんの学校の安全体制をより強固なものにするためのヒントとして、参考になれば幸いです。
事務員が担う安全管理の基本領域
私立学校事務員の安全管理業務は、学校の安全体制を支えるための幅広い領域に及びます。
まず、施設・設備の点検や修繕手配は、日常的な安全確保の基盤となる重要な仕事です。
施設・設備点検に関する業務や施設設備管理にまつわるトラブルについては、以前の記事でも取り上げていますので、そちらもご覧ください。
また、事故や事故につながりそうな事案の記録管理、安全に関する情報収集、行政からの通知の確認など、情報の整理と共有も欠かせません。
さらに、教員との連携体制を整え、危険箇所の報告ルートを明確にすることで、学校全体の安全意識を高めることができます。

教員はこういったことに関心が薄い傾向がありますね。積極的に巻き込むように体制を整えた方がいいですよ。
ちなみに私の以前の勤め先では、総務部の教員との校内見回りと教員からの施設設備に関する情報収集を学期終わりごとに実施していました。
その結果に基づき、管理職と相談しながら対応を進めるわけです。
このように事務員は、安全管理における「調整役」「情報ハブ」として、安心安全な学校づくりを支える存在であることを意識しておきましょう。
施設点検の実務とチェックすべきポイント
施設点検は、事務員が担う安全管理の中でも最も基本かつ重要な業務です。
校舎の壁や床の破損、照明の不具合、避難経路の障害物、消火設備の状態など、確認すべき項目は多岐にわたります。

教員は防火扉の前に平気で机なんかを置いたりしますので注意が必要なんですよね。
日常点検では、目視での確認と簡易な動作チェックを行い、異常があれば速やかに記録し、必要に応じて工事会社の手配を進めます。
あわせて、異常を報告するための書類をあらかじめ準備しておき、教員には異常を発見次第、その書類を用いて報告をあげるように周知しておくことも大切です。
一方、定期点検や法定点検では、専門業者による詳細な確認が必要となり、スケジュール管理や見積調整が事務員の重要な役割となります。
「点検内容」「実施時期」「担当会社」
このあたりの情報は属人化しないように、周りの事務員とも共有するようにしておきましょう。
要チェック!点検ついでにこの教室の様子を確認
先ほど紹介した以前の記事なかで、定期点検や法定点検の概要をお伝えしていますが、なかでも消防設備点検が個人的には重要だと私は感じています。
その理由は「校内ほぼすべての場所に立ち入れるから」です。
消火器や煙探知機などは校内のあちこちに設置されています。
従って、もれなく点検するためには普段入る機会がないような場所に行く必要があります。
点検自体は点検会社が実施しますが、それに随行してさりげなく各教室などの状況をチェックするわけです。
冒頭で挙げました音楽室の火災の件では、音楽担当の教員が私物を持ち込んでいたということが報道されていました。
これは特に珍しいことではありません。
専門教科の教員は、自分の担当教室に様々な物品を持ち込んでいることが非常に多いです。

私の以前の勤め先の情報科の教員も、サーバーが置いてある部屋に私物を置いていましたね。
あと、教科とは関係ありませんが保健室と図書室も要注意です。
養護教諭や司書教諭も同じ人が長く勤めているケースが多く、部屋を私物化しがちだからです。
これも私の以前の勤め先の話ですが、司書教諭が自腹で購入した本を図書室に置いてあったことがありました。
本人はよかれと思ってやっているのですが、こうしたことが積み重なって公私混同が起こってしまうので、早いうちに芽を摘み取っておくことをおすすめします。
こういった状況を点検に乗じて確認しておくわけです。
そして、「これはどうなの?」という事案を発見した際には、写真などでの記録、管理職への報告など、適切に情報を共有し、対処します。
普通に立ち入ると教員に不審がられるので、「点検のために仕方なく」という体を装うところがポイントです。
施設点検は「気づく力」と「適切な報連相」が求められる実務です。
安心安全な学校をつくるための第一歩と捉えて取り組んでいきましょう。
危機対応における事務員の役割
施設設備点検などが「危険発生前」の対応とすると、危機対応は「危険発生後」の対応と言えます。
例えば災害発生時には、避難誘導の補助、緊急連絡網の運用、学外への情報連携など、迅速な初動対応が求められます。
こうした対応については、各学校で規程やマニュアルが整備されていると思います。
ただ、教員はこれを読まない。
「何かあったら管理職か事務員に尋ねればいい」と思っている人が多いです。

マニュアルの存在すら知らない教員がいるんですよね。
このような状況にならないように、事務員が働きかけることが大切。
具体的には校長を通じて強制的に規程やマニュアルを読ませることがおすすめです。
例としては、避難訓練の一環として読ませる方法があります。
どの学校も基本的に年に1回は避難訓練を実施していると思います。
その訓練の実施時期が近付いたら、職員会議などで規程等に目を通させるように仕向けるわけです。
「知らないとは言わせない」
学生生徒の大切な命を預かる身という意識を醸成させましょう。
悲しんではいられない|事件・事故発生への備え
あと、長期の学校休業期間に発生しがちなのが学生生徒等の事件・事故。
私が経験した事例では、
- 水難事故
- 暴行事件
- 自死
といったことが学校休業期間に発生しました。

3つとも大切な命が奪われる結果となり、大変悲しい思いをしましたね。
こういった情報の第一報は高校だと校長、大学だと総務課や学生課といった部署が受けることが多いです。
場合によっては、マスコミなどの対応を受けることもあるので、通報・記録・警察との連携など、慎重かつ冷静な判断が必要になります。
第一報を受けてからの流れをフローチャート化するなどして、見える化しておくことが大切です。
余談:盲点になりがちな部活動の安全管理
冒頭で挙げた部活動遠征におけるバスの事故。
この事件を知って正直頭が痛くなる思いをしました。
というのは、事務員は基本的にノータッチの領域だからです。
正直なところ、高校では長期休業期間中にどの部活がどこに行くかまで事務員は把握していません。

稀に旅行会社からFAXが届いているのを見て「あぁ、ここに行くのか」と思うくらいですね。
安心安全な学校づくりの一端を担う事務員ではありますが、この領域に関しては教員に任せきりです。
大学だと課外活動を管轄する部署がありますが、それでも「どこへ行くか」と「緊急連絡先」程度しか把握できていないのが実情だと思います。
事務員がチェックしていれば防ぐことができたかはわかりません。
しかし、今後事務員がどこまで関わっていくかを考えさせる事件だと感じています。
まとめ
ここまで見てきたとおり、安全管理は日々の点検や対応に加えて、学校全体の仕組みづくりによって強化されます。
まず、危機管理に関する規程やマニュアル、危機発生時の対応フローを整備し、教職員が迷わず行動できる環境をつくることが重要です。
あわせて規程やマニュアルは一度作れば終わりではなく、学校の状況や社会情勢に合わせて定期的に更新する必要があります。
もちろん、読ませたり実践したりする機会を与えることも必須です。
安全意識を高めるための職員研修を企画し、学校全体で安全文化を育てることも事務員が関わることができる部分です。
- 施設の不具合を早期に発見し、必要な修繕を進めること
- 災害や事件・事故などの緊急時に、迷わず行動できる体制を整えること
- 安全ルールやマニュアルを整備し、学校全体が同じ基準で動けるようにすること
これらはすべて、「目立たない仕事」に見えるかもしれません。
しかし、学校の安心と信頼を守るために欠かせない、極めて重要な役割です。
事務員が安全管理に主体的に取り組むことで、学校はより強く、より安全で、より信頼される組織へと成長していきます。
今日の小さな点検や改善が、明日の学校の安全をつくる。
事務員が専門性や企画力を発揮し、それを積み重ねることこそが、学校の未来を守ることにつながります。
今回の記事がその参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。


