

この記事は以下のような人を対象としています。
・Z世代の生徒の特徴を理解して仕事に役立てたいと考えている人

自分と最近の若い子とでは考え方が違うだろうから、どう接していいか悩んでしまう。
こんな風に思ったこと、ありませんか。
- よくわからないことに盛り上がる高校生
- こちらの想定とは異なる行動をとる大学生
- 仕事に対するスタンスの違いを感じてしまう新入職員
勤め先の学生生徒や部下のこうした様子から、冒頭のような思いに至るのではと私自身は感じています。

高校生の年齢だと、私の場合、親と子くらい離れていることになりますからね。
実際、生徒から提出された書類に親の年齢に関する記載があると、思わず見てしまい、衝撃を受けることも。
昔からよく言われる「近頃の若い者は」という発言も、このような世代間ギャップから生じているように思われます。
では、なぜそのような思いや発言に至ってしまうのでしょうか。
それは接する相手の世代に関する情報が不足しているからだと思います。
特に私たち私立学校事務員にとっては、高校生や大学生が該当するいわゆる「Z世代」と呼ばれる年代について、十分な知識が身につけられていないことが関係しているのではないかと思っています。
そこで今回は、その「Z世代」について最低限知っておいた方がよいと私個人が思っているポイントと、それにまつわるエピソードを記事にまとめてみました。
概要は以下のとおりです。
- そもそも「Z世代」とは
- 特徴1:アップデート志向
- 特徴2:「エコ」と「界隈」
- 特徴にまつわるエピソード
この記事を読むことで、
- Z世代の考え方の「いいところ」をマネして自ら取り組むことで、共通点を作り出すことができる。
- その考え方の傾向を学校行事などに反映させることで、生徒等の満足度向上につなげられる。
- Z世代と良好な関係を構築することができ、仕事にも好影響をもたらしてくれる。
といったことにつながればと思っています。
参考にしていただければ幸いです。
書籍の紹介
書籍名:Z世代の頭の中
著者名:牛窪 恵
出版社:日経BP
発売日:2025年7月8日
【世代別の呼び方】そもそも「Z世代」とは?
そもそも、「X世代」ってどの年代に生まれた人を指す言葉なのかご存じですか。
調べてみたところ、生まれた年代で以下のようにネーミングされているようです。
- 就職氷河期世代:1971(昭和46)年~84(昭和59)年
- ミレニアル世代:1980(昭和55)年~90年代前半
- ゆとり世代:1987(昭和62)年~2004(平成16)年
- Z世代:1995(平成7)年~2010(平成22)年

私は就職氷河期世代ですね。就職活動のことを思い出すと、今でも何とも言えない不安感が・・・。
各世代の呼び名の由来や意味については、興味がある方はお調べいただくとし、ここでは省略させていただきます。
この記事を執筆している2025年でいえば高校生は16~18歳なので、ぎりぎりZ世代にあてはまりそうです。
こうして年代によって区別されているくらいですので、やはりそれぞれ何かしらの特徴があるのではと感じる人が多いと思われます。
そこで以降は、参考書籍の内容をもとに、私が特に知っておくべきと思ったものを2つ紹介したいと思います。
【見習いたい】特徴1:アップデート志向
まず1つ目は「アップデート志向」です。
書籍では以下のように述べられています。
Z世代は「自分をアップデートしなければ」との危機感が、非常に強い世代です。 P24
「Z世代の頭の中」より引用
そしてその危機感には、「テクノロジーの進化」と「漠然とした将来への不安」が関係しているようです。
書籍ではZ世代を対象とした調査の結果として、以下のように述べています。
AIなどテクノロジーの進化によって、現在の職務領域がいつまで存在するか分からない、と怯えるZ世代も少なくないようです。 P27
「Z世代の頭の中」より引用

私の高校時代はまだ携帯電話が普及し始めたところで、パソコンも家にはなかったので、テクノロジーの進化に怯えるということはなかったですね。
今の高校生たちはスマホで簡単に情報を入手でき、しかもその情報が「AIに人間の仕事が奪われる」といった内容であれば、将来の仕事に不安を抱くのも無理はないように思います。
物心ついたときからこのような情報に触れているので、将来への不安が強く、それがアップデート志向へつながっているようです。
そしてさらにそれに追い打ちをかけたのが「新型コロナ」
これも書籍の解説を引用します。
彼らは、多感な青春時代~社会人になったばかりの20年1月、新型コロナの時代に遭遇したのです。ただでさえ「先が見えない」という漠然とした不安が強いZ世代が、コロナ禍でこの先の仕事にどれほど迷いや懸念を抱いたか、想像に余りあります。 P27
「Z世代の頭の中」より引用

私の属する「就職氷河期世代」も仕事への不安は大きかったですが、このコロナ禍による影響はそれ以上かもしれませんね。
こうしたことからZ世代は、自分をアップデートし続けて、将来への不安を乗り越えようとしているわけです。
ちなみにこれは、よく耳にする「タイパ」の考え方にも関係しているようです。
書籍の解説を引用します。
人生(健康寿命)には限界がある。ゆえに、日々の行動スピードを上げ、時間効率が高い「倍速人生」を生きることで、安定的に長期間それなりのリターンを得ようとする。 P50
「Z世代の頭の中」より引用

某マンガの「精神と〇の部屋」みたいな考え方ですかね。
あっちは時間の方を遅くしていますが。
「リターン=アップデート」と考えれば、非常にわかりやすい考え方だと私自身は感じています。
後述しますが、この「アップデート志向」は、私たち40代の人間がこれから働くうえでもマネをするメリットがあると思っていますので、Z世代への理解を深めることとあわせて意識しておきましょう。
【よく聞く言葉】特徴2:「エコ」と「界隈」
2つ目は「エコ」と「界隈」です。
エコについては、書籍でこのように述べられています。
ゆとり世代やZ世代は、学校でなんらかの「エコ教育」を受けており、エコはデフォルトです。 P160
「Z世代の頭の中」より加工して引用
「クルマ離れ」はその表れの一つとのこと。
言われてみれば、私の高校時代は3年生の3学期になると、クラスの大多数が自動車学校へ行っていましたが、今の勤め先ではあまりいないように思います。
卒業生が訪ねてくることがあり、どうやって学校まで来たのかという会話のついでに運転免許の話をすると、持っているけど車は所有していないという回答が多いです。

こういった傾向も「エコ」に対する意識によるものかなと思っています。
そしてもう一つの「界隈」
こちらも書籍の解説を紹介します。
「界隈」も、Z世代がSNS上でよく使う言葉。カチッと枠を決めるのではなく、「界隈=その辺り」と緩くボカせば、「私も」「オレも」と参加しやすくなるわけです。 P173
「Z世代の頭の中」より加工して引用
これも私の勤め先の話ですが、部活動に所属せずに「同好会」や「サークル」に属する生徒の方が多いです。
部活動になると、同好会などよりも学校からの制限が強くなるので、より「緩い」つながりの方を選んでいるのかなと、書籍を読んで感じました。
この2つのキーワードに関するエピソードを、以降で紹介させていただきます。
【制限からの解放】特徴にまつわるエピソード
「エコ」に対する意識が高いことと、「界隈=緩いつながり」を求めていること。
これらの傾向が見られた行事が今の勤め先でありました。
それは「スポGOMI」というものです。
詳細は割愛しますが、要するに「ゴミ拾いを競い合う競技」と思っていただければと思います。
これを学年入り混じってのチーム制で実施したところ、思いのほか生徒が真剣に取り組む姿を見ることができました。

普段の掃除はとてもやる気がなさそうに取り組んでいるんですが。
その行事限りという緩いつながりのチームを作って取り組むことでテンションが上がり、それが眠っていた「エコ」に対する意識を刺激したのかな、と今では思っています。
同様に事例で、書籍でも「社内運動会」に対するZ世代の考え方として以下のように述べています。
たとえば社内運動会や、親や家族を招いての「社内見学」、クリスマスのファミリーイベントなどは一様に歓迎ムードである反面、Z世代は決して、会社の人たちと「同じ船」に乗りたいわけではない。1年や1日か、何時間かだけ、普段の業務を離れ、人対人として温かな空気に包まれたい。一時的に「家族界隈」の緩いニュアンスで、緩くユニットを組みたい、コラボしたいだけなのです。 P217
「Z世代の頭の中」より引用
教育の一環として実施してみてはいかがでしょうか。
【結論】読んでみて感じたこと&やってみたいこと
とにかく「アップデート志向」はマネしたいと思っています。
以前の記事で40代以降の働き方について紹介しましたが、そこに通ずるものがあるからです。
その記事で「40代は『これができる』という専門性が求められている」と紹介したのですが、まさにこれが「アップデート」だと思います。
また、この「アップデート」に取り組むことで、Z世代の人との共通点を作ることができるとも考えています。
「自分はアップデートのためにこんなことに取り組んでいる」と伝えれば、「実は私も・・・」みたいな感じでつながることができる。
こうしたZ世代とのコミュニケーションのきっかけづくりに加えて、自身の仕事に対する意識の見直しも図れるという点で、皆さまにもおすすめです。
まとめ
冒頭にも述べましたが「近頃の若い者は」はいつの時代でも聞かれる言葉です。
ただ、自分と合わない部分ばかり見て不満を漏らしても仕方がありません。
共通点にできそうなことや、相手のことを活かせそうなことに目を向けて行動する方が、お互いにとってメリットがあると思います。
まずは身近な生徒を相手に、今回紹介しました内容に基づいて行動を起こしてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。


