この記事は、こんな人を対象としています。
・仕事のミスを減らしたいと思っている方
・ミスを減らす具体的な方法を知りたい方
・ミスに対する考え方を見直したい方
「学費業務」や「補助金業務」は1つのミスも許されない、厳格な正確さが求められる仕事です。
そんな仕事と同様にミスが許されない「野球の守備」という視点から、「ミス」へ対処するためのヒントを与えてくれる書籍を紹介します。
書籍の紹介
書籍名:ミスをしない選手
著者名:鳥谷 敬
出版社:PHP研究所
発売日:2024年9月27日
「目標を立てる。自分で考える。試行錯誤を続ける。失敗をうまくなるための材料に変える。「ミス」をなくすコツは、自分の頭で考えて、実際に体を動かし、修正しながら自分のスタイルを確立すること」
(以上、本書より抜粋)
「プロ野球選手として阪神タイガースや千葉ロッテマリーンズで、数々の成績を残してきた著者が、野球の「守備」という側面から「ミスをゼロに近づける方法」を紹介した書籍。
私がチェックしたポイント(書籍より引用)
準備する。ミスの原因を分析する。課題解決のために練習をする。また準備を進める。
私のエピソード
学費業務で度重なるミス
上述のチェックしたポイントに関連する私の経験を紹介させていただきます。
それは私が入職して1~2年目のときの出来事です。
最初のミス
私は大学生の学費を管理する業務を担当しており、学費の徴収、入金確認、督促などを担当し、最終的に「教授会」という会議体へ未納者を報告していました。
報告にあがった学生は「除籍」という処分になります。
あるとき、私の所属する部署に学生がやってきました。
話を伺うと、学費未納のため除籍になったとのことでした。
「未納だけど何とかなりませんか」という相談かと思っていたところ、全く予想もしていないことを話し出しました。
生徒が話す家庭の状況は以下のとおりでした。
- 両親は別居しており、学生は母と暮らし、父は現在一人で暮らしている。
- 父が生徒本人と母に対し「学費は自分が払う」と言っていた。
- 生徒本人も母も、学費は支払われているものと思っていた。
- 大学からの督促状は、父の住所に届いていた。
ここで、問題となったのが最後の部分です。
「督促状が父の住所に届いていた」のですが、学生本人のところには届いていませんでした。
大学の規程では、「学生及び保証人に対して督促を行う」と定められています。
この規程は学生も見ることができ、この学生も規程を確認していました。
学生は「母親は学費を支払えるだけのお金を持っていた。規程どおりに私(学生本人)に督促状が送られていれば、母が支払うことができた」と主張します。
事の経緯は不明ですが、私が担当となる前から、未納者への督促状は保証人に対してのみ送られていました。
そのため、私は「前からこのやり方だから」という理由で、規程を確認せずに督促を行っていました。その結果、今回の事態へと至ったわけです。
当然、規程に則っていないため、こちらのミスということになりました。
2回目のミス
しかし、問題はそこで終わりませんでした。
「ミスの原因を分析する」ということを私はしませんでした。
「前からのやり方を引き継いでやっていただけなので、自分は悪くない」と考え、特に原因を分析せず、「督促状を生徒本人に送るようにすればいい」と思い、そこだけ対応しました。
そうして、次期の学費徴収業務が始まりました。
学費の請求書を送付して間もなく、学生から「金額が違うのではないか」という連絡が入りました。
調べてみると、規程に基づく学費減免の対象となる学生にも関わらず、減免されていない金額を請求していることが判明しました。
前期から連続のミスです。当然、上司からも厳しく注意をうけました。
前回のミスを受け、「規程を確認しなかったからミスが起こった」と分析し、学費の徴収や督促に関する規程をリストアップして、請求や督促をする前に確認するよう準備していれば、防げたかもしれません。
今回、この書籍を読んでそう感じたため、紹介させていただきました。
2回のミスによる信用喪失
もう一つ、この書籍でとても印象深かった箇所がありますので紹介させていただきます。
野球界にもビジネスの世界と同じようにミスが許されない仕事があります。それは守備です。野球界には守備機会という指標があります。刺殺、補殺、失策といったアウトに関与した守備機会のうち、失策しなかった割合を表す数字です。これは守備がうまい選手だと九割八分から九割九分ぐらいの数値をたたき出します。言い換えれば、一〇〇回のうち三、四回ミスをするだけで九割七分、九割六分となり、下手の部類に入ってしまうわけです。
P5
先ほど紹介しました私のエピソードですが、連続してミスしたことで、やはり私の信用は大きく失われることになりました。
どんな資料を提出しても「本当に大丈夫か」としばらくの間、言われるようになりました。
ミスの回数としては2回だけですが、ミスが許されない場面だったため「下手」の部類に入ってしまいました。
ただ、これが補助金に関するミスだった場合、もっと大きな信用損失となったと思います。
補助金も規程(ルール)があり、ルール違反があれば最悪「不正受給」としてマスコミ等に取り扱われることになる可能性があるからです。
そうなれば、私個人だけでなく学校全体の信用問題に発展することとなります。
規程やルールの確認の重要性を学んだ体験でした。
まとめ
「ミス」の原因分析は、まず自分を疑うところからスタート。
学校事務員は、守備機会「九割九分」を目標。
皆さまはこんな情けない失敗はしないかもしれませんが、何かの参考にしていただければ幸いです。
参考になれば幸いです。
これからも皆さんと一緒に地味に地道に「事務活」に取り組み、お役に立ちそうな情報を発信していきますので、よろしくお願いいたします。