この記事は、こんな人を対象としています。
・仕事のミスを減らしたいと思っている方
・ミスを減らす具体的な方法を知りたい方
・組織としてミスを無くす仕組みづくりを学びたい方
個人でミスや事故を防ぐように取り組むことも大切ですが、組織としてミスや事故が起こらないような仕組みをつくることも重要です。
そんな組織の仕組みづくりに役立つ内容の書籍を紹介します。
ミス・事故防止の仕組みづくりをするうえで、自分がどんな役割を担えるかのヒントにしていただければと思います。
書籍の紹介
書籍名:無くならないミスの無くし方 成果を上げる行動変容
著者名:石田 淳
出版社:日経BP
発売日:2021年12月13日
「どんなにスローガンを唱えても、人の意識を変えること、人の性格を変えることにはつながりません。マネジャーやリーダーがフォーカスすべきなのは人間の行動原理であり、そこから発生する具体的な「行動」なのです」
(以上、本書より抜粋)
「行動科学マネジメント」の手法で、これまでに1200社以上の企業、3万人以上のビジネスパーソンを指導してきた著者が、「いつ・誰が・どこでやっても」同じ成果が出る科学的メソッドで、ミスや事故が起きない「仕組み」をつくるための方法について紹介した書籍。
私がチェックしたポイント(書籍より引用)
- もっとも先に行動を変えるべきは影響度が低く発生頻度が高いリスクです。
- ミスを無くすためには、「なぜそんなことをしたか」よりも「どんな行動を取ればよいか」を考える。
- 「行動の言語化」=チェックリスト
もっとも不適当なのは「作業に集中するように」「〇〇を徹底する」「安全確認を怠らない」「よく確認する」などの具体性を持たない「スローガン言葉」です。- ミスを無くすという観点でいえば、安全(ミスや事故を起こさない)のために決して外せない行動「ピンポイント行動」を特定する。
実際に私がやってみたこと
会計システム入力作業の見直し
上述のチェックしたポイントの1つ目の内容となりますが、この書籍を読んで「影響度が低く発生頻度が高いリスク」は何かを考えたとき、この入力作業のことが頭に浮かびました。
入力作業自体は、ミスが生じても生徒や保護者、取引先に大きな影響を及ぼす可能性が低いですが、毎日何件も入力するのでミスの発生頻度は高いです。
ただ、入力内容は最終的には各会計帳簿や決算書類など重要書類に反映されるので、ミスの発生を防ぐ必要があります。
そこでこの作業を見直し、事務室全体で入力ミスの起こりにくい仕組みを作ることを目指しました。
【リスクの特定】
これは上述のとおりです。
入力作業という比較的手のつけやすいものから仕組みづくりをすることにしました。
加えて、今後の取組みにもつなげられるように、小さな成功体験を積むという意味もありました。
【行動の特定】
自分が入力ミスをしたときのことを振り返りました。
ミスとしては「単純な誤字脱字」「勘定科目のコード入力間違い」の2点が頭に浮かびました。
後者について、会計ソフトへの入力作業を普段しない人のために補足説明します。
例えば会計ソフトで「現金」の勘定科目を入力するときは「111」というように、会計ソフトに登録されているコードを入力します。
同じ勘定科目でも、導入している会計ソフトによってコードは異なります。このコードの打ち間違いのことを指しています。
そこで、その2点について「どんな行動をとればよいか」を考えてみました。それが以下の2点です。
誤字脱字:入力後に再度内容を確認する。
勘定科目コード間違い:勘定科目とコード表を確認する。
【行動の言語化】
今度は入力ミスを防ぐには「どんな行動をとればよいか」をチェックリスト化に取り掛かりました。
チェックリスト化については、この書籍で紹介されている「SMORSの法則」を意識しました。
「SMORSの法則」
・Safety(安全である)=「危険なことをしない」ではなく「安全なことをする」
・Measured(計測できる)=どのくらいやっているかを数えられる(数値化)
・Observable(観察できる)=誰が見ても、どんな行動かわかる
・Reliable(信頼できる)=誰が見ても、同じ行動だとわかる
・Specific(明確化されている)=誰が見ても、何を、どうしているかが明確である
P136-137
この法則に当てはめると、前述した「入力後に再度内容を確認する」「勘定科目と支出内容を確認する」はスローガン言葉に近いことに気が付きました。
そこで、再度「どんな行動をとればよいか」を検討し、以下のようにチェックリスト化しました。
別の記事で紹介しましたが、作業をする前は必要な物だけを準備するように環境を整えることは、ミス防止につながるため、チェックリストに記載しました。
また、勘定科目の間違いは、入力しながら勘定科目を頭の中で考えて打つことがミスに原因であると仮説を立てました。
そこで、あらかじめ勘定科目のことだけを考えるステップを入れることにしました。
最後に、声出しをして確認することで、目だけでなく耳も使ってチェックするようにしました。
【ピンポイント行動の特定】
チェックリストの中でも「1回声を出して読み上げる」を最も効果のある「ピンポイント行動」に設定しました。
もともと入力内容をプリントアウトして目でチェックする習慣はあったため、そこに声を足すだけでしたので、習慣化はスムーズにできました。
自分の業務への影響(取り組んだ成果)
実際のところ、このチェックリストを導入してから日が浅いため、検証中の段階です。
具体的な数値にまとめることができた際にはご報告させていただきます。
ただ、実感としては、効果ありと感じています。
勘定科目の設定と入力作業とを分けたことで、それぞれに意識を集中して取り組むことができるようになりました。
誤字脱字の方も、声出しをすることで発見に気づきやすくなっています。
この取組みで得た成果を、他の業務でも取り入れて、事務室内で担当者が変わっても、チェックリストで誰でもミスなく業務が行える仕組みづくりに役立てていきます。
まとめ
「SMORSの法則」でチェックリストを作成。
具体性のない「スローガン言葉」を見たら別の言葉に書き直し。
「どこから手をつければいいかわからない」という方は、まず職場の「スローガン言葉」を探すところから始めてはいかがでしょうか。私の学校にもあちこちにありました。
小さな一歩には最適です。
参考になれば幸いです。
これからも皆さんと一緒に地味に地道に「事務活」に取り組み、お役に立ちそうな情報を発信していきますので、よろしくお願いいたします。