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基礎95:【入学の第一歩】私立学校事務員が携わる入試出願業務に関するあれこれ

学校事務員のお仕事(基礎知識編)
jimmy
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この記事の内容は、以下のような人を対象にしています。
・私立学校事務員の「入試出願業務」に関わる話を聞きたいと思っている人。

1月といえば私立中学校の入試、2月といえば私立高校の入試のシーズンではないかと思います。

jimmy
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大学は夏ごろから順次、行われていたりしますね。

入学試験関連業務は、以前に記事にしましたので、そちらもご覧ください。

私の勤め先も、2月に入試を実施しますが、出願は12月から始まっています

インターネット出願を導入しており、まず12月に出願情報を入力してもらい、1月に入ったら入学検定料を納めていただくといった流れです。

最終的にはプリントアウトしたものを学校に提出するので、完全にデジタル化されているというわけではありませんが、昔に比べると負担が軽減されたように感じています。

そんな本格的な入試シーズンをむかえるにあたって今回の記事では、入試出願業務に関することをまとめてみました

具体的には以下のような内容です。

  • 出願受付業務の今と昔
  • 入学検定料の会計処理(減免)
  • 入試出願業務に関するエピソード

皆さまが業務を進めるにあたっての参考になれば幸いです。

【これも時代の流れ】出願受付業務の今と昔

今と昔の違いとして一番の違いとしては、先述のインターネット出願が挙げられます

冒頭でも述べましたが、今は大学でも高校でもインターネット出願を導入している学校が増えているように思います。

jimmy
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なんせ、うちのような都会から離れた小規模高校でもやっているぐらいですから。

このインターネット出願が導入される前の出願受付の業務といえば、おおまかに以下のような流れでした。

  1. 来校者から出願書類を受け取る
  2. 出願書類の内容をチェックする
  3. 受験番号を附番し、学校印を押印する
  4. 受験票を返却する(受領書のお渡し)

これがインターネット出願の導入によってほとんどなくなりました。

出願者側、学校側のメリットを挙げると、

  • 出願者側:スマホからいつでも、どこでも出願可能
  • 学校側:煩雑な手作業からの解放

といったところです。

そういう意味では、顧客体験が変わったとも言えそうなので、DXと業務のデジタル化の間くらいの変化かもしれません

DXとデジタル化の違いは、別の記事にまとめていますので、そちらもご参照いただければと思います。

特に学校側のメリットは大きいと感じています

後述のエピソードでも触れますが、出願者ひとり一人を窓口で対応しているとかなりの時間を要します。

なかでも私が面倒と感じていたのが「③受験番号の附番、学校印の押印」
専願や併願、学科などに応じて決められた番号を振らなければならず、大変手間がかかっていました。

jimmy
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回転印を「〇回押したら次の番号に変わる」といった調整する手間や、そんな回転印を数台用意して使い分ける手間など、まさに手間の塊という印象でした。

受験番号の附番を誤ったことに気づかず、うっかりそのまま受験票を渡してしまい、あとから大変なことになったというケースも

それがインターネット出願なら、正確に附番してくれるので物理的にも精神的にも負担が軽減されたというのが私の実感です。

一方、このインターネット出願システムの利用料がデメリットと感じることもあります

確かに業務負担等の軽減という効果はありますが、はたしてそれに見合った金額なのかと言われると、少し疑問に思うのが正直なところです

jimmy
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もろもろ含めて年額70万円ほどかかっています。

額面だけで判断しない方がいいのかもしれませんが、感覚的には受験生の数からすればもう少し安くても、と思っています。

インターネット出願で得たデータを、事務室の業務などにもっと活用できれば金額的な不満も多少解消されるかもしれないので、考えていきたいところです。

【マメ知識】入学検定料の会計処理(減免)

出願とセットで行われるのが入学検定料の納付です。
学生生徒等納付金や補助金などに次いで大きな収入となっている学校もあるのではないでしょうか。

そんな入学検定料ですが、普通に入金される分の会計処理は単純なので問題ないと思います。

jimmy
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借方:現金預金/貸方:入学検定料収入 とだけ触れておきます。

マメ知識として紹介したいのは、「入学検定料の減免」に関する会計処理です。

この記事を書いている2025年も様々な災害がありました。

そんな災害被害に遭った受験生のために、「入学検定料免除」などの支援制度を設けている学校も少なくないと思います。

では、実際に免除(減免)を実施した場合、どのような会計処理をする必要があるのでしょうか。
結論としては以下のような仕訳になります。

jimmy
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借方:[管理経費]入学検定料免除額(支出)/貸方:入学検定料

管理経費」として取り扱うというところに注意が必要です。
管理経費については、以下の記事もご参照ください。

ただ、同様の事例として「インターネット出願時の入学検定料割引」というものがあります。
こちらもおさえておきたいところです。

詳しい内容は私学事業団のホームページに掲載されているので、そちらを参照していただければと思います。

学校法人会計Q&A
(日本私立学校振興・共済事業団ウェブサイトへのリンク)

こちらの「平成28年12月号(第228号)」という記事に掲載されています。

基本的には、先述の被災者への減免と同様の会計処理が紹介されていますが、ポイントは補足説明がついているところです

仮に、以下のケースだと想定します。

  • 通常の出願時の入学検定料:30,000円
  • インターネット出願時の入学検定料:25,000円

この場合、以下の2パターンが考えられるというわけです。

  • 差額5,000円を「入学検定料免除額(支出)」として処理する
  • 通常時とインターネット出願時とで入学検定料がそもそも異なるものとして扱う

②の場合、特別な会計処理は不要となるというのが補足説明の内容です。

私の以前の勤め先では、例えば3日間入試がある場合、1日だけ受験する場合と2日,3日と複数回受験する場合とで、1日当たりの入学検定料の金額が異なる制度を設けていました。

「複数回受験時の割引」とも考えられますが、その学校では受験回数によって入学検定料が異なるという扱いにしており、「入学検定料免除額(支出)」のような科目は使用していませんでした

入学検定料割引の会計処理を考える際の参考にしていただければと思います。

【寒さで・・・】入試出願業務に関するエピソード

最後は私のエピソードです。
10年ほど前になりますので、当然インターネット出願導入前の話になります。

1月から出願受付が始まるわけですが、1月といえばとにかく寒い
そんな寒さのなか、窓口を全開にして出願者の対応を行うわけです。

当然、時間が経つにつれて、手先足先が冷え込んできます
暖房は入れていますが、窓口が開きっぱなしなのでほとんど意味を成しません

やっと行列をさばき終えると、急いで窓口を閉めます。

しかし、暖かさを感じるのもつかの間、また次の出願者がやってきます。
そんな日々が出願期間は続くわけです。

jimmy
jimmy

余談ですが、私の以前の勤め先の高校は、出願受付開始日の週の金曜日に何故か出願者が大勢押し寄せてくるという傾向があります。
その日は本当に地獄でした。

そうしてようやく出願期間を乗り越えてほっとしていると、事務長から思わぬ発言が。
それは、

事務長
事務長

暖まっている余裕がないくらい受験生が来ないとだめだ。
昔はこんなものじゃなかった。指がかじかむくらいに来ていた。

というもの。

その発言を聞いた瞬間、

jimmy
jimmy

ちょっと、何言ってるかわからない。

と言いたくなりましたが、そこはぐっとこらえて「そうでしたか」とだけ返事をしました。

受験者数の減少に危機感を感じているのはわかります。

ただ、インターネット出願を導入すれば事務員は寒い思いをせず、受験生も利便性が増すわけです
それが、受験者数の増加にも寄与するかもしれません

今の勤め先でインターネット出願の受付が始まると、いつもこのときのやりとりを思い出してしまいます。

jimmy
jimmy

受験生も事務員も、お互いストレスなく出願や業務に取り組めるのが一番ですね。

まとめ

そもそもですが高校の場合、なぜ出願受付が事務室の業務なのか疑問に感じています。
それは前の勤め先も今の勤め先も同じです。

そんな若干の不満も正直なところありますが、学校にとって大事な志願者確保の状況をいち早く知ることができるという点は大事だと思っています

そして、その情報をとりまとめて迅速に関係者に周知する

他にも、イベント参加者のデータがあれば、イベントに参加したにも関わらず出願に至らなかった人という情報も洗い出せたりするわけです。

このように出願受付のような地味な仕事でも、学校のために色々とやれることはあります。

地味な仕事の大切さ」を感じられる業務ととらえて、取り組みましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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