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実務87:学校法人の会計実務担当者向け|計算書類を読むコツとポイント【書籍紹介】

学校事務員のお仕事(実務編)
jimmy
jimmy

この記事は以下のような人を対象としています。
・会計の担当に就いて、もっと実務的な計算書類の「読み方」を学びたいと思っている人

とある私立学校事務員A
とある私立学校事務員A

会計実務担当者として、他の人よりももう一歩深く会計知識を身につけておきたいなぁ。

とある私立学校事務員B
とある私立学校事務員B

担当者として、メジャーな指標だけでなくもっと専門的な指標もおさえておくべきかな。

こんなことを考えたことはありませんか。

  • 会計担当者だから一般の職員よりもお金に強い
  • 預金残高など表に現れない財務情報をつかんでいる
  • 計算書類を見るだけで経営状態が理解できる

会計担当者は、周りの事務員からこのような目で見られている傾向があるように感じています。

jimmy
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会議でお金の話題になった途端、参加者が一斉にこっちを見てくるなんてこともあったりしますね。

会計課や経理課など、生のお金に関する数値を扱う部署で働くようになると、別の事務員などから「この数値どうなの?」と会計・財務的なことを尋ねられる機会が増えたりします

そんなときに担当者らしく専門的な回答ができるようになりたいと思いがちですが、実際のところそのために何から学べばよいかわからないという状況に陥りがちです。

jimmy
jimmy

巷の学校法人会計に関する書籍などでは、あくまで基本的な部分しか解説していませんからね。

では、どうすればよいのか。

その解決策の一つとして考えられるのが、企業会計の情報を活用すること。
企業会計における財務諸表の読み方のコツやポイントを説明している書籍から、学校法人会計でも応用できそうなものを見つけて、実際に検証していくことが有用です

そこで今回は、企業の財務諸表を読むためのコツやポイントについて紹介している書籍のなかから、私が実務上で「使えそう」と感じたものを3つ紹介したいと思います

その3つとは以下のとおりです。

  • 「手元流動性」と資金のボトムに注目
  • 「利息」を分析
  • 各種キャッシュ・フロー情報をチェック

これらのコツやポイントを理解することで、生のお金に関する数値を扱う部署の事務員ならではの計算書類の読み方などを身につけることができ、自分の勤め先の財政状況をより深く理解できるようになります

その結果、担当者としての信頼度アップにつながることが期待できます。

参考にしていただければ幸いです。

書籍の紹介

書籍名:決定版「1秒!」で財務諸表を読む方法

著者名:小宮 一慶

出版社:東洋経済新報社

発売日:2026年3月17日


【どこから見る?】計算書類を読む際のチェックポイント

とある私立学校事務員C
とある私立学校事務員C

私学事業団が重視しているくらいだから、事業活動収支差額をまずチェックした方がいいのかな。

とある私立学校事務員D
とある私立学校事務員D

いや、やっぱり本業でお金を生み出せているかを見た方がいいから、教育活動資金収支差額から見た方がいいよ。

このように、会計担当以外の事務員の場合、とりあえず知っている情報をもとに計算書類を読もうとします。

jimmy
jimmy

もちろん、これでも計算書類を読む訓練にはなりますので、いいんですけどね。

ただ、会計担当事務員であればこれにプラスして意識したい点があります。
それが「見るポイントに優先順位をつける」です。

書籍の解説を引用します。

ある会社の財務諸表を見て、その会社の実力を見抜く場合には、もちろん優先順位があります。1.安全性、2.収益性、3.将来性の順番です。 P15

決定版「1秒!」で財務諸表を読む方法」より引用

もう少し詳しく説明すると、

  • 安全性:短期的に倒産する懸念がないか
  • 収益性:十分な利益を上げられているか
  • 将来性:現在の安全性や収益性を維持発展できそうか

ということになります。

この優先順位を意識して計算書類を読むことができているかどうか。
そこに担当者とそうでない者との違いが生じるというわけです。

jimmy
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「今日はこの優先順位に従って、財政状態を説明します」と言われると、なんだか説得力があるように感じませんか?

計算書類を読む際やその内容を説明する際に「目的」を明確にして取り組めるかが、担当者とそうでない事務員との「差」として現れますので、意識してみましょう。

なお、優先順位1位の「安全性」について、この書籍では「流動比率」に注目しています。
書籍の解説を引用します。

この本のタイトルとも関係しますが、もし私が「1秒だけ財務諸表を見せる」と言われたら、見るところは決まっています。それは、流動資産が流動負債より多いかどうかです。 P28

決定版「1秒!」で財務諸表を読む方法」より引用

「流動資産が流動負債より多いか」はまさに流動比率のことを指しています。
流動比率の重要性は別の記事でも紹介してきました。

みなさんも計算書類を見る際には注目しましょう。

手元流動性を守るために-「資金が底をつく瞬間」を見逃さない

先ほど紹介した流動比率は、計算書類の1つである貸借対照表から読み解くことができますが、会計担当者としては、もう一歩踏み込んでおきたいところ。

jimmy
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担当者として、計算書類だけではわからない情報に触れることができるというメリットを生かしたいところですよね。

そこでおすすめしたいのが、「手元流動性」です。
書籍の解説を引用します。

「手元流動性」は現預金やすぐに売れる有価証券などの資産に、銀行などからすぐに借り入れ可能な枠を足したものを、月商で割ったものです。式で表すと以下です。
(現預金+すぐに売れる資産+すぐに借りることのできる与信枠)÷月商
月商は年の売上高を12で割って求めます。つまり、すぐに使えるお金が月商の何か月分あるかを知らなければならないのです。 P39

決定版「1秒!」で財務諸表を読む方法」より引用

現預金や有価証券の細かな金額は、一般の事務員では知りえない情報です。

この情報をフルに活用し、学校法人の「安全性」を意識ながら日々に業務あたることで、他の事務員との差を生むことにつながります

あわせて、取引先の金融機関の担当者とやりとりができるというのも、会計担当者の利点です。
普段からコミュニケーションをとるようにし、何気ない会話の中で、

jimmy
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もしうちがお金借りる場合、どのくらいの金額だったらすぐに貸してもらえます?

聞いてみるといいでしょう。

こうした現場の生の情報は大変貴重ですので、積極的に取りに行くべきと私は考えています。

そしてこの「手元流動性」と一緒に注目しておきたいポイントが「資金のボトム」です。
これも書籍の解説を引用します。

ところで、皆さんは自社の資金がいつボトムになるかを知っていますか?これは実務上大切なことです。たいていの企業の場合、資金がボトム(最低)になるのは、給料日から月末までの間です。月末には資金の流出とともに入金もありますから、月末より数日前くらいがボトムになる場合が多いと言えます。 P40

決定版「1秒!」で財務諸表を読む方法」より引用

この解説にあるように毎月の「ボトム」も大事ですが、学校法人の場合は年間を通じた「ボトム」の把握も重要です

というのは、学校法人は一般企業のように毎月まとまった入金があるわけではないからです。

jimmy
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大学だと学納金が入金されるのは半年に1回だったりしますからね。

「毎年どの月に」「毎月どの週に」の2つの「ボトム」を理解する。
それを踏まえて「手元流動性」がどの程度必要かを見極める。

こうした経験を積むことが、「安全性」へのアンテナを広げ、会計担当者としてレベルアップにつながりますので取り組んでみましょう。

金利から財務の健全性を読み解く──2つのレシオをどう活かすか

一時期とは違い、「金利のある世界」が復活しました。

jimmy
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通帳記帳したときに以前と金額が違うなぁと感じますよね。微々たるものですが

ただこうした金利上昇の局面において、借入金を抱える学校法人では、利子負担が重くなってしまいます。

こうした「いくらの金利でいくらのお金を借りているのか」という情報も、会計担当者しか知りえない情報の1つです。

そこでここでは、その情報を活かして経営の安全性を測ることができる指標を2つ紹介します。
その2つとは以下のとおりです。

  • インタレスト・カバレッジ・レシオ
  • デット・エクイティ・レシオ
jimmy
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難しくありませんので、横文字アレルギーの人も、ここで離脱せずに読み進めてくださいね。

まずインタレスト・カバレッジ・レシオについて書籍の解説を見てみましょう。

金利が上がれば、負債の多い企業は金利支払いが急増する可能性があります。その際には、「インタレスト・カバレッジ・レシオ」を見なければなりません。営業利益に受取利息や受取配当金を加味した数字(事業利益)の何%が支払い金利に使われているかということです。 P159

決定版「1秒!」で財務諸表を読む方法」より引用

要するに「本業の利益で利息をどれだけ支払えるか」を示す指標だと私は理解しています。
具体的な計算式は以下のとおりです。

(営業利益+受取利息+受取配当金)÷(支払利息+割引料)

jimmy
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この際、「割引料」は無視してもらってもかまいません。
営業利益が利息の何倍あるか、くらいに考えてください。

この指標を継続的に確認することで、借入金の返済計画に無理がないかを判断できます。

一方、デット・エクイティ・レシオは、「自己資本に対してどれだけ借入金があるか」を示す指標です。
こちらも書籍の解説を確認しておきましょう。

さらに注意すべき指標として「デット・エクイティ・レシオ(D/Eレシオ)」(負債資本倍率)があります。これも財務状況の安全性を見るための指標の一つです。ネット有利子負債(有利子負債から現預金を引いたもの)が自己資本の何倍あるかを示すものです。 P161

決定版「1秒!」で財務諸表を読む方法」より引用
jimmy
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有利子負債≒借入金、自己資本≒純資産とここでは理解してください。

ちなみに計算式は以下のとおりです。

ネット有利子負債÷自己資本

どちらの「レシオ」も学校法人会計ではあまり扱われることがない指標ですが、計算書類を読み解くにあたって十分に有益なものだと実感しています。

会計担当事務員にとって確かな武器になりますので、この「金利」という側面から財務状況を見る力も養ってみましょう。

学校法人の“お金の流れ”-3つのキャッシュ・フロー指標の活かし方

学校法人の財務分析というと、損益計算書や貸借対照表の数字に目が行きがちですが、実務で本当に役立つのは「お金が実際にどう動いているか」をつかむことです

jimmy
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結局、お金の流れが止まったら終わりですからね。

そこで、活動区分資金収支計算書を活用した「3つのキャッシュ・フロー指標」について触れたいと思います。
その3つとは以下のとおりです。

  • キャッシュ・フローマージン
  • 投資キャッシュ・フロー
  • フリーキャッシュ・フロー(FCF)

これらを理解すると、学校法人の“体力”と“将来への余力”が一気に見えるようになります

jimmy
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安全性、収益性、将来性すべて網羅できますね。

キャッシュ・フローマージン:本業がどれだけ現金を生むか

キャッシュ・フローマージンも前出の「〇〇レシオ」と同じくらい学校法人会計では出てこない用語ですので、書籍の解説を確認しておきましょう。

企業の安全性という観点からも、営業キャッシュ・フローがプラスであることを確認しなければならないわけです。 さらに、営業キャッシュ・フローが、収益面からも適正水準であるかどうかを検証しなければなりません。その際に使われるのが、「キャッシュ・フローマージン」という数式です。 P221

決定版「1秒!」で財務諸表を読む方法」より引用

ちなみに計算式は「営業キャッシュ・フロー÷売上高」です。

jimmy
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「本業の活動でどれだけ現金を稼げているか」を示す指標ですね。

学校法人の場合、教育活動資金収支差額比率が近いと考えられます。
この指標は、私学事業団の「自己診断チェックリスト」にも掲載されているほど重要な指標です。

自己診断チェックリスト
(私学事業団ホームページへのリンク)

このチェックリストでは、目安となる数値も紹介されていますので、チェックしておくことをおすすめします。

投資キャッシュ・フロー:未来への投資が適切か

投資キャッシュ・フローは、設備投資や校舎改修など、将来の教育環境を整えるために使ったお金の流れを示します
学校法人会計では「施設整備等活動による資金収支」が該当します。

この数値自体は、会計担当事務員以外でも見ることはできます。

ただ、読み解けるのはプラスかマイナスかといったところまで。
会計担当事務員としては、さらにもう一段階ステップアップした見方を身につけたいところです。

そこで役立つ視点が書籍に掲載されていましたので、紹介します。

投資キャッシュ・フローを見る際に、「未来投資」をどれくらい行っているかをチェックします。(中略) まず一つには「固定資産等の取得による支出」と「固定資産等の売却による収入」の差額が、純額での主に設備投資を表しますから、これがそれらの目減り額である「減価償却費」よりも多いかどうかをチェックします。 P222

決定版「1秒!」で財務諸表を読む方法」より引用

このように、複数の計算書類の数値を組み合わせて読み解くことができる力も会計担当事務員として重要ですので磨いていきましょう。

フリーキャッシュ・フロー:自由に使える余力の指標

まずは書籍で解説されているフリーキャッシュ・フローの定義を確認しておきましょう。

「フリーキャッシュ・フロー」は企業が自由に使えるお金ですが、営業キャッシュ・フローから「現事業維持のために必要なキャッシュ・フロー」を差し引いたものです
(中略)
「現事業維持のために必要なキャッシュ・フロー」を企業外部の人が計算するのは難しいのですが、簡易的に「減価償却費」を用いることができます。通常は、減価償却費分ぐらいの再投資が現事業維持のために必要だからです。 P243

決定版「1秒!」で財務諸表を読む方法」より引用

ここでも「複数の計算書類の数値を組み合わせて見る」がポイントになります。

会計担当以外の事務員は、教育活動資金収支差額比率がプラスかマイナスかだけしか見ません。
「どれくらいプラスであればよいか」という基準を持って、計算書類を読み解けるのが会計担当事務員です

その基準値を、別の計算書類の数値から持ってくることができるようになれば、周りからの見る目も変わってくると思いますので、意識してみてはいかがでしょうか。

まとめ

会計担当事務員ならではの計算書類の読み解き方のポイントをおさらいしましょう。

  • 手元流動性と資金ボトムの把握:日々の運営を守る基礎力
  • 2つの「レシオ」:借入金と財務体力を測る指標
  • キャッシュ・フロー3指標:お金の流れを立体的に理解する

手元資金の厚み、借入金の負担、投資の妥当性、そして最終的な余力。
これらをバラバラに見るのではなく、一つのストーリーとして読み解くことが、会計担当事務員としての大きな武器になります

財務指標は、単なる数字ではなく、学校の未来をつくるための“言語”です
この記事で扱った指標を組み合わせれば、学校法人の財務はよりクリアに見えてきます。

早速、情報収集から始めてみましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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