
この記事は、こんな人を対象としています。
・私立高校の事務員になる予定の方または目指している方
・私立高校の事務員の仕事に興味のある方
・私立高校に現在事務員としてお勤めで、他校のことが気になる方
前回に引き続き、「教員」との協働について紹介します。
高校が掲げるミッションの達成や生徒・保護者の満足度の向上など、一個人では成し遂げることが困難なことでも、教職協働で推進することにより実現可能となります。
そのためには、普段の日常業務レベルのことから協働し、お互いに良好な関係を築いておく必要があります。
記事の内容が、関係構築のお役立ちになれば幸いです。
【再確認】私立高校教員の主な校務分掌
各高校において共通していると思われる5つの校務分掌を再掲します。
- 総務部
- 教務部
- 生徒指導部
- 進路指導部
- 入試広報部

今回の記事は「教務部」「生徒指導部」「進路指導部」との協働について紹介します。
紹介の概要を以下の表にまとめておきます。
教務部 | 生徒指導部 | 進路指導部 | |
協働の事例1 | 学籍異動情報の共有 | 飲食物の販売 | 模試費用等の管理 |
協働の事例2 | ICT機器の更新 | 生徒会費の管理 | 行政等からの調査回答 |
【生徒育成の双璧1】教務部
どの学校でも一定水準の教育が受けられるように文部科学省が定めた「学習指導要領」などに基づき、高校独自の教育内容を編成する役割を担っています。
主な仕事を以下に列挙します。
- 時間割作成
- 学籍管理
- 成績処理・管理
- 授業・試験に関するルールの管理・運用
- ICT機器、校内ネットワーク管理
「教育」は高校が生徒へ提供するサービスの中でも根幹に位置するものです。
その根幹に携わる重要なポジションであると言えます。
教務部との協働1:学籍異動情報の共有
「学籍異動」とは生徒の休学や転学などを意味します。
その学籍異動の状況を把握しているのが教務部です。
学籍異動は生徒数に関係するため、高校の2大収入源である「学費」と「補助金」に関わる重要な情報ですが、事務員だけでは把握することが困難です。
そこで、教務部と緊密に連携し、最新の情報をお互い共有します。
私の勤め先では、学籍異動発生時に各担当者がとるべき行動や確認すべき事項をまとめたチェックリストを教務部と事務員で保有し、抜け漏れがないようにしていました。

担当の交代があった場合でも、ミスが起こらないようにする仕組みづくりが大切です。
教務部との協働2:ICT機器の更新
例えば生徒が「情報」の授業で使用するパソコンは、まとまった台数を一度に更新するため費用が高額になりやすいことから、資金面や固定資産管理の面から事務員が協力します。
「何を買うか」は実際に授業をする教員に選定を任せ、財源を含めて「どのように買うか」は事務員が担います。
前回の記事でも述べた「教育」と「資金」の両輪で学校を運営することが重要になります。
なお、「耐震」「バリアフリー」「教育ICT」は行政の補助金対象となるケースが散見されるため、事務員は日頃から情報収集し、こうした場面で補助金申請を提案できるように備えておきましょう。
【生徒育成の双璧2】生徒指導部
教務部が授業を通じて、知識の習得などの生徒育成を担うのに対し、生徒指導部は授業以外の課外活動や学校生活を通じて、生徒の社会性や自主性を伸ばす役割を担っています。
主な仕事を以下に列挙します。
- 生徒の頭髪・服装等の指導
- 生徒会との連携
- 学校生活上で守るべきルールの管理・運用
- 校内美化活動
- クラブ等課外活動の管理
学問に関する知識だけでは、社会に出た際には不十分です。
高校を社会の縮図と捉えて、そこで活動するために必要なことを教える存在です。
生徒指導部との協働1:生徒向け飲食物の販売
私たち事務員は日頃、直接生徒にサービスを提供する機会が少ないため、例えばキッチンカーなどを手配し、普段とは違った昼休み時間を体験してもらうという取組みを行うことがあります。
その際に重要となるのが生徒目線です。
事務員と生徒は、場合によっては親と子くらい歳が離れていることがありますので、取組みが独りよがりにならないようにする必要があります。
そこで、生徒指導部と協働し、生徒会を巻き込んで企画を検討します。
販売者とのやりとりなど裏方の仕事は生徒指導部と事務員が行い、内容は生徒会が決め、生徒には「生徒会企画」として周知して実施していました。

生徒・教員・事務員の三者協働の取組みとして好評でした。
生徒指導部との協働2:生徒会費の管理
学費と一緒に生徒会費を集めている高校がほとんどではないかと思います。
この生徒会費、学校会計上は「預り金」という扱いになります。
本来「生徒会」が集めて管理するものを、高校が代理で徴収したお金を「預かって」管理しているということです。
そのため、生徒会費が高校側の都合で、目的外に使用されることがないようにしなければなりません。
そこで、生徒指導部が会費を「使う」、事務員が会費を「管理する」といった役割分担をします。

このように、お互い牽制する仕組みを構築して、適切な会費管理を行います。
【次のステージへの案内人】進路指導部
「どのような将来への選択肢を手に入れられるのか」という不安を解消し、育てた生徒が次のステージへ進めるように、サポートする役割を担っています。
主な仕事を以下に列挙します。
- 大学等進学先とのやりとり
- 企業等就職先とのやりとり
- 生徒への進学・就職指導
- 模擬試験の実施
- 進路ガイダンス等行事の運営
生徒や保護者へ安心感を与え、明るい未来へ導く役目を務めています。
進路指導部との協働1:模試費用等の管理
模試費用や勉強合宿の費用も前述の生徒会費のように、学費と一緒に集める「預り金」にあたります。
そのため、目的外使用がないよう適切な管理が求められます。
特に模試費用は、模試によって受ける生徒や受けない生徒がいるため、その把握が煩雑になりがちです。
受検者数を正確に把握しなければ、生徒本人や模試の提供会社に不利益を及ぼす可能性があるため、連携を密にして対応する必要があります。
進路指導部との協働2:行政等からの調査回答
国や地方公共団体等に卒業生の進路状況を報告する調査が毎年あります。
代表例は文部科学省が実施する「学校基本調査」です。
同調査では、生徒数や教員数なども調査対象で、これらの数値は事務員でも把握しているため、容易に回答できますが、卒業生の進路状況までは把握できていません。
そこで進路指導部の教員に回答を依頼するのですが、この調査が毎年4月ごろに実施されるため、年度初めで多忙な場合が多いです。
進路指導部の教員にはできるだけ進路指導に集中してほしいため、調査が届く前に昨年度の調査様式を渡しておき、先に回答を手に入れておくなどの配慮をしながら進めていました。

学校基本調査に限らず、毎年度決まった時期に行われる調査は、事前準備で効率よく処理することがポイントです。
スケジュール管理を徹底し、先手を打つようにしましょう。
まとめ
文部科学省が「チームとしての学校」という在り方を提起しています。
そのことからも、学校運営において教員や事務員がそれぞれの専門性を活かしつつ協働することが重要ということが理解できると思います。
皆さまが「チーム」の一員としての役割を考えることへの一助になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。