この記事は、こんな人を対象としています。
・私立高校の事務員がどんな仕事をしているか知りたい方
・私立高校の事務員になりたいと考えている方
・私立高校の事務員に求められるスキル・能力を知りたい方
・現役の私立高校事務員で、他の事務員の方がどんな仕事をしているか知りたい方
前回、前々回の記事で紹介してきました「私立高校事務員のお仕事」の続きです。
業務の種類
「✓」は前回、前々回の記事で紹介済み、「☑」は今回の記事で紹介になります。
それでは早速、人事労務から紹介を続けます。
各業務の概要
人事労務
これもさらに以下のように分けることができます。
- 給与計算
- 年末調整
- 入職・退職手続き
- 採用求人
- 福利厚生
1つずつ解説します。
【給与計算】
毎月、給与の金額を計算し、各教職員の給与口座へ振り込みます。
補習やクラブ指導などその高校が規程で定める仕事をした場合、規程に基づいた金額を基本給にプラスして手当というかたちで支給します。
手当を計算するには、その月に誰がどんな仕事をしたのか把握する必要があります。
そのために、毎月の締め日を設定し、その日までに教職員に所定の書類を提出するよう求めます。
入試手当など特定の事情があった場合にのみ支給される手当があるので、月単位だけでなく年単位のスケジュールの把握も必要です。
給与に関する所得税や住民税、社会保険料等の支払いも給与担当者が行います。
賞与がある場合も給与と同様です。
【年末調整】
毎年11月ごろから取り掛かります。
国税庁のホームページから最新の様式を確認して、プリントアウトし、対象者に配布します。
本校のようにWebシステム等を使用して、ペーパーレスで行う学校もあります。
年末調整の結果を12月の給与の金額に反映させる必要があるので、提出の遅い教職員への対応に苦慮することもあります。
12月給与の通知と一緒に、源泉徴収票を教職員へ配布し、自治体や税務署へも所定の報告書類を提出します。
これら一連の年末調整業務を、法人本部が取りまとめて行っている学校法人もあります。
【入職・退職手続き】
教職員の入職や退職があった場合の業務です。
ハローワーク(雇用保険関係)や自治体(住民税関係)、日本私立学校振興・共済事業団(社会保険)の3団体への手続きが主なものです。
「○日以内」など期日が定められているものがあるので、スケジュールの把握・管理が重要です。
【採用求人】
本校の場合、高校の所在地の都道府県にある「中学・高等学校連合会」へ教職員募集を連絡や、求人広告会社への連絡を事務室が行っています。
実際の採用面接は、教員採用であれば校長や副校長などが対応します。
事務職員の採用の場合は事務長もそこに加わります。
この業務については、高校によって扱いが様々であるという印象です。
【福利厚生】
日本私立学校振興・共済事業団(以下、事業団)とのやりとりがメインです。
教職員が休職する場合や入院等で高額な療養費が発生する可能性がある場合に、傷病手当金や限度額適用認定証発行の手続きをします。
また、教職員が結婚や出産をした場合、事業団から手当金が支給されるので、その手続きも行います。
事業団独自の貸付金や保険、積立貯金などの制度も、担当者が窓口となります。
休職期間の把握や各種手続きの期限など、スケジュール管理の徹底が求められます。
総務
これもさらに以下のように分けることができます。
- 証明書発行
- 調査回答
- 来校者対応
- 行事・イベント準備
1つずつ解説します。
【証明書発行】
申請に基づき、卒業証明書や通学証明書、在学証明書の発行を行います。
本校では、以前は証明書全てに公印を押していましたが、現在は電子印影も使いながら効率化を図っています。
【調査回答】
国や都道府県等からの各種調査に回答します。
有名なところでは「学校基本調査」や「学校法人基礎調査」があります。
同時期に複数の調査の回答依頼があるため、回答に必要な情報を持つ教員とうまくスケジュール調整をしながら対応する必要があります。
調査内容が重複するものもあるので、一元化してほしいという思いがあります。
補助金の算定基礎となる調査もあるため、その場合は特に正確に回答することが求められます。
【来校者対応】
保護者や取引先、その他の来訪者の対応は、事務室が最初の窓口となります。
挨拶や笑顔など最低限のコミュニケーション能力が必要です。
【行事・イベント準備】
卒業式・入学式、入試イベントの受付や案内状送付を担当するケースが多いです。
行事・イベントの主担当の教員に確認しながら進めるかたちになります。
その他
- 寄付金
- SNS運用
【寄付金】
生徒や保護者、教職員に対して寄付金の申込書類を配布します。
入金があれば、寄付者に対してお礼状や確定申告で寄付金控除を受けるために必要な書類を送付します。
学校の〇周年のときは、特別に寄付を募ることがあります。その時は取引先やOBなど外部の人にも募集をかけることもあります。
入学予定者から寄付を募る場合は、文部科学省や国税庁から、その取扱いに関して注意するべきことが定められていますので、担当者は理解しておく必要があります。「入学予定者 寄付」で検索すると見つけられます。
【SNS運用】
学校によっては、学校アカウントのSNSを事務室が運営している場合があります。
本校では、X(旧twitter)とyoutubeを事務室が取り扱っています。
生徒募集活動に直接関わることが少ない事務員にとっては、SNSを通じて志願者確保に貢献できることは貴重な機会と思っています。
まとめ
大雑把な説明でしたが、イメージだけでもつかんでいただければと思います。
今まで挙げた業務を総括すると、私立高校事務員には以下のスキル・能力が特に必要と考えています。
- 数字力:簿記・会計、数値化
- 計画力:スケジュール管理
- 実行力:すぐやる
- 継続力:習慣化
- リスク管理力:ミスの防止
まずは数字、特にお金に関係する業務が多いので「数字力」が挙げられます。
そして、日・週・月・年単位でスケジュールを管理する「計画力」とその計画に基づいて行動できる「実行力」、それら計画と実行を繰り返し、習慣化することができる「継続力」が求められると思います。
加えて、国や地方自治体から補助を受けているという特殊性から、ミスを起こさない高い「リスク管理力」が必要と考えられます。
このブログでは、これらのスキル・能力のレベルアップにお役立ちすると思われる情報を中心に提供して参りますので、どうぞお役立てください。