この記事は、こんな人を対象としています。
・私立高校の事務員がどんな仕事をしているか知りたい方
・私立高校の事務員になりたいと考えている方
・私立高校の事務員に求められるスキル・能力を知りたい方
・現役の私立高校事務員で、他の事務員の方がどんな仕事をしているか知りたい方
前回の記事で途中まで紹介しました「私立高校事務員のお仕事」の続きです。
業務の種類
「✓」は前回の記事で紹介済み、「☑」は今回の記事で紹介、「□」は次回の記事で紹介になります。
それでは早速、学納金管理から紹介を続けます。
各業務の概要
学納金管理
高校の収入の約8割を占める最重要の収入源です。
これもさらに以下のように分けることができます。
- 徴収
- 督促
- 返金
- 助成金申請
1つずつ解説します。
【徴収】
私の勤務した高校の徴収方法は口座引落でした。
あらかじめ定めた期日に口座引落を実施します。期日設定は高校によって異なり、学期ごとの場合や毎月の場合があります。私の高校は学期ごとでしたので、4月,9月,1月に引落日を設定していました。
保護者には、高校指定の金融機関に口座を開設していただき、その口座から引き落とします。
口座引落の1カ月前くらいに、引落金額等の案内をします。
後述する就学支援金などの関係で、引落金額が生徒ごとに異なることが多いので、金額の確認はかなり神経をすり減らしてチェックします。金融機関に口座引落の依頼をする期日ギリギリまで確認していました。
とにかく、ミスなく行うことが求められます。
最初の口座引落で引き落とせなかった場合、再引落を実施します。
それでも徴収できなかった場合は、次の【督促】に移ります。
【督促】
督促の基本は手紙と電話連絡です。
口座引落は再引落以降行わないので、金融機関から振り込むよう督促します。
猶予の申し出があれば、事情等を記載した所定の様式(猶予願など呼び名は様々)を高校に提出するよう指示します。
猶予するかどうかはケースバイケースです。
なかなか電話に出ないことや連絡がつながっても「今週中に払います」などと言って、結局払わないケースなどがあります。担当者の交渉力が問われます。
親身になって対応していると、生徒の卒業式の際などに事務室まで感謝の言葉を伝えに来られることがあります。
バックヤード業務で人から感謝されることはほとんどないので、嬉しい瞬間です。
【返金】
生徒の転学や休学などがあった場合に、すでに納付済みの学納金を返金する場合があります。
このとき、厄介なのが教材費です。学校によっては「学習費」や「諸費」などの言い方の場合があります。模試の受験料や行事等で生徒一人ひとりが使う物品の購入費などが主な内容です。
従って、個人ごとに使用金額が異なることが特徴です。
事務室では「誰が模試を受けたか」など把握ができないため、その情報は教員頼みなのですが、これが曖昧なことがあります。
実際、対象者に「返金額は〇円です」と案内したあとに、教員から「ごめん、間違えた」という連絡が入ることもしばしばあります。
あまり発生しない業務ですが、確認が面倒なため、割とストレスを感じることが多い業務という印象です。
【助成金申請】
学納金を補助する目的の助成金は、補助金担当ではなく、学納金担当が担当するケースが多いです。
国が実施している「就学支援金」制度がそれにあたります。各世帯の所得に応じて、国が学納金を補助する制度です。
私が担当していた時は、紙ベースで保護者から申請書類や課税証明書などを集めていましたが、今はシステムを使ったやり方に変わっている様子です。
担当者は、課税証明書等と申請内容の確認を行いますが、確認に抜け漏れがあると、本来受けることができた補助を受けられないことや、逆に過大な補助となり、保護者からお金を返していただくこともあるため、正確性が重要となります。
もちろん、申請期日を把握した行動が必要ですので、スケジュール管理も大切です。
毎年度の2学期ごろには、各生徒の就学支援金の額が把握できていることが多いので、その金額を考慮して、2学期以降の学納金の金額を設定します。
その他、例えば大阪府のように、都道府県によっては、就学支援金の上乗せ補助を実施しているところもあるようです。
就学支援金以外にも、地方自治体が独自で実施している給付金や貸付金などのとりまとめも行います。
施設設備管理
エアコンの故障や教室扉の破損など、施設設備に不具合が生じた際に、工事会社等へ連絡して対応します。
他にも、定期的な建物検査や消防設備の点検などのスケジュール調整を取引会社と行います。
生徒にとって安心・安全な教育環境整備のため、重要な業務となっています。
あと、会計上、必要な業務として、高校の基準で定めた「固定資産」の管理も行います。
例えば「10万円以上で1年を超えて使用するもの」のような基準であれば、それに該当するパソコンを購入した場合、管理用のシールを貼付したりします。
シールには管理用の番号や取得年月日などを記載しておきます。
台帳を作成し、そこに管理用番号等を記載して把握し、年に1回現物の確認を行いますが、知らない間に対象物が移動されていて、焦ることがあります。
管理番号 | 名称 | 単価(円) | 個数 | 取得年月日 | 設置場所 |
0001 | パソコン | 100,000 | 1 | 20**/〇/△ | 図書室 |
このような管理業務に加えて、電気・空調などの設備を省エネのものへ更新するといったことも計画し、進めることもあります。
年中使用するものであるため、うまく更新することができれば、経費の削減につながり、収支状況の改善に貢献することができます。
次回について
また長くなりそうですので、ここで区切らせていただきます。
次回の記事を最終回にしたいと思います。
何度もお付き合いいただきましてありがとうございます。
これからも皆さんと一緒に地味に地道に「事務活」ができるよう、お役に立ちそうな情報を発信していきます。