
この記事の内容は、以下のとおりです。
・生徒にとって安心安全な環境づくりに必要な施設設備点検業務について紹介
ゴールデンウィークが先週終わり、今週からはまた毎日登校する日常が始まります。
生徒だけでなく教職員も、まだ本調子ではないという人がいるのではないでしょうか。
私のゴールデンウィークは「ほぼ」カレンダーどおりのスケジュールでした。
「ほぼ」というのは、1日だけ校内の設備点検に立ち会う必要があったため、休日でしたが出勤しました。
こんな感じで、生徒たちがいないときを狙って行われる業務があります。
今回の記事では、そうしたこっそり行われる業務を3つ紹介したいと思います。
その3つとは以下のとおりです。
- 貯水槽清掃
- 消防設備点検
- 定期建物点検
どれも共通点としては「施設設備管理」に関する業務ということです。
生徒が安心安全な学校生活を送るために、施設設備の定期的なメンテナンスは必要不可欠です。
これらの業務には、専門的な知識や資格が必要となるため、実際に作業を行うのは外部の専門会社になるわけですが、学校関係者もその現場に立ち会わなければなりません。
私立学校事務員として「安心安全な教育環境づくりのためにこんな仕事もあるのか」という参考にしていただければ幸いです。
【命の水】貯水槽清掃
学校に限らず、水は生活に欠かせないもののひとつです。
そんな水をきれいな状態に保つために、貯水槽を定期的に清掃する必要があります。
実はこれ、法律で定められているのです。
「水道法」という法律が関連するのですが、この法律の中身を私立学校事務員として知っておく必要はないと思いますので、説明を省きます。

ここでは「貯水槽は毎年1回以上清掃と水質検査が必要」と理解しておけば十分です。
この法律の定めに従い、専門会社による清掃を年1回以上、定期に行うことになります。
そして、貯水槽の清掃作業を行うためには、貯水槽の中の水を抜く必要があり、そうなると学校内の水が使用できなくなるため、生徒がいない時を狙って行わなければならないというわけです。

私がゴールデンウィークに出勤していたのは、この清掃作業の立ち会いをするためでした。
別にゴールデンウィークでなくても、生徒の夏休み期間などでもいいのですが、毎年の慣例になっています。
なお前述のとおり、貯水槽の管理のためには「清掃」と「水質検査」を行わなければなりませんが、「水質検査」については水道の使用を制限するものではないため、基本的にはいつ実施しても問題ありません。
私の勤め先では、貯水槽の清掃会社と同じところが水質検査も行っています。
繰り返しになりますが、学校生活になくてはならない「水」を適切に管理して、安心安全な学校づくりを意識しましょう。

ちなみですが、私立高校は数年に1回程度の割合で、所轄の都道府県から調査を受けます。
都道府県の職員の方が来校し、補助金関係をメインに調査を受けることになりますが、学校運営に関することもチェックされます。
私の勤め先を管轄する都道府県は、その学校運営関連として「定期的な貯水槽の清掃」と「水質検査」について実施状況がわかる資料の提出を求めてきます。
「そんなところまでチェックするのか」と正直驚きました。
【いざという時の】消防設備点検
1つ目の貯水槽と違い、直接学校生活に関わるものではありませんが、消防設備も安心安全な学校づくりのために重要なものの1つです。
これも貯水槽清掃と同じく法律により定められています。
消防法という法律に関わるものですが、説明は割愛させていただきます。

これも「毎年1回、学校にある全ての消防用設備等の点検をしなければならない」程度に理解しておきましょう。
「全ての」消防用設備等が対象となるため、教室に設置している煙感知器や消火器、火災報知器なども含まれます。
そうなると、教室内に入っての作業や非常ベルの鳴動による大きな音などへの配慮が必要となるため、生徒がいないときを見計らって実施するわけです。
貯水槽清掃は2名程度で行われますが、消防設備点検は学校全体が点検対象となるため、小さな学校でも7~8名程度で実施されます。
また、他にも貯水槽清掃と大きく異なる点として、点検当日だけで完了しないということが挙げられます。
一度の点検で必ず何か問題点が発見されるという意味です。
消火器の経年劣化や火災受信機のバッテリー劣化など、大小様々な指摘事項について対応が必要となるわけですが、小さな学校にとってはこれが割と痛い出費になります。

貯水槽清掃で問題が発見されることはないので、その点は気楽に立ち会いできるのですが、消防設備点検の時は「何も問題ありませんように」と祈る思いです。
ただ、いざというとき設備に不具合があると、生徒を危険な状況にさらしてしまう可能性が生じるため、ケチることもできません。
安心安全の維持にはお金がかかる、というのが私の実感です。
こちらは、前述の都道府県による調査で資料の提出を求められたことはありませんが、点検結果については、所轄の消防署に報告する義務があります。
提出は点検会社が行ってくれますが、施設設備管理業務の1つとして参考までに覚えておきましょう。
【総合的チェック】定期建物点検
前述の2つは「貯水槽」や「消防設備」といった範囲が限定されたものでしたが、この定期建物点検は、校舎など建物全般に関する点検になります。
さらに、毎年ではなく3年に1回実施するかたちとなっています。

会計担当者としては、この「3年に1回」というところが面倒で、うっかり予算の計上を失念することがあります。
私も一度予算計上が抜けていて、上席者に注意されたことがあります。
これも法律の定めによるもので、建築基準法がその根拠法となります。
例によって法律の解説は省略させていただきます。
点検内容は本当に多岐にわたり、建物の壁面や屋上の劣化状況から建物内の通路の広さなど様々な角度からチェックを受けます。
そして「消防設備点検」と同じく、アフターフォローが必要なところが経理担当者泣かせな点です。
しかも前述のとおり、点検項目が多岐にわたるため、指摘事項も多くなりがちで、その分費用がかさむことになります。
点検そのものの費用も、前述の2つと比較すると高額となっています。

以前、屋上の防水状況を指摘されたので、防水工事の見積もりをとってみたところ、目が飛び出るような金額が提示されました。
やはり建物そのものにかかる工事は高額になるという印象です。
小規模校にとって全ての指摘事項に対応することは資金的に難しいため、施設設備管理業務の担当者としては、点検会社と十分に意見交換をし、指摘事項について優先順位をつけるなどして対応を検討する必要があります。
もちろん、検討にあたっては資金面だけでなく「生徒の安心安全」という視点も忘れてはなりません。
「生徒の安心安全の確保」を共通の目的にしたうえで、担当者は上席者、点検会社それぞれの意見をうまく調整しなければならないということを意識しておきましょう。
まとめ
学校が保有する資産の多くは固定資産、つまり土地や建物、機器備品といった施設設備です。
その施設設備を永続的に維持・更新すること、そして生徒たちが安心安全に利用できるようにすることが学校には求められています。
それが、学校に対する信頼にもつながるわけです。
私立学校事務員としては、こうした施設設備管理業務を法律で「決まっているから」や「単なる一時的なメンテナンス」ととらえるのではなく、「永続的な教育活動と関係者からの信頼獲得」という目的で行われていることを理解しておきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。