この記事は、こんな人を対象としています。
・私立高校の事務員がどんな仕事をしているか知りたい方
・私立高校の事務員になりたいと考えている方
・私立高校の事務員に求められるスキル・能力を知りたい方
・現役の私立高校事務員で、他の事務員の方がどんな仕事をしているか知りたい方
このブログは、主に高校事務員の方の「事務活」にお役立ちする情報を紹介することを目的としています。
そのため、まず私自身が「事務活」でどのような書籍を読み、その内容を基にどのような行動をとり、どのような結果・成果に至ったかという実績を知っていただいた方が、説得力があると考えて、これまでの記事を書いてきました。
数としては6つだけでしたが、ご理解いただければと思います。
そこで今度は、私立高校の事務員がどんな仕事に携わっているかを簡単に紹介させていただければと思います。
今後もスキルアップに役立つ情報を提供する予定ですが、仕事内容を理解していただければ「こんな仕事をしているから、こういうスキルが必要なのか」という理解も深まると考えております。
ぜひ、最後までお付き合いください。
なお、ここで紹介する業務とその内容は、私が所属した高校におけるものです。各高校で実情が異なる場合がありますので、ご了承ください。
業務の種類
「☑」は今回の記事で紹介、「□」は次回以降の記事で紹介します。
業務の概要
経理・会計
私がメインで携わってきた業務です。
業務をさらに細かく分けると、以下のような業務があります。
- 預貯金、現金管理
- 取引先支払
- 教職員支払
- 予算・決算
- 周辺会計
1つずつ私の経験等を交えながら解説します。
【預貯金、現金管理】
学校は「支払用」や「学費入金用」など預貯金口座を複数保有しています。
それらの口座の残高を把握し、入金や出金のスケジュールに基づき適切な金額になるよう調整します。
また、預貯金口座とは別に、事務室にある程度の金額の現金を置いています。
その現金も過不足がないよう、管理をします。
預貯金口座や現金が動くと、原則その都度学校が導入している会計ソフトに記録します。簿記の知識があれば役立ちます。そして、その会計ソフトと実際の預貯金残高等が一致するか日々確認します。正確性が求められます。
また、取引先の金融機関の担当者と交渉して、定期預金口座を開設することもあります。交渉次第で、店頭金利よりも高い利率を設定できる場合もあります。
【取引先支払】
学校で教職員が使用する文房具やコピー用紙、図書室に置く図書などを様々な取引先から購入します。その購入代金の支払いは主に銀行振込で行います。
ほとんどの場合、「毎月末日締め、翌月末日支払」のように請求書等の締め日と支払日を設定して、取引先と契約を結んでいます。
支払方法は、今はほとんどがネットバンキングを使用しているという印象です。
学校法人によっては、設置している学校すべての支払いを法人本部に集約して一括で支払っているところもあるようです。高校は、請求書等の書類だけ法人本部に送るというかたちです。
振込先や振込金額、振込日を誤ると、取引先に大きな迷惑をかけることになるので、ここでも正確性や計画性が求められます。
【教職員支払】
教職員が出張した際の旅費の精算や立て替えて物品を購入した場合等の精算をします。
取引先支払と異なり、締め日は設けず、ある程度書類が溜まった時に精算しています。
そのため、早くお金が欲しい教職員から「いつ振り込まれるのか」と催促されることもあります。
現金手渡しをしていたこともあるようですが、今は銀行振込にしています。
これも学校法人によっては、法人本部に集約して一括で支払っている場合があるようです。
【予算・決算】
学校法人は私立学校法の定めにより、予算および決算をする必要があります。
予算は、生徒数や教職員数、工事計画などを勘案して、その年度の収入と支出の見込みを算出し、予算書という形式にまとめます。
学校法人では、予算制度が重視されるため、予算策定は非常に重要な業務という位置づけで取り組みます。
また、予算は一度策定したら終わりというわけではなく、年度内に何度か見直しをします。これは補正予算と呼ばれ、その年度の6-8月ごろに第一次、10-12月ごろに第二次と補正予算を策定します。
決算は、年度末から年度初めにかけて行います。毎会計年度終了後二月以内に決算書を作成しなければなりません。
年度初めの繁忙期にかなりスピード勝負を求められ、大変です。
加えて、決算の数値が補助金を算定するための基準の金額となることもありますので、迅速性だけでなく正確性も強く求められます。
数値を入力すれば、予算書や決算書は会計ソフトが自動的に作成しますが、その仕組みを理解するために簿記の知識はあると役立ちます。
【周辺会計】
いわゆるPTAのお金や生徒から集める教材費の管理などを指します。
高校本体のお金ではないのですが、近年着服等の不正使用がよくニュースになる関係で、厳格な管理が求められるようになっています。
例えば、請求書の管理等は教員と事務室担当者が行い、金銭の出納が発生する場合は事務長の承認を得るといった複数人での管理体制をとります。
補助金手続き
こちらも主なものとして以下の種類に分けられます。
- 運営費
- 施設設備
【運営費】
呼び方は都道府県で様々ですが、その学校の生徒数や教職員数など、規模に応じて交付される補助金です。
少人数教育やチームティーチングなど特色のある教育を実施していた場合、さらに補助金が加算される仕組みになっています。
なるべく追加の費用をかけずに、特色のある教育を実施して、補助金を獲得するように、教員と話し合うこともあります。
この補助金は毎年度交付されるタイプです。 私立高校では学費に次いで2番目に大きな収入源であるため、重要視されています。
申請内容に誤りがあると、「補助金不正受給」と判断され、大きな信用問題につながる恐れがあるため、正確性が強く求められます。
【施設設備】
前述の運営費と異なり、毎年度交付されるタイプではありません。
耐震化工事や省エネ工事、ICT化工事など実施に高額な費用が発生するものを対象とした補助金です。
ただし、費用全額が補助されるわけではなく、1/3や1/2補助というパターンが多いです。
耐震化のように、国や都道府県が進めたい取組みを補助対象とすることが多いため、年度によっては補助金の公募が行われないこともあります。
正確性はもちろんですが、担当者は公募状況と自校の事業計画を把握し、補助金を取り逃さないようにすることも求められます。
次回について
私が担当している業務に関する内容でしたので、つい長くなってしまいました。
どの業務も「お金」が関わるため、慎重さや正確さが強く求められますが、その分やりがいもありますので、私立学校事務員として働く際にはぜひとも経験していただきたいと思います。
今回はここで一旦終了し、続きは次回の記事で書かせていただきます。
お付き合いいただきましてありがとうございます。
これからも皆さんと一緒に地味に地道に「事務活」ができるよう、お役に立ちそうな情報を発信していきます。