

この記事は以下のような人を対象としています。
・「施設設備管理業務を担当していると、どんなトラブルに見舞われるのか知りたい」と思っている人
別の記事で、私立高校事務員の担当する「施設設備管理業務」の事例を紹介しました。
今回はそれに関連して、私がこの業務を担当していて遭遇したトラブルを3つ紹介したいと思います。
その3つとは以下のとおりです。
- 停電トラブル
- 凍結トラブル
- 不審者侵入トラブル
自然によるものや人的なものなど、施設設備管理には突然のトラブルがつきものです。
それに対処するためには、過去の事例や他人の経験からどんなトラブルが起こりえるかをあらかじめ知っておくことが大切だと考えております。
この記事を参考にしていただき、心の準備をしたうえで、安心安全な学校づくりへ役立てていただければと思います。
【「平時」の確認が大事】停電トラブル
電気・水・ガスといったインフラは、日常生活だけでなく学校生活でも欠かせないものです。
中でも電気は止まってしまうと、あらゆる活動がストップしてしまう超重要な資源。
そんな電気ですが、普通に教育活動を行っていても、止まることがあります。
例えば、ドライヤーなど電気使用量の大きいものを使用したとき。
私の勤め先の校舎は古いものが多いためか、ドライヤーやスポットクーラーなどを複数台使用しただけで、ブレーカーが落ちます。
その都度、復旧に走り回るのですが、最初のころはブレーカーの場所がわからず、学校中をあちこち探していました。

教室の照明器具などのブレーカーとエアコンのブレーカーが別々ということも知らなかったので、エアコンが止まった時に照明器具の方のブレーカーとずっとにらめっこしていたこともありました。
こうした事態に備えて、今では学校の配置図にブレーカーの場所を書き込んで、紙とPDFの状態で保存するようにしています。
「平時」のときにブレーカーの場所を確認し、記録しておくことをおすすめします。
ただ、ブレーカーが落ちただけであれば、上述のとおり場所さえわかれば対処は簡単です。
厄介なのが、停電によって予想もしない設備に影響を及ぼすことがあるという点です。
以前に、落雷により学校がある地域一帯が停電したことがありました。
夜中に発生したため、直接教育活動には影響がなかったのですが、朝になって私が出勤した際に、いろいろトラブルが発生していました。
まず、学校に入るなり目についたのが、廊下に設置している消火栓のランプの点滅です。

「なぜこのランプ、ピカピカしているんだろう」とその時はのんきに思っていました。
そして、よく耳を澄ませてみると、事務室の中から警報音のようなものが聞こえてきます。
急いで事務室内に入ると、事務室に設置している消防設備の警報盤のアラームが鳴っているのです。
とりあえず、アラームを止めるわけですが、止めた後も警報盤の異常を伝えるランプは点灯したままです。
点灯しているのが貯水槽関係の警報盤でしたので、貯水槽のあるボイラー室的なところの状況を見に行きました。
すると、何か装置が「作動している」様子です。

この「作動している」というところがポイントでした。
実はこの装置、作動してはいけなかったのです。
停電が復旧した際に、何かがきっかけとなって作動してしまったようなのですが、普段あまり見る機会がないため、「そんなものか」と見過ごしてしまいました。
「時間が経てばランプも消えるのかな」と思い、そのままにしておきましたが、一向にランプは消えません。
さすがにおかしいと思い、取引のあるビル管理サービス会社の連絡し、状況を伝えたところ、その装置を止めるよう言われました。

様々な作業の末、ようやく消火栓や警報盤のランプは消え、いつもの状態に戻すことができたときはほっとしました。
生徒に直接影響がなかったことが、不幸中の幸いです。
この件を機に、普段足を運ばないようなところの設備の「通常の状態」を写真に収めるようにしました。
「平時」の状態を把握しておくことが重要だということに気づいたからです。
皆さまも夏休み期間などを利用して、ぜひ「平時」の状態を確認し、記録することをおすすめします。
【寒い地域ならでは】凍結トラブル
私の勤め先の地域は割と寒いです。
年に一度は、積雪による交通トラブルに見舞われます。
そして、さらに寒さが厳しくなったときに起こるトラブルが「凍結」です。
水道管の中にある水などが凍結し、水が使えなくなることがあります。
この水道管の凍結、厄介な点があります。それは以下の2点です。
- 使ってみないとわからない
- 氷が解けるまで待つしかない
まず1点目ですが、普通に水道の蛇口をひねって、水が出ないというケースであればいいのですが、困るのは「トイレ」。
使用後に流せないことがわかっても、もう遅いわけです。

生徒が「トイレの水が流れない」と言いにくるので、状況確認のために見に行きますが、正直行きたくありません。
事後になるわけですが、校内放送でトイレの使用を控えるように注意喚起します。
そうすると今度は「いつ復旧するのか」という質問が殺到します。
ここで2点目の問題が出てきます。
氷が解けるまで待つ以外の方法がないのです。
一応、近くの水道工事会社に連絡をとってみますが、このタイミングだと学校のある地域一帯で同様のトラブルが発生しているため、なかなか来ていただけません。
電話越しに「とりあえず解けるまで様子を見てください」と言われるだけです。
こうしていつ復旧するかわからないという不安な気持ちを抱いたまま、生徒も教職員も我慢の時間を強いられることになります。

しばらくしてから、蛇口をひねってみると「バン!」という破裂音がします。それが氷が解けた合図のようなものになります。
この破裂音を聞いたときに「やっと出口が見えた」という気分になります。
水道管の凍結トラブル防止策としては、前日にちょろちょろと水を出したままにしておくことが効果的なようですが、そこまで気温が下がることを予測して対応することは難しいというのが私の感想です。
それでも、天気予報を頻繁に確認するよう努めています。
あとは「水道が凍りませんように」と祈るというのが、私の冬のルーティン業務です。
【のどかな田舎】不審者侵入トラブル
前述の2つのトラブルは自然によるものでしたが、これは人的なトラブルになります。
あるとき、学校に防犯カメラを設置する工事を行いました。
防犯カメラの設置も、安心安全な学校づくりのために必要と考えて行いますが、生徒からすると「監視カメラ」的な印象を持ってしまうため、生徒がいない休日などを見計らって設置工事を実施します。
一通り設置が終了し、録画したデータを見る方法のレクチャーも受けました。

正直なところ、「データを見ることなんかないだろう」と思い、話半分に聞いていたのですが、まさかこの後いきなり実践することになるとは思っていませんでした。
設置工事を担当した会社が、後片付けなどをしていた際にトラブルは起こりました。
工事会社の方が私のところにやってきて、「年配の男性の方が校内におられるのですが」と言うわけです。
前述のとおり、生徒がいない休日に工事をしているので、私と工事会社の人以外に校内に人がいるわけがありません。
急いで現場に行くと、確かに年配の男性が立っていました。
驚きましたが、勇気を出して声をかけたところ、慌てる様子もなくゆっくりとこちらの呼びかけに反応を示してくれます。
しかし、ほっとしたのもつかの間。
男性が話し出したのですが、これが何を言っているのかさっぱりわかりません。

直感的に「認知症かな」と思いました。
特に危害を加える様子がなさそうに感じたので、男性をその場に残して急いで事務室へ戻り、警察へ電話しました。
ほどなくして警察官が来て、男性の身柄を確保してくれました。
そもそもなぜ男性が校内に入ってこられたのかというと、工事会社の方が来られるので私が学校の正門を開けっ放しにしていたからです。
先ほど少し触れましたが、設置したばかりの防犯カメラの録画データを早速確認してみると、開けっ放し門から男性が普通に入ってくる様子が録画されていました。
工事会社の方が来られた時点で、門を閉めておけばおそらく男性が入ってくることはなかったと思います。

今回は幸い何事もありませんでしたが、リアル不審者が侵入していたらと思うとぞっとします。
以後は、同様の工事等があった際には、必ず門は閉めるようにしています。
まとめ
施設設備の管理をしていると、思いもよらないトラブルに見舞われることがあります。
そこで大事なのはやはり「平時」の備えです。
まず「普通の状態」を頭にインプットしておくことが重要になります。
もちろん人間の記憶力には限界がありますので、写真やメモなどに残しておくことも必要です。
そうすることで、自分以外の人にも引き継ぐことが可能になります。
そして、気象情報など様々な情報に対してアンテナを張り、「平時」からトラブルに備えておくことも意識しておきましょう。
あとは常日頃から戸締りのクセをつけておくことでしょうか。
安心安全な学校づくりの参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。