

この記事は以下のような人を対象としています。
・他人が期待どおり行動してくれないことでストレスを感じている人
「生徒が締め切りを守ってくれなかった」「教員が提出してきた資料が不備だらけ」
こうした経験がある私立学校事務員の方、多いのではないでしょうか。
私も何度も経験しているので、こちらが期待している行動をとってもらえないことに対するストレスは決して小さくないことは理解しています。
以前の記事で、同僚から人間関係のストレスに関する相談を受けたという話をしましたが、その相談内容の中にもこうした「自分の期待とは違う他人の行動」に対するストレスが含まれていました。
そこで今回は、他人に対して「期待しすぎない習慣」を身につける方法を書いた書籍から、私が参考になると感じたものを3つ紹介いたします。
その3つとは以下のとおりです。
「人間関係の悩みがなくなる 期待しない習慣」より引用
- 期待は溜め込まずに、こまめに、そしてなるべく早いタイミングで言葉にして吐き出し、状況や相手の意向を確認する。 P59
- 夜眠る前に、その日の自分の期待を列挙してみてほしいのです。そして、それらの期待が、叶ったか叶わなかったかを思い出してみてください。 P114
- ハイドリーム、ミドルドリーム、ロードリームの3つの期待値を想定しておけば、結果に振り回されなくて済む。 P122
「他人に期待をしない」というと、冷たい印象を受けると思いますが、そうではなく「期待しすぎない」ということがところがポイントです。
生徒や教員、同僚の事務員と適切な距離感を持って仕事に取り組めるようになり、人間関係のストレスが軽減されることにつながれば幸いです。
書籍の紹介
書籍名:人間関係の悩みがなくなる 期待しない習慣
著者名:林 健太郎
出版社:朝日新聞出版
発売日:2024年12月30日
【①放置は禁物】期待をこまめに伝える
書籍の言葉を再掲します。
「人間関係の悩みがなくなる 期待しない習慣」より引用
- 期待は溜め込まずに、こまめに、そしてなるべく早いタイミングで言葉にして吐き出し、状況や相手の意向を確認する。 P59
締め切り間際まで待ったにも関わらず、期待以下の結果だったということはありませんか。
例えば、年末調整の業務。
締め切りを設けて、期日内に手続きを行うよう教員に依頼するわけですが、期日ぎりぎり若しくは遅れて提出する人が少なからずいます。

そして、そういう人に限って提出された資料の内容が不備だらけ。
正直、チェックしながら気持ちが暗くなりましたね。
12月の給与支給のタイミングまでに不備を解消したいのですが、そもそもの提出が遅いため修正にそれほど時間をかけることができず、余計にストレスを感じてしまいます。
こちらとしては「不備のない資料の提出」を期待しているわけですが、その期待は見事に打ち砕かれたという状況です。
こうしたストレスを軽減するための「期待しすぎない習慣」として、この「期待をこまめに伝える」という方法はおすすめです。
「不備のない書類を提出するだろう」と期待せずに、「不備のない書類を提出しましょうね」と自分の期待をこまめに伝えるイメージになります。
先述の年末調整の例では、例年の傾向から「不備の多い教員が誰か」を把握できているため、その人たちにこまめに声をかけるようにするわけです。

自分の都合のいいタイミングで「不明な点はありますか」や場合によっては「お時間よろしければ、今から一緒にやります?」といった声かけをしています。
「自分のペースでさせればいい」とか「なぜそこまでしないといけないのか」と言われることもありますが、教員も「やらないといけないことはわかっている」と意識している人がほとんどですので、迷惑がられるよりも背中を押してくれたことに感謝されるケースの方が多い印象です。
そして何より、そのあとの私自身の仕事がスムーズに進むという大きなメリットを受けることができます。
「不備のない書類が提出される」のを期待するより、「こうすれば余計なストレスを減らせる」という方を優先してみてはいかがでしょうか。
【②打率何割?】叶った期待と叶わなかった期待を把握する
こちらも書籍の言葉を再掲します。
「人間関係の悩みがなくなる 期待しない習慣」より引用
- 夜眠る前に、その日の自分の期待を列挙してみてほしいのです。そして、それらの期待が、叶ったか叶わなかったかを思い出してみてください。 P114
- 全部うまくいっていないなんてことはないので、期待の結果をしっかり振り返り解像度を上げる。 P122
これは夜寝る前に限らず、「うまくいったこと」に注目する考え方と言い換えることができると私は解釈しています。
この方法についても、具体的な例を挙げて紹介したいと思います。
教員の出張旅費精算業務の話です。
生徒の引率や中学校訪問、学外での会議など、高校の場合教員は事務員と比べて出張する機会が多いです。
そのため、その出張に係る交通費等の精算をする書類が日々たくさん私の手元には届きます。
書類を記載する際のルールがいくつかあるのですが、これを守れていない書類も当然あるわけです。
不備があるたびに当該教員に確認し、修正する手間が発生するため、ストレスを感じます。

そんな時に限って当該教員がつかまりにくかったりするので、モヤモヤすることもしばしば。
こちらの期待としては①と同じく「不備のない書類が提出されること」
そこで、手元にある出張旅費精算の書類のうち、「不備なし」のものと「不備あり」のものの割合を調べてみました。
つまり、自分の期待が「叶った」か「叶わなかった」のかその割合を具体的な数字で把握してみようと思ったわけです。
その結果、9割方の書類が「不備なし」でした。
日を改めて、再度同じことをやってみましたが、結果はほぼ同じ。
その事実を知って「割と自分の期待は叶っているんだな」と思いました。
そう思うと約1割の「叶わなかった」ことより、約9割の「叶った」ことに目がいくようになったのです。

不備があっても「まぁ、たかが1割」と思い、心に余裕が生まれました。
人によってはその1割をさらに改善しようと取り組む人もいるかもしれませんが、私としては「9割あればいいか」と考えて、それ以上に手はかけないようにしています。
おかげでストレスも軽減され、精神的なゆとりも手に入れられたと実感しています。
【③期待の見える化】期待値を3段階に分けてみる
書籍の言葉を再掲します。
「人間関係の悩みがなくなる 期待しない習慣」より引用
- ハイドリーム、ミドルドリーム、ロードリームの3つの期待値を想定しておけば、結果に振り回されなくて済む。 P122
これは期待値を「見える化」しようという意味に理解しています。
何も期待値を設定せずにいると、どうしても無意識に「ハイドリーム」を期待してしまう。
そうなると、「ハイドリーム」以外の結果が起こった際にストレスを感じることになります。
そのストレスを軽減するために、期待値を3段階設定し、そのうち「これならオッケー」というものを「ミドルドリーム」に設定しておくのです。
私の場合、生徒からの提出物についてこの方法を活用しています。
生徒は、教員のように単純な期限遅れや不備ではなく、こちらの想像を超えることをしてくる場合があります。

一度、学納金の補助に関する申請書類を配布した際、添付していた書き方見本の内容をそのまま申請書類に記載して提出してきた生徒がいました。
想像以上だったので思わず「おぉ」と声が出ました。
そんな経験もあってか、こうした「想定外」の状態の書類を「ロードリーム」に設定しています。
そして、不備もない完璧な状態の書類が「ハイドリーム」、それ以外が「ミドルドリーム」になります。
想定外でもなく、完璧でもないものは全て「ミドルドリーム」、つまり「これならオッケー」と思える範囲なので、大概の書類についてはストレスを感じなくなります。
自分の期待を明確な言葉にしてさらにそれらにランク付けをする。
そうすることで、頭が整理されてストレスからある程度解放されると思いますので、是非お試しください。
まとめ
この書籍でも述べられていますが、他人に全く期待しないというのは不可能だと思います。
人間何かしら、相手に期待してしまうものです。
だから、期待したうえでその期待を自分でコントロールできるようになることが、健やかな日々を送るうえで大切ということになります。
その方法を身につける方法を、私の私立学校事務員としての体験と結びつけて紹介しました。
仕事やプライベートにおける人間関係のストレスを、少しでも軽減できることにつながれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。