
この記事の内容は、以下のような人を対象にしています。
・「学校のクラブ顧問って、休日もなくしんどいという話を聞くけど、そんなに大変なの」と思っている人
何年も前から、学校現場でも「働き方改革」への対応が進められています。
その一環として、「部活動指導員」の制度化といった部活動に関する対応策も実施されており、そのことは皆さまも耳にされたことがあるのではないでしょうか。
私も私立学校に勤めていて、休日でも練習や試合の引率などで動き回っている教員の様子を見てきました。
「いつ休んでいるんだろうか」と正直心配になることもあります。
そんな私ですが、一度だけ勤め先の大学のとある部活動の顧問に就いたことがあります。
今回は、その時の経験の中で「顧問をしてよかった」と思ったことを3つ紹介させていただきます。
その3つは以下のとおりです。
- 生徒の喜ぶ顔を見ることができる
- 学生生徒の「本当の顔」を知ることができる
- 今まで知らなかった競技の魅力を知ることができる
中学校や高校の部活動顧問のお仕事は、前述のとおり本当に大変だと思います。
ただ、そのイメージもあり、部活動顧問のマイナス面が必要以上に大きくクローズアップされているように私自身は感じています。
学校種の違いはありますが、部活動顧問のプラス面を紹介して、そのイメージを少しでも払拭できればと考えて記事にしました。
皆さまの部活動に対する考え方の参考になれば幸いです。
①学生生徒の喜ぶ顔を見ることができる
一番のよかった点はやはりこれだと思います。
自分が取り組んでいることに興味を持ってくれる人に対し、喜びの表情を見せてくれる学生生徒は多いです。

大会の会場に足を運ぶと、私がどこにいても見つけ出して、「見に来てくださったんですか。ありがとうございます」と言いに来る学生もいました。
私は顧問をしていた部活動について未経験でしたので、学生に技術的な指導は何もできません。
できることと言えば、合宿や大会に足を運んで声をかけたり応援したりする程度です。
それでも、とにかくできることをコツコツと積み重ねていくと、学生の方も「この人は自分たちに興味を持ってくれている」と思ってくれるようです。
そうなると、部活動以外のときでも、大学のキャンパス内で見かけたら嬉しそうな様子で挨拶をしてくれるようになり、良い関係を構築することができたように感じています。
以前の記事にも書きましたが、私立学校事務員として「学生生徒から挨拶をしてもらえる」ということは、仕事の満足感につながります。
またこの挨拶をきっかけに、名前を読んでもらえるようになったり、何気ない雑談をしてくれるようになったりと関係性が良い方向へと向かっていくことを何度も実感しました。
そうなると、私自身も「もっとできることはないか」という気持ちになり、より一層仕事にやりがいを感じるようになりました。

当然、学生全員がこのような反応をしてくれるわけではありません。
黙々と競技に集中する人もいますので、そういう学生には邪魔をしないようにこちらから笑顔で挨拶する程度にとどめていました。
基本は程よい距離感を保ちながら、興味を持って接すること。
そうすることで、相手から喜びのリアクションが返ってきて、それが自分のモチベーションにつながる。
これが、部活動顧問をすることで得られる一番のメリットであると私は感じています。
②生徒の「本当の顔」を知ることができる
良い意味でも悪い意味でも学生生徒の「本当の顔」を知ることができるというのも、部活動顧問をするメリットの一つだと思います。
例えばこんなことがありました。
別の部署の職員から、私が顧問をしている部活動に所属する学生と連絡が取りたいという相談がありました。
電話番号はわかっているので、私の所属している部署の固定電話を使って電話をかけましたが、つながらず。しばらく時間を置いていると、折り返しの電話がかかってきました。
そのときのやり取りの様子がこちら。

もしもし、〇〇大学△△(部署名)です。

(面倒くさそうなトーンで)はい。

もしもし?

(再び面倒くさそうなトーンで)はい。

□□さんですか?

(三度面倒くさそうなトーンで)はい。

折り返しお電話ありがとうございます。
(一呼吸置いて)顧問のjimmyですけど。

(今までにないくらい愛想のいい声で)お疲れ様です!

(さっきまでと別人か?)
その学生は、普段接した際には大変元気で明るく応対してくれます。
ということは、普段の態度は「顧問用」で、別の職員に対しては先ほどのような愛想の良くない態度をとっているのではという思いが、このやりとりを通じて私の中で生まれたのです。
体育会系の部活動でしたので、先輩やOBという存在は絶対的です。
この学生は、その先輩やOBが私に対し丁寧に接しているのを見て、「この人には先輩やOBと同じように対応しなければ」と思ったのでしょう。
そう思うと、その学生に無理をさせていたように感じて、非常に申し訳ない思いになりました。
もちろん前述のとおり、学生生徒の喜ぶ顔は仕事のモチベーションになります。
しかし、無理して喜んでもらうわけにはいきません。
「本当の顔」を理解したうえで、「どうすれば本当に喜んでくれるか」を考えてアプローチすることが学生対応では重要だということを、この一件で学ぶことができました。
これはおそらく、顧問をしてみなければ気づくことができなかったことだと思っています。
③今まで知らなかった競技の魅力を知ることができる
①②は学生に関することでした。
この2つだけでも、部活動の顧問をする価値は高いと思っておりますが、さらにプラスでおすすめしたいのがこの点です。
自分が今まで全く見たこともないような競技に触れること。
これは大変心に刺激を与えてくれます。
最初はルールも分からないため、とにかく自分の大学の学生が出てきたら名前を呼んで応援するだけですが、競技をじっくり見ていると段々内容がわかってくるようになるのです。
さらにインターネットなどで競技のことを調べるとより一層理解が深まります。
これは直接的には仕事に関係がないように思えますが、私自身は意味があるように感じています。
このブログの中で何度も申し上げてきたことですが、私立学校事務員の仕事はルーティン業務が多いです。

悪く言えば「変化がなく、単調な仕事」です。
その状況に慣れてしまうと、現状維持的な考え方が強くなり、新しいことへ挑戦する意欲などが低くなるというのが実感です。
そうした現状を打破するきっかけとして、部活動顧問の経験は役立つと思います。
知らなかったことを知る楽しみ、これは自分の好奇心を刺激してくれるからです。
人生100年時代と言われる中で、定年後も働き続けることが想定されます。
全く未知の仕事に就くことはないにせよ、今までの経験や知識を活かして新たな職場などで働くことは大いに考えられるわけです。
そんなときに、最初の一歩が踏み出せることが肝心です。
そこで重要となるのが「好奇心」だと私は考えています。
ぜひ、自分の好奇心を養うという視点で、部活動顧問に携わってみてはいかがでしょうか。
まとめ
冒頭に述べましたとおり、長時間労働など部活動顧問のマイナス面が大きく取りざたされているように感じています。
もちろん、そういった面があることは事実です。
ただ、一括りに「部活動顧問=ブラックな仕事」とすることには、私自身疑問を持っています。
私の事例はあくまで、練習指導を行わないいわゆる「お飾り」的な顧問の立場ですので、一般的に皆さまがイメージする部活動顧問とは異なるかもしれません。
しかし、こういう関わり方もあるという一つの例として知っていただきたく、今回紹介させていただきました。
こうした経験を経て、仕事のやりがいなどにつなげている人間もいるということが、皆さまの参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。