
この記事は以下のような人を対象としています。
・私立学校事務員として働くうえでの基礎知識を身につけるために、役立つツールを教えてほしい。
これまで、日本私立学校振興・共済事業団(以下、私学事業団)が毎月発行する「月報私学」の各月ごとの活用法を紹介してきました。
今回は、その続きにあたる1月号の活用法の紹介になります。
1月号は1月1日に発行されるため、現時点では内容が不明ですが、例年1月号に掲載されている記事というものがあります。
そうした記事の中で、私が毎年参考にしているものを2つピックアップしたいと思います。
その2つは、以下のとおりです。
- 退職時の手続き
- 医療費のお知らせ
今回は私学共済関係ばかりの内容となっています。
ご参考になれば幸いです。
なお、前述のとおり本年度の1月号の内容は現時点でわかりませんので、掲載されていない場合もあります。その点はご容赦ください。
【退職時の手続き】
私の感覚では、10月ごろからちらほらと年度末の退職者に関する情報が耳に入ってくるように思います。

定年退職の方の情報はもっと早く入ってきますね。
そして年明けごろから、私学共済や雇用保険、税金関係など、各種退職に必要な手続きを進めていくことになります。
そうした退職者に対する手続きの中で、私学共済に関する情報がこの1月号の記事に集約されているのです。

私は担当者として、プリントアウトしていつでも見られるように手元に置いています。
社会保険制度の勉強にもなると思っています。
項目としては、
- 資格関係
- 短期給付関係
- 年金等給付関係
- 貯金事業関係
- 貸付事業関係
となっています。
どの項目も重要ですが、
- 資格関係
- 貯金事業関係
の2つは特におさえておくべきというのが、私の印象です。
以降、この2つに絞って、私のエピソードなどを紹介したいと思います。
[資格関係]
まずは資格関係です。
ここでチェックすべきポイントは以下の2つ。
- 任意継続加入者制度
- 加入者証・被扶養者証返納
1つ目の任意継続加入者制度は、ざっくり言うと退職後、最長2年間、私学共済に加入して病気やケガなどに対する給付を受けられる制度です。
この制度を利用するためには以下のような条件があります。
- 退職の日まで引き続き1年と1日以上加入者期間がある
- 75歳未満である
特に注意が必要なのが前者。
民間企業にお勤めの方が加入する健康保険制度と条件が異なっています。
健康保険制度の方の任意継続は「資格喪失日の前日(退職日)までに継続して2ヵ月以上の被保険者期間があること」が条件になります。

任意継続の申出書の提出が、退職日から20日以内というのは共通です。
さらにややこしいのが、同じ私学共済でも短期給付に関することは「退職日まで引き続き1年以上加入者であった者」と、これまた期間が異なっている点です。
健康保険制度の方は別として、こうした細かい条件が記事では解説されていますので、丁寧に読み込み、違いを把握しておきましょう。
あと、任意継続関係でよく退職予定者から尋ねられるのが、

国民健康保険とどっちの方が保険料が安いですかね?
です。
これは正直わからない、というのが私の意見です。
そのため、退職者に任意継続加入者制度の説明をするときは、私学共済のホームページから「任意継続掛金早見表」をプリントアウトして手元に準備しています。
そして、上述の質問が相手からあった場合、その早見表を渡し、

これを持って役所に相談するのが確実ですよ。
とお伝えします。
その際に、あらかじめ相手の標準報酬月額の欄を赤ペンで囲っておいてあげます。
皆さんもやってみてはいかがでしょうか。
そして2つ目のポイントが加入者証・被扶養者証返納です。
加入者証・加入者被扶養者証(以下、加入者証等)が2024(令和6)年12月1日をもって廃止となり、さらに2025年(令和7)年12月2日からは原則使用できなくなったので、この返納という作業はなくなりました。
これは担当者からすると、手間が減り、大変喜ばしいことと感じています。
以前は「資格喪失報告書」に加入者証等を添付する必要がありました。
そのため、退職する前に学校へ加入者証等を提出するよう伝えるのですが、皆一様に、

何かあったときのためにギリギリまで持っておきます。
と言ってすぐには提出してくれません。
結局そのまま退職し、加入者証等のことはすっかり失念してしまい、こちらから督促することになるわけです。

電話してもなかなか出てくれなかったりと、連絡をとるだけでも一苦労でした。
これが返納不要となったため、担当者の負担が軽減されたというわけです。
ただし、マイナ保険証を持っていない人に交付された「資格確認書」の返納作業はあるので、勤め先の状況によってはあまり手間が解消されていないかもしれません。
従って、2026(令和8)年1月号の記事では、こうした変更点とマイナ保険証等との関連情報について、どのように解説されているかをチェックすることをおすすめします。

もちろんこの内容の記事が1月号に載っていればの話です。
[貯金関係]
貯金関係も利用者が多いので、おさえておきましょう。
まずは、積立貯金・積立共済年金・共済定期保険などの利用者かどうかの把握が必要です。
積立貯金は毎月発生するので比較的把握しやすいですが、積立共済年金や共済定期保険は情報が洩れがちです。
不明な場合は本人に尋ねるなどして確認しておくことをおすすめします。
また、過年度の記事でも掲載されていますが、積立貯金の方の届出印相違は本当によくあります。
積立貯金を始めてから一度も取り崩すことなく、金額を変更することもなくといった利用者の場合、もうどの印鑑だったのか記憶に残っていないことがほとんどです。

頻繁に引き出している人でも、毎回「どの印鑑でしたっけ?」と尋ねてくることがありますが。
念のため、積立貯金を申し込んだ際の学校控えを手元に準備しておきましょう。
あと、過年度の記事には掲載されていませんが、退職後、そのまま別の私立学校に勤める場合は積立貯金を解約しないということも可能です。
その場合、「中断」を申し込んで、次の勤め先で「復活」の手続きをとることになります。
ここで注意が必要なのは「中断」と「復活」のタイミングです。
「中断」は毎月申し込めますが、「復活」は年に2回だけになります。

前期と後期の積立貯金募集の期間しか「復活」の申し出はできないんですよね。
3月に退職して4月からすぐに積立貯金が再開できると誤解されないように、しっかり説明しておきましょう。
【医療費のお知らせ】
年が明けるとまもなくして確定申告のシーズンになります。
その確定申告の対象となるものの一つとして挙げられるのが「医療費控除」
ざっくり言うと、年間10万円以上医療費を支払ったら、その10万円を超えた分を所得から控除できるという制度です。
詳しくは国税庁のホームページをご確認ください。
医療費を支払ったとき(医療費控除)
(国税庁ホームページへのリンク)
この「今年はいくら医療費支払ったかな」ということを把握するのに役立つのが「医療費のお知らせ」です。
厳密には、昨年の11月から今年10月までの医療費の支払実績になります。
医療費控除を申請するためには、対象となる医療費の領収書等が必要となりますが、この「お知らせ」にはそうした情報が一つにまとまっています。

参考ですが、健康保険の方にも同様のお知らせがあります。
健康保険の方は、昨年9月から今年8月までに医療機関を受診した分になるようです。
万が一、領収書を紛失しても、この書類で確定申告が可能です。
ただし、「お知らせ」に掲載されているのは、医療機関等を受診したケースになります。
医療費控除については以下のような支出も対象となる場合があります。
- 通院にかかる交通費
- ドラッグストア等で購入した医薬品代
こうしたものは基本的に「お知らせ」には掲載されていないはずですので、各自で領収書等の保管が必要となってきます。

医療費で年間10万円なんて払うことないよ。
と考えている人は多いと思います。
ただ、医療費控除は、生計を一にする配偶者やその他親族のために支払った医療費を含めたりすることもできます。
さらに上述のような交通費や医薬品代に加えて、レーシックやインプラント治療も対象となる可能性があります。
そう考えて対象を広げてみると、控除を受けられる可能性はゼロではないかもしれません。
「こんなお知らせが届くんだ」ということを把握しておき、実際に届いたら自分や家族のことを振り返って医療費控除を申請できないか確認してみてはいかがでしょうか。
この他、医療費控除に似た制度として「セルフメディケーション税制」というものもあります。
説明は割愛しますが、こうした周辺知識もこのお知らせをきっかけにして増やしていきましょう。
なにごともまず興味を持つところから始めるというのが大切だと思っています。
まとめ
社会保険や年金制度、税金関連などは毎年のように変更が生じているように思います。
その変更の影響はもちろん私学共済にも。
そうした情報に対し興味を持って、自分から集めようとすること。
私立学校事務員として働くうえで重要な意識だと考えています。
そのような意識を醸成するきっかけとして月報私学の記事を活用することをおすすめします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










