
この記事は以下のような人を対象としています。
・私立学校事務員として働くうえでの基礎知識を身につけるために、役立つツールを教えてほしい。
これまで、日本私立学校振興・共済事業団(以下、私学事業団)が毎月発行する「月報私学」の各月ごとの活用法を紹介してきました。
今回は、その続きにあたる12月号の活用法の紹介になります。
12月号は12月1日に発行されるため、現時点では内容が不明ですが、例年12月号に掲載されている記事というものがあります。
そうした記事の中で、私が毎年参考にしているものを3つピックアップしたいと思います。
その3つは、以下のとおりです。
- 経営実務Q&A
- 私立大学等経常費補助金 会計検査院の実地検査結果
- 令和〇年度 私立大学等経常費補助金第一次交付
今回は私学助成関係ばかりの内容となっています。
ご参考になれば幸いです。
なお、前述のとおり本年度の12月号の内容は現時点でわかりませんので、掲載されていない場合もあります。その点はご容赦ください。
【経営実務Q&A】

私個人の趣味ですが、この「経営実務Q&A」と、別の号に掲載される「大学・短期大学・高等学校の財務状況」の記事を毎年楽しみにしています。
「経営実務Q&A」は、日々私学事業団に寄せられる会計処理の相談内容を記事にしたものです。
様々な相談が寄せられるなかで、私学事業団の人が「これは私立学校事務員の人に知っておいてほしい」と思ったものを厳選して載せてくれているものと私は思っています。
「コロナ関連」や「高等教育の就学支援新制度」など、その時々の時代の様子を反映した内容になっている場合もあります。
私のような経理・会計業務の担当者にとっては要チェックの記事です。
私はこの記事をプリントアウトしたものばかりを綴じたファイルを用意して、いつでも見られるようなところに置いています。
ちなみにですが、この私学事業団は「学校法人の経営に関する実務問答集」という書籍を発行しています。
「経営実務Q&A」の内容が1冊にまとめられたような書籍です。
私が新卒で学校法人に入職し、最初に配属された財務課で、先輩事務員から読むようにすすめられたのがこの書籍でした。

当時としては、他の学校法人会計に関する書籍と比べて、格段に読みやすかったという印象です。
そのときの経験もあって、私もその後財務課に配属になった後輩には、この書籍を読むことをすすめています。
残念ながら、この記事を執筆している時点では新品は入手できない様子ですが、中古でも見かけたら購入してはいかがでしょうか。

最新版が2016年3月発行のようなので、そろそろ改訂版が発行されるかもしれませんが。
少し話が逸れてしまったので、内容の解説に戻ります。
私がこの記事を読むときに注意している点は以下の2つです。
- 特定の取り組みに関するものかどうか
- 日常的な処理に関するものかどうか
特定の取り組みに関する会計処理
記事を読んでいると、ある特定の取り組みに関する会計処理が紹介されていたりします。
2024年12月号を例とすると、「大学・高専機能強化支援事業」や「履修証明プログラム」に関わる会計処理がそれに該当します。
こうした取り組みをすでに自分の勤め先でも実施している場合は、ちゃんと記事で紹介されているとおりの会計処理が行われているかを確認するわけです。
一方で、まだ実施していない場合はどうするのか。
そんなときは、当該取り組みを担当しそうな部署に尋ねてみましょう。
- 「なぜ、うちでは取り組んでいないのか」
- 「(補助金などの場合)なぜ、うちは申請していないのか」
このようなことを質問してみるわけです。
もし、その取り組みの内容そのものを知らないという場合であれば、「そもそもこれってどういうもの?」ときいてみるのもいいと思います。
会計処理だけでなく、それに関連する知識も身につけることができます。
日常的なやりとりにおける会計処理
また、こうした何かしらの事業等とは関係がない日常的なやりとりにおける会計処理が紹介されているケースもあります。
2024年12月号の記事でいえば、「ポイントを使用して消耗品を購入した場合の会計処理」がその例です。
こういう日常的な会計処理は、普段あまり意識せずに行っていることが多いと思います。

私も実際、この「ポイント使用時の会計処理」の記事を読んだときに、「普段何も考えずにそのまま処理していたなぁ」と思いました。
今自分が行っている会計処理を確認してみましょう。
ただし、注意しておきたいことがあります。
それは、その記事の内容そのまま鵜呑みにしないことです。
必ず、契約している監査法人などの専門家に確認するようにしましょう。
「私学事業団が言っているから」と言ってしまうのは、思考停止状態とほぼ同じです。
自分としての考えを持ったうえで、専門家等の意見を聞くことがより深い理解につながります。
あと、理解を深めるという点では、関連する会計処理をチェックすることも重要です。
この時の記事では、ポイント使用後の支出額で処理する場合とポイント使用分を「雑収入」として処理する場合のどちらでも問題ないといった旨の回答が掲載されています。
これは「値引き」の会計処理と関係しているのです。

記事でも「ポイント使用分は値引きととらえ」という文言がありますね。
そこに気づいて、「じゃあ、値引きの時は?」と情報を探してみるわけです。
そうすると、おそらく「図書の値引き処理」の情報が見つかるのではないでしょうか。
さらにその情報を見ると、「図書の値引き」と「雑誌の値引き」では会計処理が異なるという内容が掲載されていると思います。
このように芋づる式に知識を広げていくやり方もおすすめです。
【私立大学等経常費補助金 会計検査院の実地検査結果】
会計検査院の実地検査結果については、別の記事でも紹介していますので、そちらもご参照ください。
当該補助金の交付業務に携わる私学事業団としては、学校法人が不当事項に挙げられることは避けたいところ。
そのため、実地検査時には私学事業団職員も立ち会うときいています。

会計検査院側ではなく学校法人側の立場で助けてくださるようですね。
こうして立ち会って得た情報を記事にして、他の学校法人にも注意喚起の意味も込めて周知しているわけです。
補助金の交付を受ける私立学校に勤める事務員としては、確認しておくべき事項だと思っています。
ただ、実際の記事の内容は、かなり簡略化されている様子ですので、もう少し詳しい情報を知りたい場合は会計検査院の公表資料も併せてチェックすることをおすすめします。
また、複数年分比較して見ることも重要です。
例えば2023年12月号と2024年12月号には、ともに「職員人件費(兼務職員)」の会計処理が指摘事項に挙がっています。
そして、直近の会計検査院の検査結果公表資料にも同様のものが不当事項として挙がっていることが確認できます。
このようにチェックすることで、会計検査院の検査の傾向を読み解くことができると私は考えています。

「自分の勤め先は大丈夫か」と関係部署に確認してみるのもいいかもしれませんね。
知識の習得だけでなく、リスク管理にも役立てましょう。
【令和〇年度 私立大学等経常費補助金第一次交付】
最後は補助金の交付状況についてです。
この第一次交付では、大きい金額が学校に入金されますので、経理担当者としては資金繰りを考えるうえで要チェックだと思っています。
具体的な金額が分かるわけではありませんが、この記事が12月号に掲載されていれば例年どおりのタイミングで入金されることが予想できます。
あとは、やはりここでも過年度との比較はしておきたいところです。
総額でチェックするのはもちろんですが、1法人あたりや1学校あたりでも数値を確認しておきましょう。

直近2年間だと、大学では1校あたり2億5,000万円弱といった感じになっていますね。あくまで平均なので、規模の大きな学校の影響が大きくなりますが。
翌年度の4月号に最終交付状況も掲載されますので、それとの比較も行うことも有益だと思います。
以前の勤め先では、比較した結果から得た情報を、補正予算を組む際の参考にするなどして活用していました。
今の私の勤め先は高校なので、直接関係はありませんが、これも私立学校に勤める者としておさえておくべき数値だと考えています。
まとめ
今回は、特に大学に勤める私立学校事務員向けの内容だったと思います。
だからといって、その他の学校種に勤める人に全く関係ない話ではありません。
会計処理や会計検査院の指摘事項は、私立学校事務員として業務を遂行する上で意識しておくべきものです。
また、私立大学の様子を知ることは、国の教育行政のことを理解するために大変重要だと思います。
ぜひ、月報私学を活用して、私立学校事務員として必要な知識を身につけておきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










