
この記事の内容は、以下のような人を対象にしています。
・勤め先の生徒や学生、新入職員など「若者」についての理解を深めたいと思っている人。
はじめに:”最近の若者”を理解するために自分の認識をアップデートしよう!
学校という職場で働く私立学校事務員にとって、若者と接することは避けられません。

学生生徒だけでなく、新入職員も私のような中年男性にとっては「最近の若者」ですからね。
しかし、いざ彼ら・彼女らとコミュニケーションをとろうとした際に、

今の学生たちは何を大事にして、何を避ける傾向があるんだろうか?

新卒の事務員とコミュニケーションをとるとき、どんなことを意識すればいいのかしら?
といった疑問や悩みが頭に浮かんだという人もいるのではないでしょうか。
以前の記事で「Z世代」について紹介した際にも述べましたが、こうした思いが生じる原因は、これから接しようとしている相手に関する情報が不足していることだと私自身感じています。

相手のことを理解していないと、円滑なコミュニケーションは難しいですよね。
しかし、「最近の若者のことを知りたいなぁ」と思いつつも、どこから情報を集めればよいかわからず、緊急性も薄いため、後回しにしてしまう。
私も含めてそういう事務員は少なくないように思います。
そこでこの記事では、最近の若者の価値観や考え方等について解説している書籍から、私立学校事務員にとって知っておくと有益だと私が感じたものを3つピックアップして紹介します。
その3つとは以下のとおりです。
- 安定志向が強い
- 自己評価が高い(無理をしない)
- 伴走を好む
どのポイントも、各種調査結果や書籍の著者の大学教員としての実体験などを根拠にしているので、説得力のある内容となっています。
「最近の若者」のことを学ぶ第一歩として、参考にしていただければ幸いです。
書籍の紹介
書籍名:無敵化する若者たち
著者名:金間 大介
出版社:東洋経済新報社
発売日:2026年1月6日
①安定志向が強い|実は私立学校事務員との共感ポイント
一つ目のポイントは「安定志向が強い」です。
こちらはまず、書籍で紹介されている調査結果を見てみましょう。
マイナビ「2025年卒大学生就職意識調査」のデータに基づく見解です。
就職活動で学生が企業選択する際のポイントは「安定している会社」が49.9%で圧倒的にトップだ。他方、「自分のやりたい仕事ができる会社」は下落の一途をたどる。また、「働きがいのある会社」や「これから伸びそうな会社」といった、一見して票を集めそうな項目も1割強にとどまる。
「無敵化する若者たち」より引用
本項で着目している「給料のよい会社」はというと、2013年頃から急速に上昇している。
つまり、こういうことだ。
給与は大事。ただ、それ以上に安定していることが大事。定期昇給はあまりに当然の必須項目なので、答えるにあたわず。 P43
どうでしょうか。
就職氷河期世代の私は、「あれ?君もそう思うの?」という印象を受けました。
そんな私世代ではない私立学校事務員からも、同様の声を何度も聞いたことがあります。

「私立学校事務員=安定した職」のイメージは根強いですからね。
さらに書籍では、リクルート就職みらい研究所「大学生・大学院生の『働きたい組織の特徴』」アンケートの2025年卒向けの調査結果に基づく見解として、以下のようなことも述べられています。
「会社のもつノウハウや型を学ぶことで成長する」企業が良いが75%、「どこの会社に行ってもある程度通用するような汎用的な能力が身につく」が77%となっていて、逆に「個人が試行錯誤を行うことで成長する」が25%と低くなっている。
「無敵化する若者たち」より引用
つまり、若者たちの世界における成長とは、とにかく皆が持つ型を自分も身に付け、皆が持っている汎用的な能力を自分も身に付けることにほかならない。 P45-46
目立たなくていいけど、落ちこぼれたくない。
この解説を読んで、そんな気持ちが伝わってきたのは私だけではないと思います。
この考え方も、私立学校事務員には多いです。
周りに迷惑をかけない程度にスキルや知識を身につけ、まさに「縁の下の力持ち」として、自分の役割をきっちり果たす。
私の周りにも、そんな事務員がたくさんいます。

多くの人が「私立学校事務員」に対してこんなイメージを持っているのではないでしょうかね。
組織全員がこのタイプだと問題ありですが。
これらの調査結果等から、私はこの「安定志向」が「最近の若者」と多くの私立学校事務員との「共感ポイント」だと感じています。
実際、事務室の窓口まで来て、

ここの事務員って、どうやったらなれるの?
ときいてくる生徒は少なくないように感じています。

学校はつぶれないだろうし、私たちが働いている姿を見て、なんとなく楽そうだと思っているんでしょうね。
“偏差値の低さ”に定評のある私の勤め先の生徒だから、「公務員を目指して勉強しよう!」という気はない様子。
そこで、公務員みたいに安定してそうな「私立学校事務員」に興味があるのではと個人的には推察しています。
だから、こんな感じで事務室に来た生徒には、「やっぱり安定している仕事がいいよね」と共感のアクションをとるようにしています。
仲良くなれるきっかけになっていると感じているので、皆さんもこのポイントをおさえて日ごろの生徒対応に活かしてみてはいかがでしょうか。
②自己評価が高い|”できない自分”を肯定的に評価
2つ目は「自己評価が高い」です。
こちらもまずは書籍の解説を見るところから始めましょう。
今の若者たちは、モチベーションとか、成長とか、努力とか、そういったものをアンケートで計測するたびに、おもしろいほど高いスコアが出るのだ。
「無敵化する若者たち」より引用
この状況を簡単に説明すると、原則として今の若者たちは、現状の自分をとても肯定的に受け入れている。
つまり、自己評価が高いのだ。 P89

さっき「個人が試行錯誤を行うことで成長する」企業を最近の若者は避ける傾向があるって言ってませんでした?
努力して成長するのが嫌いなんじゃないの?
そう感じた方もいるのではないでしょうか。
この点について、書籍では以下のように述べています。
なぜなら、自信がない自分を受け入れているから。上に飛び出てはいないけど、そんなところも含めて自分らしいと感じているから。下にこぼれ落ちてない自分は、素直にえらいと思えるから。 P89
「無敵化する若者たち」より引用
つまり、「努力」や「成長」に対するハードルが低いということだと私は理解しています。

中年世代の多くは、それこそ「努力」や「成長」には「気合と根性」がつきものと考えがちですが、「最近の若者」世代にその考え通用しないんでしょうね。
そんな自己評価の高さは「無理」という言葉のニュアンスにも表れていると書籍では指摘されています。
彼らの言う「無理」とは、「どんなにがんばっても自分の能力では達成できない」という意味に加えて、「自分にはそこまでがんばる意思も意欲もないので」「無理は禁物ですから」というニュアンスも含まれている。繰り返すが、今の20代は基本的に自己評価が高いのだ。
「無敵化する若者たち」より引用
なので、ここで言う「自信」とは、「がんばればできるかもしれないけど、それをやる意思や意欲がない」という精神面も含めたそれと理解してほしい。
できるかもしれないけど、やらない。だから無敵なのだ。 P90
これらを含めたエピソードを1つ紹介します。
私の友人が事務員として勤めている自動車学校での話です。
指導員(生徒に運転技術を教える人)として働きたいと応募してきた人の運転レベルをチェックするために、教習所内のコースを走行してもらったそうです。

ちなみに20代男性と言ってましたね。
走り終わって、自己評価を尋ねると「できました」と一言。
しかし、同乗していた現役の指導員からは、「あれじゃあ、仮免許の試験も合格できない」と厳しい評価だったとのことです。
まさに、「自分が無理をしないレベル」での「できた」だったのでしょう。
友人がその現役の指導員の人に話を聞くと、「最近の若い人の『できた』は、こちらからすると大概『できてない』なんだよね」とおっしゃっていたそうです。
皆さんも、最近の若者は「自分が無理をしない範囲でがんばる」ということを理解したうえで接してあげましょう。
そうすることで、無用なストレスが避けられるはずです。
③伴走を好む|丁寧かつ一緒に動いてくれる人に好印象
最後は「伴走を好む」です。
書籍の解説を引用します。
昨今の若者の間で断トツの人気となったのは、「仕事について丁寧な指導をする」上司だ。同様に、「部下の意見・要望に対し動いてくれる」上司も急上昇中。動いてくれるという項目が人気になるあたりが、まさに今風といったところ。
「無敵化する若者たち」より引用
逆に、「場合によっては叱ってくれる」や「仕事の結果に対する情熱を持っている」といった熱い上司は人気急落の憂き目にあっている。 P137
これは、日本能率協会「2022年度新入社員意識調査」の結果に基づいたものです。
この解説を読んで私は、「最近の若者は『伴走』してほしいのかな」と感じました。

隣で付き添いながら、仕事を丁寧に教えてくれ、熱くならずに自分の意見や要望を受け止めてくれる。
そんな状況が頭に浮かんだからですね。
実際、私の勤め先の生徒の様子を見ていても、この傾向を感じることがあります。
ある時、校内で落とし物をしたという生徒が窓口に来ました。
どこで落としたのかわからず、ひょっとしたら事務室に届いているかもと思い、やって来たとのことでした。
残念ながら落し物は届いておらず、がっかりした様子で生徒は窓口から去っていきましたが、気になった私はその生徒の教室周辺を見に行ったのです。
廊下など調べていると、その生徒とバッタリ遭遇。
生徒は「わざわざ探しに来てくれたんですか!」と大変感激していました。
それからというもの、その生徒はちょくちょく事務室にやってきては、私の相談を持ち掛けてくれるようになりました。
こんなちょっとしたことでも、最近の若者にとっては心を開くきっかけになってくれますので、皆さんも小さなことでも丁寧に動いてあげてみてはいかがでしょうか。
まとめ
冒頭でも述べましたが、私立学校事務員として仕事をするうえで「最近の若者」との関りは切っても切れないものです。
さらに言うと、関わるだけでなく「信頼関係」を構築することが求められています。
学生生徒からの信頼獲得が学校のさらなる発展につながる
若い事務員からの信頼獲得が円滑な学校運営につながる
どちらも私立学校事務員にとって重要であり、そのためには、相手の理解が必要不可欠です。
ぜひ、今回の記事で紹介した「安定志向」「自己評価」「伴走」というキーワードを頭の片隅にでも置いて、日々の仕事に取り組んでみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。

