
この記事の内容は、以下のような人を対象にしています。
・令和8年度文部科学省予算のポイントを知りたいと思っている人。
会計業務を担当しているかどうかは関係なく、文部科学省の予算は、私立学校事務員として毎年必ずチェックすべき情報です。
補助金の動き、教育政策の方向性、ICT整備の支援など、学校運営に直結する内容が多く含まれているからです。
しかし、予算資料は専門用語が多く、読み解くのが難しいと感じる方も多いでしょう。

資料のページ数も多すぎるんですよね。
特に、私立学校事務員歴の浅い人にとっては読みにくい資料だと思います。
どんな資料かは以下のリンクからご確認ください。
令和8年度予算
(文部科学省ホームページへのリンク)
そこで今回は、そんな事務員歴の浅い人を主なターゲットとして、令和8年度の文部科学省予算のなかで、私が特におさえておくべきと思ったポイントを3つに絞って紹介します。
その3つとは以下のとおりです。
- 教育DX(デジタル化)の本格推進
- 学校施設の老朽化対策と安全対策の強化
- 学生支援の拡充
もちろんこれ以外にも重要なものはありますが、まずはこの3つを押さえることで、令和8年度の予算の全体像を理解し、学校運営に必要な情報を効率よく把握できると考えています。
文部科学省の予算は、国が「どんな教育を実現したいか」「どこに力を入れたいか」を示す“教育の未来予測図”でもあると思います。
令和8年度は、特に以下の背景が影響しています。
- ICT環境整備による教育DXの加速
- 災害発生時の安心・安全な避難場所の確保
- 少子化が進む中での、安定した進学者数の確保
従って私立学校事務員としては、
- 予算の作成
- 補助金の申請
- 設備更新の計画
- 学生支援の制度設計
などに直結する情報としてこうした国の思惑を理解しておく必要があるわけです。

まさに今、次年度の予算作成業務に取りかかっているところという事務員の人も多いのではないでしょうか。
今回の記事が、知識の習得の一助となれば幸いです。
【重要ポイント①】教育DX(デジタル化)の本格推進
令和8年度予算では、教育のデジタル化に関する予算が要求されています。
具体的には、
- 教育DXの推進(校内LAN整備等)
- デジタル教材の整備(デジタル教科書も含む)
- 学習データの活用基盤の構築
などが含まれています。
まず、学校法人にとって、ICT環境の整備は避けて通れない課題です。
ただ、GIGAスクール構想で端末は整備されたものの、ネットワークや教材等のデジタル化が追いついていない学校も多いのが現状です。

私の勤め先は、ようやく各ホームルーム教室で無線LANが使えるようになりました。
他にも、情報科の教員1名にまかせっきりの状況なので、スキル面だけでなく、人員数の面でも不安を抱えている状況です。
令和8年度予算では、こうした“現場の課題”を解決するための支援が手厚くなっている様子がうかがえます。
それに伴い、事務員にも以下のような業務に携わる必要が生じると考えられます。
- ICT整備に関する補助金の申請
- デジタル教材の導入に伴う予算管理
- セキュリティ対策の強化
特に、補助金の申請スケジュール管理は事務職員の重要業務です。
ネットワークのような施設設備を整備する関係の補助金は、担当者が知らない間に申請期限が過ぎていた、ということが起こりがちだからです。

経常的な補助金だと毎年のことなので、スケジュールが把握しやすいんですけどね。
従って、取りこぼしがないようにアンテナを張っておく必要があります。
私は勤め先を担当する都道府県の職員の人に、補助金の募集が始まる前から、あらかじめ声をかけるようにしています。

こんな計画があるので、この補助金に申請したい。募集はいつ頃ですか。
担当の職員の人は、申請の時期が訪れると管轄の学校に対し、一斉に「募集開始」の通知を出すのですが、こんな感じで前もって伝えておくと、何かの拍子に、

そういえばあの補助金、募集開始しましたよ。
と言ってくれることがあります。
担当者による部分はありますが、申請漏れを防ぐ一つの手段としてやってみてはいかがでしょうか。
あわせて、ICT関連の整備について、しっかりと見える形で計画を立て、予算化することも意識しておきましょう。
そうすることで、募集があった際にすぐさま対応できるようになります。
【重要ポイント②】学校施設の老朽化対策と安全対策の強化
令和8年度予算では、学校施設の老朽化対策と安全対策の強化も大きなポイントとなっているように思います。
具体的には、
- 耐震化工事
- 空調設備の更新
- 断熱・省エネ改修
- 災害時の避難拠点としての機能強化
などが挙げられます。
学校施設の老朽化に頭を悩ませている私立学校は多いと思います。
また、地震や豪雨など自然災害が増える中で、学校の安全性は社会的にも強く求められている状況です。

豪雨や大雪の時は、生徒の安全はもちろんですが、校舎が大丈夫か心配になってしまいます。
こうした安心安全な学校づくりのために私立学校事務員としては、以下の点について考える必要があります。
- 施設改修の計画立案
- 補助金の活用による予算最適化
- 省エネ設備導入による光熱費削減計画
特に、補助金を活用した施設整備の最適化は、教育環境の安全面だけでなく学校法人の財務にも大きく影響します。
重要ポイント①でも挙げましたが、ここでも補助金の獲得とそれに向けた計画の策定が重要となってくるわけです。
私個人の意見としては、こうした計画策定や補助金獲得に向けた各種調整といった業務は、意識して取り組むべきだと思っています。
それは、ルーティン業務ではないからです。
私立学校事務員の仕事は、将来的にAIに取って代わられやすいイメージがあると思います。
そんなイメージや危機感を払拭するという意味でも重要だと私は思っています。

申請書類の作成などはAIにもお任せできると思いますが。
関係者を巻き込んで計画を立案し、補助金獲得のために行動する。
これは、今のところ人間にしかできない業務だと思いますので、積極的に関わるようにしましょう。
そんな補助金業務については、こちらの記事も参考にしていただければと思います。
【重要ポイント③】学生支援の拡充
令和8年度予算では、高等学校などに通う生徒等に対する支援が強化されています。
主なものとしてチェックしておきたいのは、
- 高等学校等就学支援金の拡充
- 奨学のための給付金の拡充
の2点です。
少子化が進む中で、学生確保は学校法人にとって最重要課題です。
学生支援制度が充実すれば、進学希望者の負担が軽減され、入学者の確保につながることが考えられます。
また、入学金や授業料等だけでなく、入学後に必要な教育費の負担が大きい点も見逃せません。
実際私の勤め先にも、いわゆる「授業料無償化」の対象になっているにも関わらず、その他の費用の滞納が続く世帯が少なからずいます。
こうした状況の改善につながることが期待されるわけです。
私立学校事務員としても、
- 授業料等支援制度の説明・申請サポート
- 授業料等支援制度の運用
といった業務の重要度が増すということを意識する必要があります。
保護者等にとって理解しにくい制度について、適切なタイミングでわかりやすく案内する。
こうしたことが求められます。
そしてこれは、学費業務を担当する事務員だけがわかっていればよいというものではありません。

保護者等からすれば、事務員は皆同じですからね。
「事務員の人だから、授業料等支援制度のことをわかっているはず」という認識で対応を求めてこられます。
保護者の悩みを解消できるように、情報をおさえておきましょう。
まとめ
令和8年度の文部科学省予算の中から、私が私立学校事務員にとって重要と考えるもの3つを紹介しました。
おさらいすると、
① 教育DX(デジタル化)の本格推進
ICT整備・デジタル教材・学習データの活用基盤など、デジタル化の推進
→整備計画の立案と補助金の獲得
② 学校施設の老朽化対策と安全対策の強化
耐震化、空調更新、省エネ改修など、施設の整備
→整備計画の立案と補助金の獲得
③学生支援の拡充
高等学校等就学支援金および奨学のための給付金の拡大
→保護者等の不安解消のための情報提供
といったところです。
私立学校事務員としてこれらを理解し、実務に役立てていきましょう。
また、前述しましたとおり、こうした情報を意識して業務に取り組むことが、「将来、AIに仕事を奪われるかも」といった不安の解消にもつながる可能性があります。
そうした面もぜひ意識しておきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

