
この記事は以下のような人を対象としています。
・私立学校事務員の夏休みの様子ってどんな感じなんだろうと思っている人。
子どものころは、1か月以上ある夏休みが楽しみで仕方なかったというのが私の記憶です。
皆さまはいかがでしょうか。
その時の学校のイメージもあり、

私立学校事務員の人も学校が夏休みに入ったら、さぞかしたくさん休みがとれるんだろうなぁ。
とお考えの方が多いような印象があります。
そこでこの記事では、夏休み期間中の私立学校事務員の勤務にまつわるお話を紹介したいと思います。
具体的には以下のような内容です。
- たくさん休める(学校もある)
- 夏休みならではの仕事3選
これから私立学校事務員を目指そうとお考えの方には「そうなんだ」、すでに事務員として働いている方には「その通り」や「うちとは違っているなぁ」と思っていただければ幸いです。
【一応、社会人】私立学校事務員の夏休み
冒頭にも述べましたが、私立学校事務員は夏休みが長いと思っている人はいます。
現に私も、

ずっとお休みでいいですね。
ということを、言われたことがあります。
しかし、実際は私立学校事務員といえども社会人。
学生生徒と同じように休んでいるわけがありません。
ただ、学校によっては民間企業よりお休みを多くとれるといった場合もあります。
私が新卒で最初に勤めた学校法人もその1つ。
普通のお盆休みが民間企業より長いうえに、7~9月の間だけ特別に付与される休暇が10何日間ありました。
お盆休みとこの特別休暇を組み合わせれば、8月の出勤日数を1週間未満にすることも可能でした。

このことを当時まだ会社で働いていた父親に伝えると、「それで1ヶ月分給料がまるまるもらえるのはおかしい」とあきれた様子だったのを覚えています。
ところがこの特別休暇、全て使い切ることはまず不可能。
実際、私は1度も使い切ることはできませんでした。
原因はやはり、どうしてもやるべき仕事が発生してしまうから。
特にお偉いさんがらみの対応が多かったように思います。
当時のお偉いさんは、下の者のお休み状況など知ったことではありません。
お偉いさんから私の上司に指示があり、その対応のため上司から私に指示が下りるといった感じで仕事が発生していました。
そんなことに対応していると、いつしか部署内では「勝ち越し」「負け越し」という言葉が使われるようになりました。

例えば特別休暇が全部で11日間付与されるとすると、6日休めば「勝ち越し」、5日だったら「負け越し」というわけです。
夏休み終盤に差し掛かると、あちらこちらから「とりあえず勝ち越したい」という声が聞こえてきます。
私もとにかく勝ち越すことだけを考えていました。
その後、この特別休暇の日数は徐々に減っていったのですが、私が在籍している間になくなることはありませんでした。
このような夏休み限定のお休みが付与されるということは、珍しい制度だと思っています。
ちなみに、今の勤め先にはこのような休暇制度はありません。
変形労働時間制で、夏休み期間は勤務時間が通常より1時間短くなっている程度です。

なんでしたら、民間企業に勤める友人の方が長いくらいです。
働き方改革など、世の中の情勢で民間企業の方が変わりつつあるのかなと考えるようにしています。
【休みのうちに】夏休みならではのお仕事3選
普段、「やらないと」と思っていてもなかなか手をつけられない仕事があったりします。
そういった仕事は、長期間授業がなく学生生徒がほとんど登校しないというこの夏休みにやってしまうのが、一番はかどったりします。
また、授業の妨げとなる工事や点検作業もこうした期間にしかできないものです。
以降は、そんな夏休みならではと私が思っている仕事を3つ紹介します。
その3つは以下のとおりです。
- 書類整理
- 工事・点検作業
- 2学期(後期)準備
【①意外と大変】書類整理
本来であれば、年度が変わったタイミングで前年度の書類を移動させ、今年度の書類を置くスペースを確保するのが理想的だと思います。
しかし、学校はこの年度初めにやるべき仕事がかなり多い。
私の所属していた財務課は、決算業務を進めなければならないため、そもそも手元に昨年度の書類がなければどうにもなりません。
そんな状況のため、年度当初は書類を整理している時間はないというのが私の実感です。
その後、時間の経過とともに仕事も落ち着いてきて、夏休みごろにはひと段落といったかたちになります。
夏休みに入ると、生徒対応の件数もガクンと減りますので、それを機に書類の整理を始めるわけです。
ただ、この時期に書類整理作業をするには一つの難点が。

それは「暑さ」です。
私の今の勤め先はかなり小規模の高校ですが、それでも1年間でそれなりの書類の量になります。
以前の勤め先は、設置校の経理関係書類を法人本部が一括で管理していたので、膨大な量でした。
こうした書類を職場から少し離れた倉庫へ移動させなければならないのです。
台車を押しながら炎天下の中、段ボールに入った書類を運ぶと、倉庫にたどり着いたときにはすでに汗だく。
さらに倉庫内では、
- 文書保存規程に基づき廃棄年度をむかえた書類を処分
- 処分して空いたスペースに、過年度の書類をスライド移動
- 最後に空いたところへ、昨年度の書類を配置
といった作業が待っています。
以前の勤め先も今の勤め先にも、倉庫内には空調がありませんので正に地獄のような暑さです。
近年は、様々な熱中症対策グッズが売り出されているので、それらを活用するのも一つの手だと思います。
なお、私は空調服を購入して、こうした作業時に着ています。
こちらのアイリスオーヤマ様の製品です。
バッテリーを充電するためのUSBケーブル(タイプB)とアダプターが別途必要ですが、性能その他非常に満足しています。

普段は自宅で愛用していますが、宅配スタッフの人が訪れた際に「こいつ、部屋着で空調服着てやがる」という目で見られることがあります。
さらに、一度だけですがこの時期に都道府県の検査が行われたことがありました。
その時は前述の作業に加えて、
- 検査に関係がある資料に付箋を付けていく
という作業が発生し、本当に大変だった記憶があります。 色んな意味で印象深い、夏の恒例行事でした。
【②誰も見ていない今のうちに】工事・点検作業
前述のとおり、大きな音が鳴る工事や電気設備を止めて行う点検作業などは、生徒が登校している時には実施しにくいものです。
従って、こうした工事・点検作業も夏休みに実施するようスケジュールを組みます。
工事は年度によって、実施の有無等に差が生じますが、点検作業については割と定期的に実施されるものが多いです。
例えば、
- 消防設備点検:毎年
- 設備点検(停電):2年ごと
- 特定建築物定期調査:3年ごと
などが挙げられます。
前述の書類整理の際にも触れましたが、ここでもやはり「暑さ」がネックになることがあります。
特に、停電を伴う設備点検。
文字通り、電気を止めるので空調も使えません。

ここでも空調服が大活躍です。
空調服のファンの音が響く事務室の中で、カタカタとキーボードを打ち続けます。
私は担当者なので出勤していますが、基本的に停電のある日は指定年休にして他の教職員は休むように調整します。
生徒にとって安心安全な教育環境を維持するために、こうした工事や点検作業は必要不可欠だと考えれば、暑さも我慢できる・・・のではないでしょうか。
【③準備が9割】2学期準備
これは、高校がメインの話です。
例年、高等学校等就学支援金の状況が判明するのが7~8月ごろ。
さらに、この就学支援金の上乗せ支援制度を実施している都道府県だと、その状況もこの時期に把握できるようになります。

「どの生徒がどれだけ支援を受けることができるか」といったことがわかるようになるのがこのタイミングということです。
そうした情報をもとに、2学期の学納金の金額を設定します。
生徒一人ひとり、家計状況が異なるので、受けられる支援金額等にも違いが生じます。
それを個別に確認して、適切な金額を設定していくわけです。
学校によっては、こうした作業を3学期分でまとめて調整しているところもあるようですが、制度の趣旨からすると、早めに対応して経済的負担を軽減させるべきだと私は考えています。
そのため、2学期が始まる前の夏休み中にこの準備を行うわけです。
また、夏休み期間は生徒や保護者以外の来訪者や外部からの電話も少ないということも、作業をするうえでのメリットになります。

金額を間違えると、大きな信用問題につながりかねないので、集中できる環境の方が望ましいわけですね。
前述の2つの仕事と違い暑さ対策は不要ですが、とにかく正確さが求められるため、余計な邪魔が入りにくい夏休みにやるべき仕事だと思っています。
まとめ
冒頭に述べましたとおり、「私立学校事務員は夏休みが長くていいなぁ」と思っている人は少なからずいます。
中には、そうしたイメージを持って私立学校事務員を目指す方もいるのではないかと思われます。
しかし実際のところ、夏休み期間は普段に比べて時間のコントロールがしやすいという面はありますが、一部の方が思っているほど余裕があるわけではありません。
前述のとおり、働き方改革等の影響で民間企業の方が休みが多かったりするわけです。
そうした実情が、この記事を通じて少しでも伝わればと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。