
この記事は以下のような人を対象としています。
・「私立学校事務員として働くうえで、英語力は必要か」と気になっている人
「TOEIC〇〇〇点以上」「日常会話レベルの英語力」
ちまたで見かける求人広告で、このような記載を見かけることはありませんか。
「英語が社内公用語」といった会社などもあるようです。
こうした日本語以外の言語力、特に英語力が仕事で求められるケースは多いように感じます。
そのような状況において、「じゃあ、私立学校事務員の仕事はどうなのか」と思っている方もおられるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、私の20年以上の私立学校事務員歴に基づき、「私立学校事務員にとって英語力は必要か」について、3つのタイプに分けて解説します。
その3つとは以下のとおりです。
- 法人本部事務員
- 大学事務員
- 高校事務員
なお、参考ですが私の英語力は「TOEIC600点台」「英検2級」で、至って「普通」の英語力です。
加えて私が勤めてきた学校は、学生生徒や教職員のほとんどが日本人でした。
そのため、学校として積極的に外国籍の学生生徒等の受け入れを行っており、その比率が一般的な学校よりも高いような場合は、また様子が異なる可能性があることはご理解ください。
そのうえで、英語力に自信がある人もない人も、私立学校事務員を目指す際の参考にしていただければと思います。
【タイプ1】法人本部事務員と英語力
まずは、法人本部で働く事務員のケースです。
私が経験したのは経理・会計担当の部署ですので、そこでの経験をベースにお話しします。
最初に結論から申しあげますと、「英語力不要」です。
一度たりとも「もっと英語力があれば」と思ったことはありません。

強いて言えば、パソコンなどの機器のエラー表示が英語だったときに、かろうじてなんとなく表示の意味がわかって、状況を把握できたくらいです。
そもそも、経理・会計担当の部署にはあまり人が訪れないので、コミュニケーション上で英語力が必要となることがありませんでした。
こうした状況から勘案して「英語力は不要」とお答えした次第です。
むしろ「会計はビジネスの共通言語」と言われるように、英語力よりも会計力を磨くことをおすすめします。
結局、計算書類等を通じて「今の学校の状況」や「学校が力を入れて取り組んでいる事業」などを説明できる「会計力」の方が、伝える対象の国籍に関わらず使う頻度が多く、同じ組織に属する者同士で共通の認識を持つことに役立つ印象です。
【タイプ2】大学事務員と英語力
続いて、大学事務員のケースです。
これもいきなり結論から申しあげますと「所属部署による部分が大きい」です。
大学の場合、「国際交流」を担当する専門部署を設置していることが多いと思います。
このような専門部署に配属された人は、英語力が求められています。
厳密には英語力の高い派遣職員等を雇い、日常業務における学生とのやりとりはその人たちに任せて、事務員は新たな国際交流の取組みを考えることなどに注力しているような印象があります。

ただ、そういった部署の事務員と話した際に、外国人留学生などと接する機会が他の部署と比べて多いため、英語を話せるに越したことはないとは言っていました。
では、国際交流の専門部署以外に所属する事務員はどうでしょうか。
私の経験上では、英語力の必要性を感じるシーンはありませんでした。
「外国人留学生はまず留学生対応の専門部署に行く」ということが基本的なルールとして浸透しており、専門部署を通して、お困りごとなどに対応することになるからです。
なお、外国人留学生ではなく「外国籍の学生」の対応をすることがあります。
それは「特定の外国籍の学生を対象とした奨学金」というものがあるからです。
そのような奨学金の募集や申請のとりまとめは、国際交流の専門部署ではなく奨学金を取り扱う部署が行いますが、留学生ではないためほぼ100%日本語でのやりとりで完結します。
「留学生に話しかけられたらどうしよう」と過度に不安になることはありません。
もし話しかけられても、とりあえずは「一緒に国際交流の専門部署に行こうか」と言って話ができる人を巻き込めば何とかなりますので。

余談ですが、私の以前の勤め先に国際交流の専門部署に英語力が非常に高い事務員がいました。
その人と同じ部署で働く別の事務員が、あるとき何やらブツブツと声が聞こえてくるので、耳を澄ませて聞いてみると、その英語力が高い事務員が「英語で独り言」を言っていたそうです。 少し恐怖を感じたとのことでした。
【タイプ3】高校事務員と英語力
最後は、高校事務員のケースです。
これも例によって結論から入りたいと思います。
私としての結論は「英語力不要」です。
高校の事務室は大学と異なり、国際交流の専門部署はありません。
英語科の先生が国際交流も担当しているといった程度の学校が多いと思います。
そのため、事務員が留学生や外国人教員の対応をする場面は多少あります。
しかし、所詮「多少」です。それほど頻度が高いわけではありません。

なんでしたら、今の私の勤め先は留学生ゼロ、外国人教員ゼロという状況です。英語でコミュニケーションをとる機会は全くないですね。
以前の私の勤め先には外国人教員が在籍していましたが、日本語が堪能な人だったため、日本語でやりとりをしていました。
以上のような私の経験を踏まえると、よほどインターナショナルな学校でない限り、英語力の必要性を感じることはないと考えています。
ただし、英語力を発揮する場面は少ないかもしれませんが、英語力を伸ばす機会には恵まれているように思います。
それは、法人本部や大学と比較して、外国人教員との距離が近いからです。

実際、以前の私の勤め先の同僚は、外国人教員と積極的にコミュニケーションをとることで、英語力を磨いていました。
「英会話学校へ行く手間やお金が省けた」と言っていたのを覚えています。
高校に勤務して外国人教員が在籍していたら、実践してみてはいかがでしょうか。
【おまけ】英語力もインプットよりアウトプット重視
直接、私立学校事務員の仕事とは関係ありませんが、英語力に関する私の体験を一つご紹介させていただきます。
私はサウナが好きなので、サウナが整備されているカプセルホテルに宿泊することがあります。
気分転換の一環です。
そうしたカプセルホテルに宿泊した際のことです。
その施設には共用のコインランドリーも設置されており、外国人観光客と思われる方が洗濯をしようとしていました。
備え付けの2種類の洗剤をそれぞれ手に持ち、何やら悩んでいる様子です。
その時、偶然通りかかった私と目が合いました。
そして、私に向かって英語で話しかけてきます。
おそらく「どっちの洗剤の方が白く洗えるか」ということを尋ねていたのだと思います。

聞こえてくる単語と、彼が使おうとしている機械の近くに白いTシャツがあったのでそう予測したわけです。
しかし、「どっちでも白くなりますよ」と言いたいのですが、うまく表現できません。
一生懸命伝えようとするのですが、残念ながらやりとりは失敗に終わり、彼はあきらめた様子で「OK」と言い残し、その場を去っていきました。
この経験から、結局アウトプットを意識して学ばなければ、本当の意味で「使えるスキル」にはならないということを実感しました。
TOEICも「聞く・読む」だけでなく「話す・書く」の形式の試験があるようですので、そういったものも活用するとよいのかもしれません。
なにより、前述のとおり高校事務員であれば、外国人教員の力を借りて「話す・書く」の練習ができます。
事務員の仕事とは別に、個人的に英語力をアップさせたい人は取り組んでみる価値があると思います。

私の勤め先にも、外国人教員がこないかなぁと思う今日この頃です。
まとめ
学校事務員における英語力の必要性に対し、否定的な意見ばかり述べてしまったかもしれません。
ただ、「英語力不要」と言いたいわけではなく、「英語力が仮に十分でなくても、学校事務員として勤まりますよ」ということを伝えたかったのです。
私が20年以上、学校事務員として問題なくやってこれていることが証明していると思います。
事務員募集において「TOEIC〇〇〇点以上」などの条件が付されていなければ、気にせず応募してみましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。